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競馬ファン注目「日食」の日に生まれた名馬エクリプスの神秘

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2016.12.22 12:00 最終更新日:2016.12.26 11:00

競馬ファン注目「日食」の日に生まれた名馬エクリプスの神秘

『写真:青木紘二/アフロ』

 

 競馬ファンにとってG1レースは特別だ。しかし、有馬記念に向けてすでに資金が底をついている人もいるだろう。

 

 ところで、サラブレッドの血統をさかのぼるとエクリプスにたどり着く。サラブレッドという言葉がないころのイギリスの競走馬だが、その血は脈々と受け継がれ、今日のサラブレッド全体の約90%を占めるに至る。

 

 日本で種牡馬として大活躍したサンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンもみな「エクリプス系」である。

 

 エクリプスは1764年4月1日に生まれた。その日が日食だったため太陽や月の食を意味するEclipseと名づけられた。名前からすでに神秘的なロマンの香りを漂わせている。エクリプスの戦歴は単走を含めて26戦無敗、常に2着馬に大差をつけたという。

 

 並ぶもののないその強さは、「Eclipse first, the rest nowhere」という諺になっているほどだ。

 

 しかし、エクリプスが生まれた日に日食はなかったという説もある。日食の日に生まれたのでなければ、エクリプス伝説も半減する。エクリプス誕生の日に日食は本当に起きたのだろうか?

 

 アメリカ航空宇宙局(NASA)には日食のウェブサイトがあり、紀元前から5000年間の日食カレンダーを検索することができる。それを調べると、1764年4月1日の午前10時過ぎにヨーロッパの一部で金環日食が見られ、イギリスの一部でも見ることができたことがわかる。エクリプス伝説は本当のようだ。

 

 日食は地球と太陽の間に月が入り、太陽が隠れる現象である。部分食、皆既食、金環食の3種類がある。

 

 NASAによればBC1999年から5000年間に起きる日食の回数は1万1898回だから、晴れていれば平均すると1年間に2回は、地球上のどこかで見られる。太陽が月とぴったり重なり合う皆既食は、太陽と月の偶然の一致が関係して起きる。

 

 天文に興味のある方ならごく当たり前の知識だが、地球から見る月と太陽の見かけの大きさはほぼ同じである。なぜか? 地球と太陽の距離は約1億5000万kmであり、地球から月までの距離は約38万kmである。地球から太陽までの距離は、月までの距離の約400倍となる。

 

 次に、太陽の直径は約140万km、月の直径は約3500kmである。太陽の直径は月の約400倍だ。月と比較して400倍の距離に400倍の直径。

 

 したがって地球からは月と太陽が同じ大きさに見える。宇宙の壮大な偶然の一致だ。見かけの大きさが同じだから、地球と月と太陽が一直線に並ぶと両者はぴったりと重なり合い、美しいダイヤモンドリングが楽しめる皆既食となる。

 

 また月の公転軌道は円形ではなくやや楕円形のため、月が地球から遠く離れた地点で太陽と一直線に並べば、月が小さく見えて太陽にスポッと収まる金環食となる。

 

 太陽と月が男神、女神として崇められてきたのも、同じ大きさに見えるこの偶然の一致によるところが大きいだろう。

 

 次に日本で皆既食が見られるのは2035年9月2日だ。それまでに何回競馬で勝てるだろうか――。

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