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祝『紅白』出場! “ご当地ソングの女王”水森かおり 憧れの森昌子から託された3着のドレスを宝物にして歌手人生を謳歌
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.12.23 06:00 最終更新日:2023.12.23 06:00
福井県の越前加賀海岸国定公園にある『東尋坊』から始まった水森かおりの歌の旅路。『NHK紅白歌合戦』のステージへと導いてくれた『鳥取砂丘』。三重県の伊勢神宮から熊野三山へと続く『熊野古道』。そして、日本三景のひとつ、宮城県松島を歌った『松島紀行』……。
その土地の風景を、その土地に暮らす人たちの想いを歌い続け、25の都市で観光大使を拝命、47都道府県完全コンプリートまであと2つ。徳島県と福岡県を残すのみとなった“ご当地ソングの女王”水森のヒソモノとは?
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「私が最初に覚えた歌は、山口百恵さん、桜田淳子さんとともに、“花の中三トリオ”として絶大な人気を誇った森昌子さんのデビュー曲『せんせい』でした。2歳7カ月のときに私が歌ったその『せんせい』が、今もカセットテープに残っているんです」
――ということは、今回、持ってきてくれたヒソモノは、そのカセットテープ?
「そう思います!? でも違います(笑)。私のヒソモノは、昌子さんからいただいたもっと大事なもの。もっともっと、貴重なもの。もっともっともっと、心に響くものです」
水森がデビューした1995年、憧れの存在だった森は芸能界を引退しており、2人の線が交わることはなかった……ないはずだった。止まった針が動きだしたのは、森が芸能活動復帰を宣言した2006年3月27日。この日を境に、水森の想いに火が灯った。
「私がレギュラーを務めているラジオ番組に、昌子さんがゲストとして出てくださって。私のなかでは憧れが強すぎて、半ば伝説の人になっていましたから、お会いしたときは本当かな? と、何度も目を擦って“あぁ、いる。本当にいる”と、そのつど確認していました(笑)」
水森の自宅のリビングには、そのとき“一生の宝物に”と、お願いして撮ったツーショット写真が飾られている。
「昌子さんが私と腕を組んでくださったんですけど、緊張のあまり、どっくんどっくんと、へんな汗が流れて来て。1枚しかない貴重な写真なのに、どーして? と、今でも悔いが残っています(笑)」
満面の笑みを湛える森と、やや引きつった笑みをこぼす水森……。彼女のヒソモノは、このツーショット写真!?
「残念、それも違います。私のヒソモノは、“これからの自分の人生を楽しむために”と、ステージに永遠の別れを告げた憧れの先輩、昌子さんからいただいたドレスです」
ある日突然、事務所に届いた段ボール箱。送り主は森で、受取人は水森。『私にはもう必要がないものなので、ぜひかおりちゃんに』というメッセージが添えられていた。
「すごくないですか? 昌子さんがステージで身に着けたドレスですよ。それも3着も。1着ずつきれいに畳まれ、箱に入っていたんですけど、箱を開ける手がぷるぷると震えました。私にとっては、最高のヒソモノ、宝物です」
このドレス以外にも、水森には宝物と呼ぶべきものがたくさんある。いつでも「おかえり」と迎えてくれる全国各地、津々浦々の人たち。弾けるようなその笑顔。「頑張って!」と励ましてくれる声、声、声。そして、今もうひとつ新たに加わったのが、水森自身が原案を担当したコミック『水森かおり物語』だ。
「最初にお話をいただいたときは、私が漫画になる!? 嘘でしょう? もしかして、ドッキリじゃないの? と思いました(笑)」
順風満帆なんかじゃない。つまずき、転び、悩んで、苦しんで、もがき続けてきた歌手人生……それが水森が歩んできた道だった。
「完成した漫画を読んで、そのことがよくわかりました。昔があったからこそ今がある――。これが私の歩いてきた道、水森かおりそのものです」
毎年、大きな目標は立てず、目の前のことを大事にしていくというのが彼女のスタイル。2025年には、デビュー30周年という節目の年を迎えるが、その想いは変わらない。
「デビュー記念日の9月25日に毎年、東京でメモリアルコンサートを開いているんですが、25周年のときに全国でやることが決まっていたんです。ところが、コロナ禍でだめになってしまって。悔いだけが残っているので、それは実現させたいと思っていますが、それ以外は、いつもと同じ、一日一日を大切に歌っていきたいと思っています」
最後にこれからやってみたいことを尋ねると、「そうですね」と束の間ぎゅっと目をつむり、何か思案をめぐらせた水森。
そして、いたずらを思いついた子供のように目をきらめかせて「グラビアですかね」と言った後、「冗談ですよ」と笑顔を見せた。
みずもりかおり
8月31日生まれ 東京都出身 1995年に『おしろい花』でデビュー。2003年『鳥取砂丘』で『NHK紅白歌合戦』に初出場。2023年も出場が決まり、21回連続出場中。“ご当地ソングの女王”と呼ばれ、25の都市で観光大使を務める
写真・中村 功 取材&文・工藤 晋