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精神科医・樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」ストレスフリーな“自粛生活術”5

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.02.01 06:00 最終更新日:2021.02.01 06:00

精神科医・樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」ストレスフリーな“自粛生活術”5

 

 2021年に入って間もない1月8日の1都3県を皮切りに、全国で1都2府8県に緊急事態宣言が出されました。「振り出しに戻る」とは、まさにこのこと。ふたたびの自粛生活に、意気消沈せざるを得ません。飲食業や接客業の関係者のなかには、これ以上の営業の自粛が続けば、倒産や閉店の危機に直面する人も続々出てくると思います。

 

 このように、新型コロナウイルスは1年以上にわたって私たちの生活を脅かしつづけているのですが、じつは日本の場合、高齢者と基礎疾患を抱える人を除いたコロナによる致死率は、欧米と比べてはるかに低いのです。

 

 

 にもかかわらず、過剰な不安と心配で、コロナのストレスに押しつぶされる人が、たくさん出ることが心配です。2020年10月の自殺者数は、前年同月比で40%以上も増えました。その間の自殺者数は、それまでのコロナによる死亡者数を凌駕したのです。

 

 コロナはウイルスに接触しないかぎり感染しませんが、「コロナうつ」や「コロナ自殺」は、接触しなくても起こります。というか、むしろ家にひきこもっているほど起こりやすい。ストレスを感じている日本人全員がリスクを抱えている、ともいえます。

 

 そこで今回は、気軽に外出ができず、ストレス発散や息抜きがしづらい緊急事態宣言期間を、ストレスフリーで乗り切る方法をお伝えします。


(1)コントロールできないことを心配しない

 

「他人と過去は変えられない」。心理学者、エリック・バーンの言葉です。すでに起きた過去は変えられないし、「他人の性格」もそう簡単には変えられません。

 

 しかし、多くの人は「過去」や「他人」を変えようとして、膨大なストレスを感じています。変えられないものを変えようとするのが、人間にとって最大のストレスなのです。

 

 世の中、すべての出来事は「自分がコントロールできる出来事」と「自分がコントロールできない出来事」に分けられます。

 

 コロナの重症者数が増えている。死亡者数が増えている。たしかに心配ではありますが、あなたが必死に努力してコロナの「重症者数」や「死亡者数」を減らせますか? 無理ですね。不可能です。それは、個人のコントロールの範囲を超えていますから、心配するだけ「無駄」なのです。

 

 コロナ禍においてあなたができることは、「自分がコロナに感染しないこと」と「感染しても他人にうつさないこと」の2つです。この2つを、日本人全員がおこなえば、コロナは収束に向かいます。

 

 具体的には、「不要不急の外出を避ける」「3密を避ける」「多人数での会食をしない」「マスク、手洗い、消毒の励行」「バランスのよい食事、運動などで免疫力を高める」などが、私たち一人ひとりにできることです。

 

「自分でどうにかできる問題じゃないからしょうがない」

「それよりも、今自分ができることをしっかりとやろう」

 こうした考え方に転換できれば、ストレスの9割は消えます。

 

(2)運動不足に陥らない

 

「家から一歩も出なければコロナには感染しない!」ということで、緊急事態宣言の期間中に家からほとんど出ないという人がいるようです。特に高齢者の方に。それは精神科医として、まったくおすすめできません。

 

 運動不足は、「ガン」「心疾患」「糖尿病」などの生活習慣病や、「うつ」や「認知症」などの精神疾患のリスクを飛躍的に高めます。さらに免疫力が低下することで、感染症にもかかりやすくなります。

 

 一方、ストレス発散に運動は絶大な効果があります。30分の有酸素運動(ウオーキング、ジョギング)で、ストレスホルモンのコルチゾールは、正常レベルにまで低下します。「自分ではどうにもならないストレス」も、運動は取り除いてくれるのです。逆に運動不足の人は、そうしたストレスをためつづけることになるので、それはいつか爆発するでしょう。

 

 運動不足の解消法として私がおすすめするのは、「朝散歩」です。朝起きてから1時間以内に、15〜30分の散歩(早足)をおこなうというもの。「セロトニンの活性化」「体内時計のリセット」効果で、「ストレス解消」「うつの予防」ができます。公園、河川敷、自然の中など、人通りの少ない場所を歩くのであれば、コロナに感染する心配などありません。

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