パリ五輪で日本が獲得したメダル総数は45個で、これは金メダル20個とともに海外でおこなわれた五輪では、最多の記録となった。
一方で、男女のサッカー、バレーボール、バスケットボール、7人制ラグビー、男子の水球、女子のホッケー、ハンドボールと7競技が、すべて準決勝以前に敗戦。団体球技で4強入りが皆無だったのは、ボイコットした1980年のモスクワ大会を除けば、1960年のローマ大会以来64年ぶりの屈辱だった。
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男子体操団体やフェンシングの男子フルーレ団体で金を獲得したが、両種目とも個人戦の集合体。そう考えると、今大会はまさに個人が躍進した大会だった。
多くのメダリストたちは帰国後、バラエティ番組などでの “テレビ局めぐり” を始めている。さらには、“旬なアスリート” をCMに起用したいというクライアントも、水面下で動きだしているのだ。
その交渉の段階では、競合した際に金額が高騰しすぎないように、一応の「基準」が設けられているのだという。その調整役を担っているのが大手広告代理店なのだが、今回本誌は、その「基準額」を示した資料を入手した。以下、大手広告代理店やテレビ局関係者らが内情を明かす。
早速、おもだった選手たちの “お値段” を紹介していこう。大きくCM契約料が上がったのは、銅メダリストのゴルフ・松山英樹だ。
「マスターズチャンピオンなので、もともとCMは高額契約でしたが、パリでは激戦の末に銅メダルに輝いた。東京五輪4位のリベンジを果たしたというストーリー性もいい。ゴルフは総じて富裕層が顧客でもあるので、商業的にはさらなる活躍という期待値から値段も上がるとの査定です」(大手広告代理店関係者)
■広告業界やテレビ局が注目を寄せる吉沢恋
再び日本の強さを示したのがスケートボードだ。ストリートは、東京五輪に続き男女とも金メダルを獲得した。とくに、広告業界やテレビ局が関心を寄せるのが吉沢恋だ。
「まさに “シンデレラガール”。同じ年代の消費者に訴求できるはず。スケーター仲間とパークでの練習の合間に……という設定で飲料のCMをしてほしい。すごいことをやったのに、すごくないように感じるのが抜群の好感度なんです」(飲料メーカー関係者)
「帰国後、真っ先に巨人対阪神戦で始球式をおこなったことが、注目度の高さを証明しています。今後のイベント出演も、依頼がパンク状態です」(テレビ局関係者)
連覇を成し遂げた堀米雄斗の評価は、さらに上がった。
「パリ五輪出場も最後に大逆転で決め、金メダルも同様。その勝負強さは異次元です。米国ではすでにスーパースター。ロスの自宅を訪ねたことがあるんですが、その豪邸ぶりに驚愕。まさに成功者ですね」(大手広告代理店関係者)
ちなみに、堀米がパリ五輪で履いていた、自身がモデルのスニーカーは昨夏に売り出され、定価は当時で1万7600円。現在、ネット上では6万円から10万円以上で取引されている。
チャーミングな笑顔と日本人離れした身体能力で金メダルを獲得したのは、やり投げの北口榛花。
「実績はもちろん、あの明るいキャラクターはメディア向き。来年の世界陸上では、メインの顔として全面推しすることがすでに決定しています」(テレビ局関係者)
「大会閉幕後、彼女はまずお世話になったチェコに挨拶に行きました。律儀な姿勢に好感度が上がっています。欧州転戦後に帰国予定ですが、すでに争奪戦は始まっています。とくにプロ野球の球団が『ウチで始球式を』と声をかけているはず。彼女は北海道旭川市出身なので、日本ハムが最有力候補といわれています」(大手広告代理店関係者)
■いちばんジャンプアップした志田千陽
テレビ業界が吉沢恋とともに注目するのが、バドミントン女子ダブルスで銅メダルを獲得した志田千陽だ。
「パリ五輪でいちばんジャンプアップした存在かもしれません。テレビ局からすれば “待ち望んだヒロイン誕生” です。ビジュアルはもちろん、試合中のコミカルな動きや、いちいちアクションが大きいところが視聴者にウケるでしょうね」(テレビ局関係者)
エース橋本大輝の陰に隠れてノーマークだった体操の岡慎之助は、団体、個人総合、鉄棒と体操三冠を果たした。
「大怪我からの復帰後わずか1年だったので、代表選出すら奇跡でした。物怖じしない性格はテレビ向きですし、内村航平のような孤高のイメージというよりも、弟キャラで親しみやすい感じもいいですね」(同前)
男女合わせて過去最多となる金メダル8個を獲得したレスリング。なかでも無類の強さで、中学以来負けなしの137連勝を果たしたのが53キロ級の藤浪朱理だ。
「桁違いの強さに加え、試合後の笑顔で好感度がバク上がりでした。日本テレビの取材で櫻井翔さんからインタビューを受けたのですが、対面したときに口をあんぐりさせた表情を見せるなど、撮れ高も最高でした(笑)。受け答えもハキハキしているので、ツボを掴んだらテレビ向きだと思います」(同前)
左腕を怪我する致命傷を負いながら個人銅、団体銀を獲得した卓球・早田ひな。
「奮闘ぶりはもちろんのこと、団体銀の表彰式のとき、補欠で裏方に徹した木原美悠選手に自身の銀メダルをかけてあげて記念撮影をしていた姿に感銘を受けました」(食品メーカー関係者)
■“イジられキャラ” も魅力の湯浅亜実
パリ五輪が最初で最後と噂されるブレイキンで、金メダルに輝いた湯浅亜実(AMI)。
「キャラが立って度胸満点なのですが、顔がなんとなく似ているからと、芸人のキンタロー。が試合で被っていた大きめのキャップで顔マネをしているらしいんです。そういった “イジられキャラ” も魅力的です」(テレビ局関係者)
最後は、男子柔道で個人で金を獲ったのに評価が下がり、メダルを獲れなかったのに上がったという現象を紹介する。
「阿部一二三は個人戦では無類の強さを発揮して優勝しましたが、現地で泥酔した姿がネット上に流れてしまった。また、フランスとの団体決勝でも階級が上の選手とはいえ一本負け。勝てば悲願の金メダルだっただけに、株を下げる結果となってしまった。
対して、ウルフアロンはあまり活躍できませんでしたが、それでも彼のキャラがクローズアップされたのは、“アスリート芸人枠”としての評価ともいえる。帰国後、テレビ局からのオファーがすごいことになっています」(大手広告代理店関係者)
今夏以降、多くのメダリストがCMやバラエティに “出場予定” だが、栄冠は誰の手に!?