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芸能人「報酬シミュレーター」誕生の秘密…一世風靡した「美人時計」で見つけた大金脈
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.06.15 20:07 最終更新日:2023.06.15 20:14
「あなたは1分間の恋をする」というキャッチフレーズで話題になった「美人時計」を覚えているだろうか。360人の美しい女性が、手書きボードで現在時刻を知らせてくれるネットサービスで、2009年に開始されるや一世を風靡した。
最盛期は地元企業と連携し、国内で35都道府県、パリ、ハワイ、台湾、インドネシアなどの海外版も展開。アクセス数は月間5億PV超、出演した女性は5万人を超え、アイドルやタレント、女優もこぞって出演する大ブームになった。だが、2022年9月、サービスはひっそりと終了した。
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「美人時計」を運営していた「BIJIN&Co.株式会社(ビジンアンドカンパニー)」の田中慎也社長がこう語る。
「当初より、『美人』を女性に限定せず、『周囲を魅了し元気づける男女』と定義し、多くの方々にご参加していただきました。
外見だけではない価値を引き出しながら、活躍の機会を提供することを目指してサービスを展開していたのですが、時流の変遷とともに、ルッキズムやジェンダー問題など、当社が意図しない形で受け取られる可能性を拭いきれないと判断し、サービス終了を決定しました」
だが、「美人時計」で育んだノウハウが、同社の次なる事業を誕生させる大きな金脈となった。
「『美人時計』に出演いただいた方に、より多くの活躍機会を提供することを目指し、写真や活動内容などを紹介できるプロフィール公開サービスを始めたところ、モデル撮影や番組出演など、さまざまなオファーをいただいたんです。それで、より多くの事業者に、新しい才能を見つけていただけるサービスの開発に着手しました」(前出・田中氏。以下同)
大手事業者だけでなく、町内会の「火の用心」ポスターや、地元カラオケ店の広告など、大きな予算をかけられないが、モデルやキャストを探している企業や自治体と、活躍したい5万人のモデルのニーズがマッチした。そして生まれたのが、ネット上で適正価格でマッチングできる「クラウドキャスティング」だ。
「『クラウドキャスティング』には、企業や広告代理店、地方自治体や教育委員会など、日本全国で1万5000を超える事業者が登録する一方、芸能プロダクションとの提携も進め、モデル、タレント、芸人、文化人のネットワークが構築されています」
キャストのマッチングでは、ギャラの支払いまで同社が一手に担ってきたが、そのノウハウをもとに始めた新サービスが「キャスティング報酬シミュレーター」だ。
「WBCで日本代表監督を務めた栗山英樹監督を講演会に呼びたいが、ギャラはいくらだろう?」など、企業や自治体のイベント担当者が直面するのがギャラの金額問題だ。
ギャラの相場感は、広告代理店やキャスティング会社のノウハウがつまったブラックボックスだったが、同サービスでは、誰でも登録不要で相場観がわかる。しかも無料だ。
相場観は、インターネット上に公開されているデータのほか、年間1万件を超える「クラウドキャスティングでの取引実績データ」を参考に算出されている。
では、栗山監督をイベントに呼びたい場合、ギャラはいくらなのか。時間は「3時間以上6時間以内」、場所は「都内」、メディア取材「あり」、イベント告知のために「肖像を利用する」などで算出した場合、250万円~375万円となった。
イギリスの人気番組で爆笑をさらった、とにかく明るい安村の場合はどうか。イベント出演の場合(3時間以内/都内/メディア取材なし/イベント告知のための肖像権利用なし)は200万円~300万円。テレビCMの場合(1年契約/契約にかかる稼働は1回あり/競合企業への出演は不可)では、3640万円~5460万円と急上昇している。
「これまでキャスティングは、暗黙知による価格設定や、不文律の業界慣習など、アナログな業務が多くを占めていました。このプロセスの透明性を高くしていくことがサービスの目的です。
プロダクションからの理解を得るのは時間がかかりましたが、コロナ禍でエンタメ業界のデジタル化が一気に進んだことで、事務所からの問い合せや登録数が一気に伸びました」
これまで、“人と人とのつながり” がものをいわせてきたキャスティング業務が、一気に透明化しそうだ。
( SmartFLASH )