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「藤井八冠になんとしても食いついていく」藤本渚四段に谷川浩司十七世名人も将来を期待!【第一人者が推す次世代スター】

エンタメ・アイドル 投稿日:2024.01.12 06:00FLASH編集部

「藤井八冠になんとしても食いついていく」藤本渚四段に谷川浩司十七世名人も将来を期待!【第一人者が推す次世代スター】

「かつて剣の道に生涯を捧げた人たちは、どんな気持ちだったのか。自分も何かを賭ける覚悟がいると思います」(藤本渚四段)

 

 AIの普及で未曾有の変革期を迎える人類社会――。しかし、本誌が各界第一人者を取材すると、将棋界は、“この若者”が背負ってくれると太鼓判を押してくれた。

 

 今や、将棋界で無双となった藤井聡太八冠(21)。果たしてこのまま独走が続くのか、それとも牙城を崩す棋士が現われるのか。将棋界の重鎮・谷川浩司十七世名人(61)に2024年、期待の新星を上げてもらった。

 

 

「私が推したいのは、藤本渚四段(18)です。まず現在の最年少棋士であるということ。そしてプロデビューして2年めの今期、常に高いレベルの将棋を指し、藤井八冠と勝率一位を争っています。そして、新人棋戦の加古川青流戦で優勝もしました。さすがにタイトル戦に出るには30歳前後の強い棋士たちがいますので、挑戦権を得るまでにまだ数年かかるかもしれません。それでも、十分に将来への期待感を抱かせます」

 

 藤本四段は現在高校3年生で、制服を着て対局に臨む姿には、まだあどけなさが残る。ふつうに高校生活を楽しむ時間はあるのか聞くと、「将棋の勉強をしている以外は、食事と睡眠だけですね」と笑った。

 

 香川県で中学まで過ごし、高校入学を機に家族で大阪に引っ越した。将棋のプロを目指すためには、ライバルが多い環境に身を置くことが望ましい。研究会への参加や、互いに与え合う刺激が棋力の向上には重要だからだ。そのため、地方から棋士を目指す場合、東京や大阪に移る選択は珍しくない。

 

 棋士になるためには、養成機関である奨励会へ入会しなければならないが、試験は極めて難しい。藤本四段は小学5年のときに2度めのチャレンジで合格する。2016年9月のことで、この翌月に、入れ替わるように藤井聡太八冠が史上最年少でプロデビューを果たした。藤本四段は「すごい衝撃でした」と話す。

 

 奨励会に入会できても、プロになれるのは約2割しかいない。将棋漬けの日々を送っても平均で8年ほどかかる。藤井八冠の14歳2カ月が常識外だとして、藤本四段の年齢17歳2カ月でのプロ入りも、棋士のなかでかなり早いものだ。

 

「藤井八冠は、成長曲線がほかの棋士とはまったく違うんです。レーティングの数値も、ふつうは何度かアップダウンの山があるのですが、ひたすら上り詰めている。前例のない存在だと思います」(藤本四段)

 

 前出の谷川十七世名人は、「藤井八冠の活躍を間近で見ている年下の棋士たちは、その勉強法や生活をモデルとして、自分なりに取り入れていくことができる」と言う。そうして成長した棋士たちが近い将来に活躍の中心となり、将棋界は大きく様変わりしていくだろうと予想する。

 

 藤本四段は、初参加となった王位戦予選を勝ち進んで、挑戦者決定リーグ入りを決めた。トップ棋士を含めた12人で、4カ月にわたって藤井王位への挑戦権を争う。10代の才能がどこまで可能性を開花させるのか。

 

「自分は、これから将棋の道で生きていきます。藤井八冠の圧倒的な存在の前に、努力する意味を見失ったり諦めてしまったら、独走するのを助けているようなもの。なんとしても食いついていきたい。かつて剣の道に生涯を捧げた人たちは、どんな気持ちだったのか。自分も何かを賭ける覚悟がいると思います」

 

ふじもとなぎさ
2022年、17歳2カ月でプロ四段。井上慶太九段門下。2023年、第54期新人王戦で準優勝、第13期加古川青流戦では史上最年少優勝

 

写真/取材/文・野澤亘伸

( 週刊FLASH 2024年1月23日号 )

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