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アメリカ人を巨大化させた「果糖」の正体…清涼飲料水とスポーツドリンクが、日本人を糖尿病・脂肪肝にする!

ライフ・マネー 記事投稿日:2026.09.19 11:00 最終更新日:2026.09.19 11:00

アメリカ人を巨大化させた「果糖」の正体…清涼飲料水とスポーツドリンクが、日本人を糖尿病・脂肪肝にする!

写真・AC

 

 ダレス国際空港に降り立ったのは、1996年、雪がしんしんと降る、初冬の寒い夜だった。私はワシントンDCで開催される北米神経科学会で、ポスター発表をする予定だった。初めての国際学会に、期待で胸がいっぱいだ。そして緊張もしていた。会場は、ワシントンDCのダウンタウンにあった国際会議場だ。

 

 ダウンタウンを歩き回ってみて、驚いたのは、肥満体型の人が多いことだった。日本人の感覚からいえば超肥満にあたる人が、そこかしこに歩いていた。日本ではまず見ることができない、150kgを超えるような人が、普通に歩いていた。

 

 ときが経って、2014年に東京工科大学に教授として赴任したとき、私は、「アンチエイジングフード(抗老化食品学)」という分野の研究室を主宰することになった。その際、20年ほど前に経験したこの驚きについて、自分なりに研究を続けていこうと決めた。

 

 私が肥満の多さに驚いた、アメリカの東海岸や西海岸は、じつは全米のなかでは、肥満があまり進行していない地域だ。南部や中西部では、肥満がはるかに進行している。そして全米で平均すると、40%以上の人がBMIが30を超えているのだから、中西部や南部ではどれだけ肥満が進行していることか。

 

 中西部の中心都市の1つであるセントルイスなどでは、男性も女性も超肥満が多く、日本人が想像できるレベルをはるかに超えている。このような肥満はなぜ蔓延したのか? なぜこんなになるまで放置したのか? 食物を、身体が消費する量より多く食べたというような、ありきたりの理屈では納得できない。

 

 2000年ごろ、ロバート・ラスティグというアメリカの医学研究者が、異性化糖が原因でアメリカ人が巨大になったと述べた。これに対して、アメリカの食品会社は、「エビデンスがない」と強く反論した。その後、エビデンスがある、ないという議論を何十年も繰り返した。その間にアメリカではBMIが30以上の人の割合が、ついに2024年に40%を超えた。

 

 日本人への影響は、肥満のような外から見える変化よりも、糖尿病の急増という、外から見えない変化である可能性がある。日本人の場合、肥満になる前に、インスリンの分泌が急激に減少して、糖尿病が重症化するという経緯がありうる。出てくる結果が肥満であっても、糖尿病であっても、異性化糖の摂取がこのまま増加すれば、日本人に大きな災難が降り注ぐことは間違いない。

 

■果糖が毒性の実体

 

 砂糖は、ブドウ糖と果糖が「結合」している「化合物」だ。これに対し、異性化糖は、ブドウ糖と果糖が「混在」している「混合物」だ。どちらも、ブドウ糖と果糖からできている。ブドウ糖と果糖は、どちらが毒性の本体なのか? 毒性学の立場から見ると、これは最も単純で、最も重要な質問だ。

 

 ブドウ糖をマウスに与えても、何も起こらない。これに対して、果糖をマウスに与えると、顕著な脂肪肝を誘導する。長く投与すると、脂肪肝のせいで、肝臓のブドウ糖の取り込み能力が減ってくる。

 

 ブドウ糖の取り込みを増やすために、インスリン(肥満ホルモン)を大量に放出する。これを「インスリン抵抗性」(=インスリンの作用不足)と呼ぶ。果糖は、「脂肪肝→インスリン抵抗性」を誘導する。

 

「インスリン抵抗性」こそが、肥満や糖尿病を含めた、すべてのメタボリックシンドロームを引き起こす、最も共通の病態だ。放置すれば、肥満や糖尿病に移行する。この現象はマウスもヒトも共通だ。

 

 砂糖と異性化糖は、私たちの口の中ではまったく異なった状態で存在する。砂糖は1つの物質だが、異性化糖はブドウ糖と果糖の2つの物質が存在している。問題は果糖だ。

 

 ヒトにとって「甘い」という味覚は、脳に対して他の味覚とは別格の作用を持つ。ドーパミンという快楽物質を脳で放出させるからだ。果糖は、ブドウ糖よりもはるかに甘い。だから果糖は、ブドウ糖よりもはるかに多くのドーパミンを遊離させることになる。

 

 このため、脳だけが果糖を欲しいと思っている。ドーパミンは一時的に脳からストレスを取り除く。砂糖と異性化糖は、ストレスを解消するためのもっとも容易な方法だ。疲れたときチョコレートを食べたくなるのはこのためだ。

 

 しかしこの幸せは一瞬で終わる。すぐにストレスの状態に戻る。脳はさらに多くのドーパミンを欲する。つまり「クセ」になる。果糖は毒性が高く、摂りすぎると身体を傷めることにつながるのに、脳が「果糖がもっと必要だ」と錯覚させている。

 

 1970年から2000年までの30年間で、異性化糖の摂取量が飛躍的に伸びた。一方、砂糖の消費量は頭打ちだった。むしろ減少した。異性化糖の摂取量が増加した時期と、アメリカ人が肥満化した時期がピタリと一致している。

 

 最初の10年間は、肥満は顕著ではなかった。1980年代に異性化糖は、主に2つの巨大市場に浸透した。1つは清涼飲料水であり、もう1つはそのなかのスポーツドリンクである。

 

 1980年以降に清涼飲料水にHFCS(高果糖コーンシロップ:High Fructose Corn Syrup)を使用することによって、HFCSの摂取量は急増した。たとえばコカ・コーラ社がHFCSを含んだ製品を本格的に市場に投入したのは、1984年である。

 

 スポーツドリンクも少し遅れて続いた。ゲータレードというブランドのスポーツドリンクが開発されていたが、味がよくなかった。しかし1983年にクエーカーオーツが、ゲータレードを買収し、味を調整するために、異性化糖(HFCS)を添加し、販売量を飛躍的に増加させた(その後2001年にペプシコ社が買収)。

 

 これを契機に、スポーツドリンクには異性化糖を添加することが当たり前になり、全世界で、スポーツドリンクという、今までになかった異性化糖の市場を出現させた。

 

 砂糖のような、果糖とブドウ糖が結合したかたちのものよりも、異性化糖のように、果糖とブドウ糖が最初から分かれたかたちの方が、はるかに肥満させる能力が高い。

 

 夏の暑い日に、幼い子どもにスポーツドリンクを与えている母親をよく見かける。わが子に大量の果糖を与え続け、インスリン抵抗性にする。だから筆者はこの風景を見ると心が痛む。

 

 

 以上、佐藤拓己氏の新刊『アメリカ人を巨大化し、日本人を糖尿病・脂肪肝にする果糖の正体 糖質制限よりだいじな果糖制限』(光文社新書)をもとに再構成しました。あらゆる加工食品や清涼飲料水に含まれる果糖(異性化糖)の肝臓毒性をあきらかにします。

 

■『アメリカ人を巨大化し、日本人を糖尿病・脂肪肝にする果糖の正体』詳細はこちら

出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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