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『イップス』主人公が謎を解かずに事件解決…篠原涼子も “被害者” に思えるひどすぎ最終話【ネタバレあり】

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.06.22 14:30 最終更新日:2024.06.22 14:30

『イップス』主人公が謎を解かずに事件解決…篠原涼子も “被害者” に思えるひどすぎ最終話【ネタバレあり】

『イップス』制作発表に登場した篠原涼子

 

 なんじゃこりゃ、という終幕だった。ミステリー作品の最終話で、主人公の篠原涼子が謎をいっさい解かずに終了してしまったからだ。

 

 篠原涼子とバカリズムのダブル主演作『イップス』(フジテレビ系)。最終話(第11話)が6月21日(金)に放送された。

 

 世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)はだいたい4%台前後で推移しており、TVerのお気に入り数も65.1万(6月22日現在)で、ヒット作の指標となる100万登録まではほど遠い。

 

 このようにデータでは不発となっていたのだが、実際、内容もひどかったのである。

 

 

■「篠原涼子の演技が古臭い」という酷評が的外れな理由

 

 小説を書けなくなってしまった人気ミステリー作家・黒羽ミコを篠原、事件の謎を解けなくなってしまったエリート刑事・森野徹をバカリズムが演じ、そんなイップス状態で絶不調な2人がバディを組むというミステリーコメディー。

 

 基本的なフォーマットとして、犯人とその犯行手口を序盤で視聴者に明かす1話完結型の倒叙ミステリーの手法を採用し、主人公2人が犯人をどう追い詰めていくかをコミカルに描いていた。

 

 個人的には、コメディー作品としてはけっこう好きで、不作ぎみの4月期ドラマのなかでは推しているほうだった。ミコと森野のキャラクターが立っていておもしろく、そんな2人の掛け合いのコミカルさが好きだったのだ。

 

 また、ネットニュースでは、よく「篠原涼子の演技が古臭い」などと酷評されていたが、筆者は彼女があえてそういうふうに演じていると解釈していた。

 

 篠原の代表作は『アンフェア』(2006年/フジテレビ系)や『ハケンの品格』(2007年/日本テレビ系)などで、“かっこいい女” イメージが強いだろうが、その印象をあえて逆手に取っていたように思う。

 

 ミコは “かっこいい女” ふうの発言をしているものの、それがちょっといきすぎている “痛いおばさん” というキャラ。ただ、その痛さこそがコメディー作品としてのツッコミどころでありチャーミングさなため、篠原が古臭い “かっこいい女” 演技をするのは、ある種の自虐ネタのようなものだったのだ。

 

 そんなミコと飄々とした森野によるテンポのいい会話劇は、もっと評価されてもよかったと感じる。

 

■【ネタバレあり】最終回なのに篠原涼子はいっさい推理せず

 

 本作を酷評するもうひとつの要素として、ミステリー作品としてのクオリティの低さをあげる視聴者が多かったが、そこに関しては筆者も完全に同意。

 

 毎回毎回、犯人の使うトリックやアリバイ工作が安易だったり粗かったり、推理が強引な力技で展開していたりとツッコミどころ満載で、ミステリーファンほど肩透かしを食ったことだろう。

 

 そして、最終話。違う意味でとにかくひどかった。

 

 冒頭でお伝えしたとおり、篠原演じるミコがいっさい推理することなく、謎解きに関与せず。森野1人であっさり犯人をつきとめてしまったのである。

 

 ネタバレをすると、最終話はミコと親しい人物が容疑者として浮上して追われる身となるのだが、真犯人は森野の身近にいた警察関係者という結末。

 

 森野は早い段階から真犯人に目星をつけていたのだが、尻尾を掴むためにミコの親しい人物を疑うフリをして時間を稼いでいた。

 

 ミコはそんな思惑があるとはつゆ知らず森野に憤っていたのだが、そうこうしているうちに森野があっさり事件を解決してしまう。

 

 バカリズムの推理が冴えて活躍が描かれたが、篠原涼子の主人公としての見せ場がなかった。ダブル主演の片方が謎を解いたとはいえ、もう片方がただ傍観していただけなのは、ミステリー作品としてひどすぎる。

 

■【ネタバレあり】ウリだったはずの倒叙式を放棄していた

 

 ほかにも、げんなりさせられる要素があった。最終話は、序盤で視聴者に犯人を明かしておく倒叙式になっていなかったのである。

 

 本作の公式サイトに、《本作は『古畑任三郎』(1994年ほか、フジテレビ系)などをほうふつとさせる倒叙式の構成となっており》という記述があるように、倒叙ミステリーであることが特徴だったわけだが、それを最終話は放棄していた。

 

 当然第1話から採用されており、途中の第6話は違ったものの、それ以外はずっと倒叙式のフォーマットで、主人公2人が犯人をどう看破するかというのを見どころとしていたのだ。

 

 好意的に考えれば、最終話で視聴者の裏をかいて驚かせてくれたと言えるかもしれないが、少なくても筆者は「ハードルの高い倒叙式から逃げた」と感じてしまった。

 

 いずれにしても倒叙ミステリーをウリにしていたスタンスはブレブレで、期待していた視聴者はガッカリしたことだろう。

 

 ――要するに脚本が悪かった。篠原涼子は被害者で、貧乏クジを引いてしまった感が否めない。非常に残念な最終回だった。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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