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「水風呂はNO!」「汗が出たら退室を」45歳からの医学的「サウナの鉄則」…不眠、高血圧にも良い入り方が

ライフ・マネー 投稿日:2024.02.25 06:00FLASH編集部

「水風呂はNO!」「汗が出たら退室を」45歳からの医学的「サウナの鉄則」…不眠、高血圧にも良い入り方が

遠藤まめ/ミスFLASH2024

 

 現在、日本のサウナ人口は約1700万人にも上るほど、一大ムーブメントになった。サウナの醍醐味の一つとして、水風呂に浸かった後に得られる「整う」という状態があるが、人々はより高温のサウナ、より低温の水風呂で整うことを望んでいる。そんなブームに疑問を呈すのは、温浴効果を研究し続けて25年の医師で、東京都市大学人間科学部学部長の早坂信哉教授(55)だ。

 

「中高年になったら、整わなくていいんです。体に負担をかけない “マイルドサウナ” のほうが、心身ともによい影響をもたらしてくれます」

 

 

 自身もサウナをたしなむという早坂教授だが「整わないサウナ」なんて、愛好家からすれば驚きの概念だろう。しかし、過激な温度差は、中高年にとってむしろ危険だと早坂教授は語る。

 

「一般的なサウナでは、まず温室に入って血管を広げる。さらに、水風呂に入って急速に血管を縮める。ところが、私くらいの年齢になると、体のいろいろなところが心配になってくるんですよ(笑)。50代にもなると、心臓や脳の血管に問題があったり、血管が傷ついていたりしています。しかも本人は、そのことに気づいていない場合が多い。こうした状況で水風呂に入ると、急速な血管の収縮により、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクが高まり、非常に危険なんです。実際に海外では、冷水浴後の血圧は、脳内出血の危険が高まる200以上にまで急上昇するという研究があります。『50代以上は、水風呂に入るのは危険だ』というのが私の考えです」

 

 では、サウナは中高年には危険でしかないのか。早坂教授は、「入り方さえ気をつければ、むしろ健康には効果的だ」という。

 

「体が温まると、血管が広がり、血流がよくなります。そうすると、体中に栄養素や酸素が行きわたりやすくなり、逆に老廃物は排出されやすくなりますから、サウナはもともと体にいいんです。しかし、体を温めるときに100度は必要ありません。また、サウナ室でタオルを振り回して熱波を送る『アウフグース』が流行っていますが、50代には危ない。熱すぎるサウナは、命の危険があるんですよ。サウナ室では、温度がいちばん低い最下段に座ったほうがいい。サウナの温度は、50~70度が最適です。また、ドライサウナより、温度が低めのミストサウナがオススメです」

 

 中高年のサウナでは、急速に体温を変化させないための注意点があるという。

 

「サウナ室に入る前に、温かいシャワーを浴びて、体温を上げておくとよいでしょう。そうすれば、高温のサウナ室に入ったとき、体への負担が少なくて済みます。サウナに入った後は、汗をかいてきたら退室するくらいでOKです。汗をダラダラかくような状態は、体温が上がり過ぎていて危険です。退室したら、水風呂には入らず、温かめのシャワーで汗を流し、外気浴で体を冷ますくらいがちょうどいい。年齢に合わせた大人な入り方をしないと、冗談抜きで命にかかわります」

 

 こう警鐘を鳴らす早坂教授。危険な「整い」から、本当の身体の「整い」へ、年齢とともに楽しみ方も変わっていくのだ。

 

<マイルドサウナの7カ条>
●水風呂に入らない
●サウナはいちばん下の段
●50~70度が最適温度
●ミストサウナがあれば積極的に選ぶ
●サウナに入る前にシャワーで “準備体操”
●汗が出てきたら退室
●温シャワーで汗を流して外気浴

 

<不眠>
就寝2時間前のサウナで「深部体温」を下げる

 

「不眠に悩む人は、寝る1時間半から2時間前にサウナに入り、少し散歩などをして帰る『夜サウナ』がオススメです。サウナに入ってから体を冷ますと、体の奥の体温(深部体温)が下がります。同時に、脳内の温度も下がり、メラトニンという入眠ホルモンも分泌される。これによって、眠りにつきやすくなるんです。眠いときに手のひらが温かくなるのは、体温を逃がしているからなんですね」ここでも、中高年の「マイルドサウナ」が、深部体温の低下に役立つという。

 

「『体を冷ますなら水風呂がよいのか』と思うかもしれませんが、急激な体温の低下は逆に交感神経を刺激して、目が冴えてしまう可能性があります。なので、サウナに入った後は外気浴でほどよく体を冷ますのが効果的です。この季節なら、サウナ帰りに軽く散歩して外気温で体温を下げるのがよいでしょう」

 

高血圧
低温サウナからの温シャワーと麦茶で血行改善

 

血圧コントロールの基本は、「緩やかに血管を拡張させる」ことにあると早坂教授は語る。

 

「サウナで体が温まることで血管が拡張されますから、血流がよくなって血圧は下がります。水風呂は逆に、血管を収縮させて血圧を上げてしまうので、高血圧の人は特に危険ですね。サウナ室を出たら、温かめのシャワーを浴びて休憩する。体を冷まさないことが重要です。また、サウナ全体としての注意点でもありますが、水分をしっかりと取ることも血圧低下には重要です。選ぶなら、ミネラル豊富な麦茶がオススメです」

 

<肩こり>
水風呂前の肩甲骨ストレッチで体をほぐす

 

「肩こりには、体を温めた後のストレッチが有効です。肩こりというのは、筋肉が無駄に収縮している状態ですから、それを緩めればよいのです。サウナ室を出た後、まわりの迷惑にならないところでストレッチをする。左写真のように肩甲骨を伸ばしたり、頭の後ろで肘を曲げ伸ばしするストレッチが効果的です」

 

 肩こりや腰痛改善のためになら、水風呂も効果が期待できる。

 

「25度以上のぬるめの水風呂に1セット程度なら入ってもよいでしょう。ただ、あくまで血のめぐりをよくする目的です。水風呂の後は体が硬くなりますから、ストレッチはサウナを出てすぐにしたほうがよい。マッサージとして、温かいシャワーを肩に当てるのもよいでしょう」

 

<ED>
リラックス効果が男性ホルモン低下を防ぐ

 

「マイルドサウナ」は “男性力” に悩む中高年にも効果的だ。

 

「EDや男性更年期障害は、中高年になり、テストステロンという男性ホルモンが低下することが原因で起こります。それを防ぐためには、なによりストレスを溜めないことが重要です。『マイルドサウナ』は、リラックス効果がありますから、こうした症状にも効果的です。好きなアロマ水でロウリュウするのもリラックス効果が期待できます。高温サウナでは精子が減るという研究結果がありますから、男性機能が気になる人には、低温サウナがオススメです」

 

早坂信哉氏
東京都市大学人間科学部学部長 25年間にわたり、4万人以上の入浴を医学的に調査してきた、温浴の医学研究者。著書に『最高の入浴法』他

 

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写真・久保貴弘、共同通信、ロイター/アフロ

( 週刊FLASH 2024年3月5日号 )

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