ライフ・マネー
胃薬、降圧剤、抗アレルギー剤も…専門医が徹底解説 男が飲むと「EDになる薬」40種類
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.08.26 06:00 最終更新日:2023.08.26 06:00
「慢性的な胃潰瘍になってしまい、胃酸を抑える薬を飲みだしたんです。胃の調子はよくなったのですが、なぜか“下半身”のほうが……」
と語るのは、50代会社員のAさんだ。浜松第一クリニックが、2022年に男性6千人を対象におこなった調査によると、勃起障害(ED)に悩む人は、44歳までは3割以下、50代になると約半数、60代で6割を超えるという。大宮エヴァグリーンクリニックの伊勢呂哲也院長は、こう語る。
【関連記事:「性と健康」と向き合い続けた“90歳超え”産婦人科医夫婦…今でも一緒にお風呂に入るのが習慣【長生き医師の養生訓】】
「若い方は精神的な理由が原因で、年を重ねると生活習慣病などの影響で血流が悪くなり、EDになる方が多いです。ただ、EDには見逃されがちな“隠れた理由”も多いんです。なかでも代表的なのが、『薬剤性ED』です」
Aさんの話に戻ろう。
「そもそも、あまりムラッとしなくなり、イザというときも勃たないんです。胃炎の影響で体調が悪いからだと思っていたのですが、勇気を出して病院に相談したら、なんと毎日服用していた胃薬が原因だとわかったんです」
胃の調子がよくなり、服用を中止したところ、Aさんは1カ月で“元気”を取り戻したという。しかし、下半身とはまったく関係のない薬が、EDの原因になるとは……。
「まさに、代表的な薬剤性EDですね。いくつかの胃酸を抑える薬には、副作用のひとつに『女性化乳房』という症状があるんです。これは、男性ホルモンを抑え、女性ホルモンの分泌を促すために、胸が女性のように膨らむ症状ですが、こうしたホルモンの変化によってEDが起きることがあります。すべての人に起きるわけではありませんが、それほど稀な副作用でもないんです。多くの場合、服用を中止すると1~3カ月で改善しますので心配はありません」(伊勢呂院長、以下同)
そこで本誌は、伊勢呂院長に代表的な「EDになる薬」を40種類挙げてもらった。これらの成分は、ドラッグストアで誰もが買える薬にも含まれている、ごく一般的なものが多い。
「処方薬でいえば、降圧剤が原因でEDになっている例は、自覚していないものも含めると、かなりあると思います。そもそも、高血圧がEDになるリスクを高めるので、薬ではなく高血圧が原因だと勘違いしている方もいるでしょう。バイアグラなどのED治療薬は併用可能ですし、陰茎に注射することで陰茎の血管、組織の若返りを図る治療法もあるので、表にある薬を飲んでいるからといって、諦める必要はありません」
むしろ、この表を参考にEDの原因をきちんと特定することが大事だという。
「たとえば、抗うつ剤を服用している患者さんは、うつの症状は楽になったけど、EDのせいで交際している女性とギクシャクしていると悩んでいました。精神安定剤や向精神薬のなかには、脳の興奮を抑えるため、性欲の低下やEDを引き起こすものがあるんです。QOLを高めるためには、EDという副作用はけっして無視できるものではありません。薬を飲む時間を調整したり、ED治療薬を併用するなど、多くの選択肢があります。『年のせい』『疲れているだけ』などと無視をせず、まずは病院に相談してください。その際、ほかに服用している薬を、きちんと伝えることが大切です」
良薬口に苦しとは言うけれど、“息子”の健康もお忘れなく!
取材&文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)