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『ザ・ノンフィクション』で注目「松本ハウス」の現在 最高月収300万円の『ボキャ天』時代から「雇い止め」も経験したバイト生活へ

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.09.26 17:16FLASH編集部

『ザ・ノンフィクション』で注目「松本ハウス」の現在 最高月収300万円の『ボキャ天』時代から「雇い止め」も経験したバイト生活へ

ハウス加賀谷(左)と松本キック(写真・久保貴弘)

 

「もう、ホントにしんどいです!」

 

 松本キック(54)は、苦笑いしながら現在の窮状を語った。

 

「コロナ前は、いろいろとライブにも出てたんですけど、いっさいなくなりましたからね。最近になって、少し戻ってきましたけど。メインの収入はコールセンターでのアルバイトなんですけど、2023年の3月でコロナが5類になって、『事業縮小します』と派遣先から雇い止め。ガチで求職活動してましたけど、名前と住所、電話番号、年齢の情報だけで“お断わり”されました。いまは、なんとか別のコールセンターで働けていますけど、時給はだいぶ下がりましたね」

 

 

「キックさん、本当に大変なんですよ!」(ハウス加賀谷)

 

「お前も大変だろ」(松本)

 

 1990年代の人気番組『ボキャブラ天国』シリーズ(フジテレビ系)でブレイクしたお笑いコンビ「松本ハウス」。本誌(2023年9月26日・10月3日合併号)で番組を特集した際におこなった爆笑問題のインタビューでは、太田光から「こいつは天才だなって、感心してた」といわれたボケのハウス加賀谷(49)と、ネタ作り担当のツッコミ・松本キック。一気に大人気となった当時の最高月収は300万円超もあった。

 

 しかし、絶頂期の1999年、加賀谷が患っていた統合失調症が悪化。10年に渡る活動休止状態に陥った。2009年にコンビ復活するも、松本ハウスはいつの間にやら“売れない芸人”になってしまった。

 

 そんなふたりに密着したのが、人気ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)。タイトルは「人生と笑いと震える手 ~相方が心を病んだ時~」だった。

 

「密着自体は、3年くらいやってたんです。コロナ禍になって、もともとたいして仕事もない芸人の生活はどうなるのか、っていうところから撮っていこうかというお話で。じゃあ、コロナ終息するまで、1年くらいで明けるだろう! なんてそのときは言ってたんですけど、ぜんぜん終わらなくて(笑)」(松本)

 

「僕は最初、キックさんに密着がついてるのかなって。だから、放送のときは、僕も見切れてるくらいには出るのかな、なんて思ってたんですけど……」(加賀谷)

 

「言うたよ、説明されたよ。コンビの話になってるって(笑)」(松本)

 

「あ、そうなんすか! そんなん、あったですかね、ホントですか? あれー?」(加賀谷)

 

「そっかー、お前のとこ、全部カットしてもらえばよかった(笑)。加賀谷だけはカットで、それが無理ならモザイクでって」(松本)

 

 松本キックには、妻と2人の子どもがいる。家族を食わせないといけないから、芸人以外にも演出や脚本、お笑い養成所の講師、そしてメインのバイト収入などで生活している。

 

「10年前に『統合失調症がやってきた』(2013年、イースト・プレス刊。現在は幻冬舎文庫)という本を出して、加賀谷の闘病や、僕がそれとどうつき合っているかを書きました。それからは講演の仕事なんかもあって、稼ぎはよかったんですよ。引っ越して広い家に移って、これを維持するわって言ってたら、コロナで一気になくなったんです」(松本)

 

 生活の基盤を守る収入を確保する必要から、松本にはバイトを優先せざるをえない現状がある。

 

「芸人活動をする時間がないんですよね。だから、今後は加賀谷くんに全部、コントの台本とか書いてもらったり、イベントの企画とか……」(松本)

 

「僕にできるわけないじゃないですか! でも、僕がひとりでできることも考えようと思ってるんですよ。たとえば手品とか(笑)。一輪車に乗ってみるとか」(加賀谷)

 

「一輪車、どれくらい乗れんの?」(松本)

 

「2秒くらいですけど……」(加賀谷)

 

 それでも、ライブ出演は続けている。番組では、加賀屋が楽屋で不安の発作に襲われる場面もあった。

 

「僕の症状は3段階あって、最初はさわさわして、不安になって、怖くなるんですよ。薬飲めば大丈夫だし、数年に1回くらいなんですけど、『ノンフィクション』はコロナ禍で唯一くらいの、めったにないところ(発作)をナイスタイミングで撮ってるんですよね。あのときはジャストミートでしたね」(加賀谷)

 

「加賀谷の病気も、ずっと落ち着いてはいるんですけど、やっぱり“漏れる”ときがあるんです。こないだなんか、舞台上で『僕、今日、調子悪いんですよ!』って、めっちゃ開き直った感じで言い出して(笑)。あれは笑いましたね。楽屋戻ってから『アレ、サイコーだよ、そんな芸人いないよ!』って」(松本)

 

「やっぱり、漫才は楽しいですからね。僕が病気でネタ覚えるのが難しくなってから、即興漫才をやるようになったんですよ」(加賀谷)

 

 即興漫才といえば、2023年の『THE SECOND』(フジテレビ系)で準優勝になったマシンガンズが話題になった。松本ハウスも、賞レースに打って出るというのはどうかと聞いた。

 

「『THE SECOND』は……どうする? “THIRD”くらいにしとく?(笑)」(松本)

 

「うーん、あんま、自信ないんですよね……賞レースって、ことごとく合わないんですよねえ」(加賀谷)

 

「昔、先輩芸人でいまは放送作家の方に、『君らは賞レースには向いてないよ。でも君らは、君らの道でいいんだよ』って言われましたね。あれ、審査するのは……お客さんか。お客さんにワイロ渡すには、どうすれば……(笑)」(松本)

 

「ダメですよ!」(加賀谷)

 

「でも『SECOND』、考えてみてもいいかもしれないですね。いままでやってこなかった道というか。でもなー、昔の、関東の芸人が競い合ってた高田文夫先生のお笑いライブなんかでも、高田先生以外の審査員にぜんぜん評価されなかった(笑)。でも、お客さん票は1番だったりしたから……そういうルートもありかな」(松本)

 

「ニュースになるかもしれないですからね。“松本ハウス、1回戦敗退”って(笑)」(加賀谷)

 

「もっと悲しいのは、ニュースにもならない(笑)」(松本)

 

 しかし、加賀谷は賞レースまで目指すとなると、忙しすぎるのではないかと、松本のことを心配する。

 

「キックさん倒れちゃったら、松本家も大変だし、僕もどうしたらいいかわからないし」(加賀谷)

 

「まあまあ、加賀谷家の資産を分配してくれればいいんだよ」(松本)

 

「ウチにはキャラの濃い両親がいますからねえ……僕は実家に住んでるんですけど、81歳のお父さんは毎晩、インターネットでポルノ見てますよ(笑)、大音量で。洋ピンですね。リビングに行って、お茶飲んでると、あえぎ声が聞こえてくる。お母さんはあきらめて、上の階でキリストに祈ってますからね。僕が加賀谷家でいちばんキャラ薄いんですから」(加賀谷)

 

「いまの仕事先も、『ノンフィクション』見て、喜んでくれてますけど……ホントにしんどいんで。生きるのがしんどい! 芸人したいはずなのに、バイトばっかって、何やってんだろうって思っちゃう。仕事は一生懸命やるよ、やるけど『俺、何やってんだろう?』って思う瞬間は、何回もありますよ。年に365回くらいあるよ(笑)」(松本)

 

「キックさん、落ち込んじゃダメですよ」(加賀谷)

 

「うるせーよ(笑)! じゃあ、気分の高揚するお薬ちょうだいよ。もう底だろう、ここが底だろうって思っても、まだ底がある。それでも暮らしていかないといけない」(松本)

 

「安いとこに引っ越すっていうのはどうですか?」(加賀谷)

 

「引っ越すにもお金がいるんですよ、じゃあ加賀谷くんの実家、ちょうだい(笑)」(松本)

 

「勘弁してくださいよー」(加賀谷)

 

「物価だってね、1、2割上がってるんですよ」(松本)

 

「知ってますよ、ネットで見ましたよ」(加賀谷)

 

「どこのネット?」(松本)

 

「ジャパネット(笑)」(加賀谷)

 

『ザ・ノンフィクション』出演は、松本ハウスにとって間違いなく追い風だろう。即興漫才を武器に、再びテレビを席巻する2人が見られるかもしれない。

 

まつもとはうす はうすかがや 
1974年生まれ、東京都出身 まつもときっく 1969年生まれ、三重県出身 1991年結成。現在はサンミュージック所属

( SmartFLASH )

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