外食チェーン「すかいらーく」創業者の横川竟(きわむ )氏が、6月28日放送の『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)に出演した。
横川氏は「すかいらーく」を創業した横倉四兄弟の三男で、現在は「高倉町珈琲」を経営。年齢は80歳になるが、人気外食店を回るなど日々研究を欠かさない。その姿勢と手腕から「外食界のレジェンド」とも呼ばれている。
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番組で司会の村上龍から「外食にどんな人が向いているのか?」と聞かれ、横川氏は「人が好きでなきゃダメでしょうし、(お客に)喜んでもらって『よかったな』と思える人。だからお金で計算しない人です。いまの世の中はお金で計算しすぎている」と話す。
さらに「『いくら儲かるか』とそろばんを弾いて儲かった人はいないんです。初めからそろばんを弾くとダメ。『どうやったら買ってもらえるか』って作って、いつのまにかお金が残っていた。これが商売」と続けた。
横川氏は自ら分析し、外食チェーンのランキングを作っている。売り上げから判断するのではなく、客数から判断するという。「マクドナルド」「串カツ田中」、ラーメンチェーンの「山岡家」などを「よい企業」としてあげる。
反対に20%近く客数が落ちていれば「危険信号企業」と判断する。だが、そもそもなぜ自らランキングを作るのか。
「伸びている会社には伸びる理由がある。ダメになる会社にはダメになる理由があるんです。それを『情報』として持っていることで、『やってはいけないこと』『やらなきゃいけないこと』が明確になるからです」
ダメになる会社の特徴とは一体なんなのか。
「『俺だけは大丈夫だ』というのが、外食のトップ。僕もそうでした。『大丈夫だ』と思ってそろばんを弾くようになると、店ばっかり作って人づくりと商品づくりがおろそかになる。いま僕が『不振店』と言っているところは全部そう」
番組では、吉祥寺にある開業3年めのシーフードレストランについてアドバイス。店主の「パスタメニューが多いためイタリアンと誤解されている」などの悩みが紹介されると、横川氏はこう指摘する。
「イタリアンと誤解されるのが嫌ならスパゲティを中心にしないこと。なぜシーフードなんでしょう? 体のためにシーフードがいいのか。あるいは自分がシーフードを食べてきたからお客さんにも、なのか。そこがはっきりしていない。
自分の経営の思想のなかに、『なんのためにフードビジネスをやるのか』(がないと)。レストランの前にフードとしての役割がある。
生きていくためにやるのか、商売が好きでやるのか。『いまの世の中がダメだから世直しするぞ』とやるのか。独立した目的があるはずなのにそれがない。
(つまり)魚がいない場所に釣り糸を垂らすのと同じ。失敗した人はいない場所に垂らしているのに、『自分はいるところに垂らしている』という錯覚で失敗している」
レジェンドの言葉には、外食産業のみならず、すべてのビジネスにおいて相通ずるものがありそうだ。