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過剰医療を防げ「薬のやめどき」を本気で考えよう!

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.05.31 08:00 最終更新日:2018.05.31 08:23

過剰医療を防げ「薬のやめどき」を本気で考えよう!

 

 死亡原因として、米国はじめ諸外国の間で話題になっている「過剰医療」。その “現代病” の実態とは。不要な医療を否定する岡田正彦氏が、日本の「過剰医療」にメスを入れる。

 

 日本では、生活習慣の改善で解決できる事態にも、を処方されることが多い。それにも岡田氏は警鐘を鳴らす。

 

「検査でちょっとでも正常値を外れると、『念のため』と言ってすぐに薬を処方する傾向が強いです。薬には当然、副作用があります。糖尿病の薬は血糖値を下げてくれるのですが、逆に効きすぎて低血糖を招くケースがよくあるんです。

 

 そうなるとめまいや動悸をきたし、深刻なケースでは命に関わることもあります。血圧の薬もそうです。血圧が上がりすぎると脳出血の恐れがありますが、下がりすぎると血流が低下して認知症を悪化させます。失神する危険性もあります」(岡田氏)

 

 長尾クリニック院長の長尾和宏氏も、安易な降圧剤の継続投与に異を唱える。

 

「血圧を下げるということは生命力を下げるということ。仕事や社会活動や性欲の減退など、生活の質にも影響します。降圧剤を飲み続けることでうつ病のようになってしまった人もいます。薬は減塩食と歩行で高血圧体質が改善されるまで、あくまで期間限定でやむをえず使う手段だと認識すべきです」

 

 長尾氏は薬を徐々に減らし、いずれはやめるという考え方を提案している。

 

「けっして薬を全否定しているわけではないです。必要なときに上手に使うのが薬。すべての薬には利益と同時にリスクもあります。高血圧、糖尿病、高脂血症なら生活習慣を自助努力であらためることを優先すべき。一生続けなければならない薬などありません。薬を飲み続けるリスクのほうが大きくなったらやめる。つねに『薬のやめどき』を意識すべきです」

 

 何が効いているかわからないまま、ただ医師に処方されるままに薬を服用しているという人も多い。具体的には、いつがやめどきなのだろうか。

 

「降圧剤は弱いものを少量から開始すべきです。高齢者は血圧が、上が120台、下が70台になれば減量・中止のタイミングです。LDLコレステロールの薬は、既往症のない方なら、数値が140以下になればやめていい。糖尿病は、血糖値の指標であるHbA1c値が6.5%以下になったら、薬の減量・中止を考えるべき」(長尾氏)

 

 ストレスの多い中年世代には、抗うつ剤を飲んでいる人も少なくない。

 

「気をつけたいのは、次第に種類が増えて多剤投与になっていくことです。そうなると、量も増えて依存症になり、なかなか薬から抜け出せなくなります。自分から急にやめられなくても、まずは『減薬』を考えてくれる医師を探したほうがいいでしょう」(岡田氏)

 

 胃腸薬や鎮痛剤といった症状緩和の薬も、服用には注意が必要だ。

 

「そもそも胃腸薬は『頓服』的に飲むもの。逆流性食道炎に投与される『PPI』を飲み続けると、鉄欠乏性貧血や認知症のリスクが高まります。消炎鎮痛剤は胃潰瘍などの消化管出血がリスク。カプセル内視鏡で観察すると、小腸からジワジワ出血しています。消炎鎮痛剤は劇薬と認識すべき」(長尾氏)

 

 なお、海外には薬のやめどきを示すガイドラインもあるという。

 

「たとえば、米国の老年医学会では、認知機能の指標であるMMSEが30点満点中10点以下になれば、抗認知症薬をやめるという基準があります。わが国でも、日本糖尿病学会と日本老年医学会が協働し、糖尿病薬の『やめどき』を示していますが、現場の医師には充分に浸透していません。患者にもそんな情報は届いていません」(同前)

 

(週刊FLASH 2018年4月24日号)

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