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九州名物「資さんうどん」社長が “面識のなかった” 創業者に思うこと「最初の3カ月はあえて何も言いませんでした」【ついに東京進出へ】
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.08.25 11:00 最終更新日:2024.09.11 14:59
九州全県を中心に計70店舗以上を展開する、北九州の “ソウルフード” として名高い「資(すけ)さんうどん」。
今冬に「資さんうどん」は、墨田区両国に都内初の店舗を出店する予定で、運営会社・株式会社資さんの佐藤崇史社長(50)は「東京1号店以外にも、まずは1都3県を中心に出店を進めていくことを計画しています」と明かす。
そして、これまでの全店舗同様、拡大路線を図っても「すべて直営店で運営していくつもりです」(佐藤社長、以下同)と話す。それには会社に浸透する “精神” が関係しているのかもしれない。
それまで「ユニクロ」で知られるファーストリテイリングに勤め、2年半ほど米国・ニューヨークで勤務した経験もあった、佐藤社長は、2018年3月、株式会社資さんの代表取締役社長に就任した。
同社は1971年に北九州・戸畑にある知人のうどん店を継承した、大西章資(しょうじ)氏が、1976年に「資さんうどん」を誕生させ、1980年に前身会社を法人化したことから始まっている。
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2012年に社長を退任した創業者の大西氏は、2015年に死去しており、じつは事業継承した佐藤社長は、大西氏と面識がなかった。そんな大西氏について、このような印象を話す。
「創業者として、本当に素晴らしいお店と企業を作り上げた。ある意味、天才ですね。お客さまを喜ばせることが大好きで、お客さまを喜ばせることに情熱を捧げた、そういう人だったので、『資さんうどん』という、すごくいいお店を作ることができたと思います」
創業者の退任後、複数のファンドに経営が移った後、佐藤社長に、三代目の社長として、株式会社資さんの経営がまかされた。
「正直、大西さんが退任された際は、コンプライアンス、ガバナンスなど、会社として整えなければならない課題が山積みでしたが、その部分は前任社長がしっかりと整理してくれたと思います。私が “バトン”を受け取ったときには、日々の商売や今後の成長に集中できる環境が整っていました」
佐藤社長は、就任する前に、資さんうどんを訪れたことがあり、その美味しさやお店の活気に感動したことを昨日のことのように覚えているという。
「ニューヨークに住んでいたときに、日本のラーメン店に行列ができていたり、ニューヨーカーの友人が好物に挙げるなど、日常に溶け込んでいる姿を目の当たりにしました。
そこから『日本食』のすごさ、可能性を強く感じたんです。やはり、日本の誇る財産、宝だというふうに思いました。資さんの社長就任を決断したのも、『資さんうどん』は世界に通用する本物だと確信をし、何よりこんな美味しい食べ物を世界に届けられれば、世界中の人々を笑顔にできるんじゃないかと思ったからです。
私は、資さんがお客さまにご支持いただいている根本にある、大西さんの『お客さまを喜ばせたい』という精神をいちばん大事にしなきゃいけないと思っています。
それこそが、資さんの大切なDNAだと思っているからです。ですので、着任した際に、いちばん最初に考えたのが、この精神をきっちり、この会社の後世に引き継いでいかなければならないということでした」
佐藤社長が就任したとき、資さんうどんの店長でも大西氏と会ったことがない人が、3分の1ほどになっていたという。すでに、創業者を知らない従業員も多かったのだ。
「今後、店舗数を拡大したら、もっと創業の精神が薄れる可能性もある。そこで、まずは半年がかりで従業員たちと、とことん話し合いながら『幸せを一杯に。』という経営理念をみんなで作り上げました。それ以来、この経営理念を中核に据えた経営をおこなっています。
じつは、着任して3カ月ほどは、私は資さんを今後どうしていくべきという話はいっさいしませんでした。専念したのは、パートの方も含めて、現場で働く従業員と会って『なにを大事にしてきた会社なのか』『この会社をどうしていきたいか』という話をとにかく聞いてまわるとことでした。
資さんうどんは、お客さまからの高いご支持に支えられて、業績も順調な状況でしたので、すぐに何か問題を解決しなければならないということではありませんでした。
資さんの従業員はこれまでお客さまに高いご支持をいただいている店作りをしていた人の集まりで、力があるはずですから、今すぐ、何かに手をつけるよりも、成長に向けて一歩を踏み出す勇気と自信を持ちさえすれば、自然と成長に向かって、モチベーション高く走りはじめるはずと思ったんです」
7月13~15日に「資さんうどん」が、東京に1日400食限定の店舗を出店した際は、長蛇の列ができたことが話題になった。佐藤社長は、それも「資さんうどんが愛されている証だ」と感じたという。
「あのときも大々的に宣伝したわけじゃないんです。通販でふだん購入してくれるお客さまに、ご案内のメールをお送りしたり、SNSで告知した程度でした。『お店が出ることを東京の知人に教えておいたよ』みたいなことをいろんな人に言われて、資さんファンのお客さまが、ほかのお客さまにお伝えいただくという、嬉しい連鎖反応が起こっていることを実感しました。
やはり、資さんは本当に熱量の高いファンのお客さまに支えられているなと思いましたし、それ以上に従業員も資さんうどんへの愛と想いが強い。結局のところ、『人』に支えられていることが、我々の会社の最大の強みだと思っています」
東京進出後のことを尋ねると、「地球の裏側で、資さんうどんを食べて『美味しいね』と笑顔になってくれる人がいたら、それは幸せなこと」と話していたように、さらなる進化と拡大を目指すという。
北九州から、海を渡る日も近いかもしれない――。
写真・繁昌良司
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