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世界遺産ガラパゴスに行ったらそこらじゅう「イグアナ」ライフ・マネー 投稿日:2017.01.13 12:00

世界遺産ガラパゴスに行ったらそこらじゅう「イグアナ」

 

 飛行機が徐々に高度を下げはじめると、スッチーが頭上の荷物室のトビラをパタリパタリと開けはじめた。閉めるのではない。開けるのだ。いったい何事? 乗客がざわつくなか、スッチーは殺虫剤を噴霧しはじめる。なるほど。島に着陸する前に外界の虫を駆除するわけだ。さすがガラパゴス。

 

 東京から40時間かかって、ようやくエクアドル・ガラパゴス諸島のセイモア空港に到着である。時差は15時間。日本が正午だと、ガラパゴスは前日の午後9時。メチャクチャである。寝不足で無気力になり、叫びだしたい衝動に駆られる。

 

「なんかの罰ゲームみたいだ……」

 

 それがガラパゴス到着の最初の感想だった。

 

 ガラパゴス――最近よく聞く言葉だ。「日本の携帯はガラパゴス」というのは、あまりに独自進化を遂げ、海外で相手にされない日本の携帯を揶揄する言葉だった。

 

 では、そもそもガラパゴスとはどんな場所なのか? 周りに聞いても行った人はいない。そこで本誌は実際に行ってみることにした。

 

 飛行機が着陸し、タラップに立つと、モワッとした湿気が顔をなでる。ほんのりと潮の香り。目の前には赤茶けた大地が広がっている。「進化論の島」は荒涼としていた。ガラパゴス諸島は火山島で、島一帯が赤褐色の溶岩石で覆われている。その上に、弱々しい草と灌木がチョボチョボと生えている。

 

 赤道直下にもかかわらず、日がかげると、思いがけなく冷たい風が吹く。熱帯なのに平均気温は意外に低いのだ。それは南極から北上してくるフンボルト寒流の影響なのだそうだが、難しい話はさておこう。まずは疲れた体にむち打って、観光である。

 

 海岸通りをブラブラ歩いていると魚市場が見えてきた。漁港のすぐ目の前にあり、漁師が水揚げした魚を手際よくさばいている。1メートルほどのマグロが次々にさばかれていて、島民が買い付けに群がっている。

 

 しかし群れをなしているのは人間だけではなかった。でっかい鳥たちがワサワサと漁師に群がっているのだ。

 

「ペ、ペリカン!?」

 

 それは「ガラパゴスカッショクペリカン」であった。ガラパゴスの固有種ではないものの、珍しい野鳥である。それが群れをなして、漁師がさばくマグロの残りを虎視眈々と狙っているのだ。しかもあまりにやかましくして、漁師に邪険に追い払われている。

 

「あっち行け、コラ!」

 

 ペリカンはノタノタと逃げるが、すぐに集まってきて漁師が捨てたマグロの切れ端をギャーギャー奪い合う。

 

 驚かされたのは、それだけではない。時折、漁師の手元に、黒い物体がにょきっと顔を出すのだ。

 

「今、なんかいたぞ!」

 

 ナゾの生物を確認すべく、作業台の裏側に回ってみた。

 

 そこで見たものとは……おお、なんということか。島の固有種にして世界遺産の「ガラパゴスアシカ」が、あろうことか漁師の足もとでシナをつくり、雑魚のおこぼれをいただくために媚びを売っているのである。

 

 アシカは漁師の無視が続くと、じれたようにアタマをもたげてエサをねだる。その状況は「クマ牧場のクマ」と言ってしまうとさすがに語弊があるが、いわば野良アシカである。「世界遺産」という言葉とはあまりに遠すぎる現実だ。

 

「野良世界遺産」はアシカだけではない。島でもっとも目につく「ガラパゴス海イグアナ」。こいつらはホントにどこでもいるが、これこそ野良の典型ではないかと思われる。

 

「あ、イグアナ!」

 

 カメラマンが指さした先は「ゴミ置き場」である。その隅っこで、干からびたように転がっている黒い物体。それがイグアナであった。イグアナはピクリともせず、四肢をだらしなく伸ばしてアスファルトの上に転がっていた。状況的に見て「誰かが捨てていったゴミ」としか思えない。死んでいるのかと思って記者が恐る恐る突いてみる。

 

「ビクッ」

 

 イグアナは鋭く反応して立ち上がり、不機嫌そうに私をにらみつける。どうやら日向ぼっこをしていただけらしい。体が黒いので、道路で昼寝していてもよく見えない。

 

 だから気づかずに踏んづけそうになることもたびたびだ。地元民はきっと踏んづけてるに違いない。もちろん世界遺産を踏んづけては天罰が下るだろう。

 

取材・中山茂大、写真・阪口克

(週刊FLASH 2011年3月15日号)

 

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