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『ゼイチョー』菊池風磨、“平成ギャル風” 主人公で孤軍奮闘するも、バディたちからの援護がなくて…かわいそう

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.11.11 11:00 最終更新日:2023.11.11 11:00

『ゼイチョー』菊池風磨、“平成ギャル風” 主人公で孤軍奮闘するも、バディたちからの援護がなくて…かわいそう

 

 主人公の孤軍奮闘は光るが、いかんせん他のキャラの魅力不足が否めない。よって、可もなく不可もなしで、このままでは記録にも記憶にも残らないドラマになってしまいそう……。

 

 Sexy Zone菊池風磨が、ゴールデン・プライム帯ドラマの初主演を飾っている『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ系)のことだ。先週土曜に第4話まで放送されている。

 

 このドラマは一般人にはあまり馴染みがない、市役所の徴税吏員(ちょうぜいりいん)にフィーチャーしたお仕事もの。税金滞納者のもとに訪問し、時に財産を差し押さえるなどして、滞納されている税金を納めてもらう。平たく言うと “税金の取り立て屋” である。

 

 

 ただし、ただ取り立てるだけではなく、さまざまな事情で住民税や固定資産税などを払っていない市民に対して、彼らのお金と心に寄り添って解決に導いていくヒューマンドラマとなっている。

 

■軽いノリの主人公とド真面目なバディ

 

 主人公・饗庭蒼一郎(菊池)は、元は財務省のエリート官僚ながら、現在はワケありで市役所納税課の徴税吏員に。いつも軽いノリでニコニコしている脱力系で、コミュ力が高い人たらし。それでいて税の知識が豊富で、状況を的確に捉える観察眼も持っている。

 

 そんな饗庭のバディとなるのが、ド真面目で融通の利かないことも多い新人徴税吏員の百目鬼華子(山田杏奈)。母子家庭で育ち、幼少期に税金滞納で自宅を差し押さえられており、その経験から「困っている人を助けたい」と徴税吏員に志願した猪突猛進タイプの苦労人だ。

 

 そのほか、饗庭が所属する納税課徴税第三係には、いぶし銀俳優の光石研が演じる係長、芸人の空気階段・鈴木もぐらが演じる先輩、イケメン俳優の白洲迅が演じるライバルなどがおり、バディものだけでなく、チームものとしての側面もある。

 

■菊池はいい意味でウザ演技しているが…

 

 主人公・饗庭は軽いノリなのだが、もうちょっと掘り下げて説明すると、平成ギャルのような口調のキャラなのだ。まず、口癖は「チョゼってる」で、決めゼリフは「公務員、なめんなよ」。

 

 第4話で、改心して謝罪するライバル徴税吏員に対して、「なにソレ? キャラ変? キモいんだけど~!」と茶化したり、市民のために力になると熱くなる百目鬼に、「今日もチョゼってんね~」「チョゼリグ!」とテンション高めに誉めたりもする。

 

 クセが強いため、一歩間違えればウザいだけのお寒いキャラになりかねないので賛否両論ありそうだ。だが、演者である菊池がバラエティ番組やYouTubeなどで見せるハイテンションな陽キャイメージと合致しているので、ドラマ外の彼を知っている視聴者からすると、自然と受け入れやすい主人公像になっている。

 

 しかし、残念ながらバディやチームの面々が、そんな饗庭のクセ強キャラを活かしきれていない。

 

 まず山田演じるバディが真面目堅物女子なのはいいのだが、「百目鬼華子」というキャラだけの独創性が感じられず、こういったお仕事ものドラマによく出てくるテンプレの枠におさまってしまっている。

 

 たとえば百目鬼が斬新な視点や独特な語彙力を持っているキャラならば、平成ギャル風のノリの饗庭との絡みもおもしろくなりそうだが、真面目堅物女子の定型文のようなセリフばかりで、饗庭の独り相撲のようになっているシーンが多いのである。

 

 納税課徴税第三係のチームのほかのメンバーを見渡しても個性が弱く、饗庭に上手にツッコんだり、饗庭をおいしくしたりできる、主人公との掛け合いがハマるキャラが不在。せっかく菊池がいい意味でのウザ演技に振り切っているのに、それが宙ぶらりんで放置されている感じなのだ。

 

伊藤沙莉『シッコウ!!』との類似点

 

 前クールに伊藤沙莉主演の『シッコウ!!~犬と私と執行官~』(テレビ朝日系)というドラマがあった。

 

 こちらは裁判所の職員である執行官の仕事にスポットを当て、強制執行によって財産、金品、不動産などを差し押さえたり没収したりする様子を描いたリーガルエンターテインメント。バディ役の執行官を織田裕二が演じていたことで大きな話題となった。

 

『ゼイチョー』と『シッコウ!!』は、フィーチャーする仕事の内容が似ているし男女バディものという類似点もあったが、『シッコウ!!』は伊藤演じる主人公と織田演じる執行官の掛け合いが秀逸だった。ザックリ言うと織田がボケで伊藤がツッコミだったのだが、バディ2人の会話が漫談のようになっていてとても楽しく観られた。

 

 ゴールデン・プライム帯初主演の菊池は、自分のポテンシャルを最大限に活かした演技をしているものの、周囲のキャラがその主人公の魅力を引き出せておらず、菊池がちょっとかわいそうに見えるほど。

 

 今夜放送の第5話以降で、バディやチームの面々との会話劇が盛り上がっていくことを期待したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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