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ラバーガール・大水洋介、“月9俳優”になってもネタ作りを辞めないワケ

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.12.10 11:00FLASH編集部

ラバーガール・大水洋介、“月9俳優”になってもネタ作りを辞めないワケ

大水洋介

 

 店内に入るとタレのいい香りが漂っている。ここは東京・代々木八幡駅近くにある「七福 本店」。どこか懐かしさを感じる佇まいが印象的だ。最近、SNSでネタ動画がバズって話題を呼んでいるお笑いコンビ・ラバーガールの大水洋介も、この落ち着いた雰囲気に惹かれるという。

 

「一人でちょっと飲んで串をつまんで後腐れなく帰る、酒好きにはたまらないお店です」

 

 

 初めて来たのは今から10年以上前。居酒屋をはしごするロケ番組で訪れたという。

 

「じつはこの店に来たときはもうベロベロで記憶がなかったんですよ。2年後くらいに来たときに、見覚えあるな~と思い、調べたら一度来ていて(笑)。そこから一人でも来るようになりました。ここのタレがなんとも言えない美味しさで、つい食べたくなっちゃうんですよ」

 

 至福の表情でもつ焼きを食べる大水。彼の笑いの原点は、ハガキ職人だった中学生時代。

 

「子供のころはバラエティ番組をよく観ていましたが、中学生になるとラジオ番組にネタを送るようになって。とはいっても、『オールナイトニッポン』のようなメジャーな番組は競争率が高くて全然採用されなかったので、もっぱら地元・青森のラジオ。そうしたら、すごい確率で採用されて。当時、家が賞品でもらったカップラーメンだらけでした」

 

 2001年、高校卒業後に上京。アンジャッシュアンタッチャブルおぎやはぎらが所属する人力舎の養成所に入学した。

 

「僕は全国から笑いの精鋭たちが集まっているものだと思っていたら、意外とそうでもなく。40人くらい同期がいたんですが、おもしろいと思う人は4、5人しかいなかったんです。そのなかで、お互いにおもしろいと思う感覚が同じだった飛永(翼)とコンビを組みました。

 

 暇な日は、目的もなく路上ミュージシャンを見続けたり、街を歩いている人を2人で前後で挟んで歩いてみたり。2人だけで楽しんでいる節はありましたね」

 

 テレビのネタ番組に出演するも放送されないなど、すぐには売れなかったが焦りはなかった。

 

「僕らが養成所に入ったとき、アンジャッシュさんやアンタッチャブルさんなど、すごくおもしろいのになんで売れていないんだろうという先輩がいっぱいいて。それが、数年たつとようやく世間が気づき始めたように、あっという間にスターになっていったんです。

 

 おもしろさ自体はずっと変わっていないのに不思議でしたね。で、そんな先輩を見ているからか、いつか評価されるだろうという気持ちは常にありました」

 

 マイペースに活動しながらも、コントのナンバーワンを決める大会「キングオブコント」で2010年、2014年に決勝へ進出するなど、実力派コント師として人気を集めていった。

 

 彼らの気持ちに変化が出たのは、2020年からのコロナ禍だった。

 

「コロナ禍と同時期に(霜降り明星など当時20代前後の芸人たちを称する)第七世代と呼ばれる若手芸人たちが注目を集めていったんですよ。

 

 それまでは若手としてネタ番組に出ていたのに、一気に中途半端な芸歴になってしまって……。あれっ? と思っていたら、ある番組に “いぶし銀の中堅芸人” というくくりで呼ばれて。さすがにそこに入るにはまだ早い、何かやらなきゃと思い、これまでと同じではダメだという気持ちになりました」

 

 活動の場として選んだのがショート動画を上げられるSNSのTikTokだった。

 

東京03の飯塚(悟志)さんに昔から『コントのつかみがいいよね』と言われていたので、最初のひとボケだけを上げてみようと始めました」

 

 そのキャッチーな笑いで若者を中心に人気に。

 

「最初はダメだったらすぐにやめようくらいの感覚だったんですが、まさかここに来て女子高校生の人気も出るなんて。最近では、僕らがお笑い芸人だと知らないファンの方もいるくらい。狙ったわけではないですが、すごい現象になったなと我ながら思います」

 

 バズったからといって、ネタの “作り方” を変えたわけではない。

 

「単独ライブ、YouTube、TikTokの3つを、単独なら10分で……といった感じで全部分けて考えています。

 

 昔はネタ番組でやることも考えて長いネタを避けていたのですが、今は自由です。どのネタも2人でひたすら考えて振り絞って作っているので、苦労は変わらないです」

 

 苦労してもネタ作りをやめない理由を聞くと……。

 

「僕はまわりをかき分けて前に出るタイプではないし、好きなものをひたすら語れるほどトークが得意ではない。では何ができるのかな? と思ったらやっぱりネタなんですよ。なら、せめてそこは一生懸命やろうと。それは2人の共通認識です。ネタをサボったら本当に何もなくなっちゃいますから」

 

 そんな大水が楽しいと感じるものに俳優の仕事がある。

 

「12年くらい前に、福田雄一さん演出の舞台に出たのですが、それが楽しくて。演技をするというより、コントの延長で楽しんでいる感じです。

 

 お笑いだと自分から前に出ないとチャンスが回ってこないですが、ドラマは待っていたら自分の番が必ず来るんですよ。そして、それをうまいことできれば評価される。

 

 もちろん事前に準備などもありますが、 “待ち” が好きな僕としてはこんなにいいものはないです。今は、台本を読んで、この台詞をどう言ったらよくなるかなと考えるのが楽しみのひとつです」

 

 12月18日に最終回を迎える『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)では、中間管理職として気を揉むテレビ局員を演じている。

 

「ドラマは、みんなで協力して作品を作ろう、という優しい現場なのでのびのびと過ごしています。ただ、僕、これまで死ぬ役が多いんですよ。今回はそうならないよな……とは思っているんですが、最後までわからないです」

 

 ラバーガールとしては自分たちのペースでネタ作りをして、個人では俳優としても活動を広げていく。今の生活は「悪くない」と感じている。

 

「僕ら、ライバルがいなかったんですよ。芸人になってすぐに出た番組で一緒だったのがオリエンタルラジオやハリセンボン。あまりのすごさに(自分たちは)話にならなかったです。人と比べてもしんどくなっちゃいますし、自分たちは自分たちでおもしろいと思うことを続けられればって。そして、そこそこのお金があればそれで幸せです。

 

 悪くない人生を歩んでいると思っています」

 

 あくまでマイペース。けれど、大水は芸人、俳優としてもつい観たくなる存在へと登っている。

 

おおみずようすけ
1982年12月12日生まれ 青森県出身 2001年に飛永翼とラバーガールを結成。『爆笑オンエアバトル』(1999~2010年、NHK)や『エンタの神様』(2003~2010年、日本テレビ)などネタ番組に出演。2010、2014年には、「キングオブコント」決勝戦に進出するなどコントに定評がある。2021年にTikTokにショートネタ動画をアップすると、瞬く間に人気に。2011年以降は、俳優としても活躍。現在は『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)に出演中

 

【七福 本店】
住所/東京都渋谷区富ヶ谷1-3-12 サンシティ富ヶ谷 2F
営業時間/11:00~14:00、17:00~23:00
定休日/日曜、祝日

 

写真・福田ヨシツグ

( 週刊FLASH 2023年12月19日号 )

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