ライフ・マネー
吉田戦車、10年前買った炊飯鍋が自慢「高級品の97%ウマい」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.11.21 11:00 最終更新日:2018.11.21 11:00
わが家はだいたい二日おきにご飯を炊いている。どうやって炊くか。
うちでは、妻の「置き場所がとられるのがいやだ」というポリシーのもと、電気・ガス炊飯器は持っていない。ひとり暮らし時代の私も、「無印良品」の炊飯土鍋を愛用しており、すでに炊飯ジャーは使っていなかった。
しばらくはその土鍋と、妻の「ル・クルーゼ」のどちらかでご飯を炊いていたのだが、どちらも大きく重く、ガス台のコンロ一つを占拠することになりがちだった。妻のきらいな「場所をとられる」というやつである。
そこでネットで調べてたどり着いたのが、意外な鍋だった。シリット「シラルガン ミルク ポット」。ドイツ製の片手鍋。重量はそこそこあるが、見た目はコロンとしていてかわいい。
シラルガンというのは「約30種もの天然鉱石を独自の比率で調合し、約1200°Cの高温で溶解した」ガラスとセラミックを融合させたようなコーティングであるらしい。日本の販売業者が、あちらで使う本来の用途以外に「1、2名向きの炊飯鍋」として勧めていた。
10年ほど前に、いくらしたのか忘れたが(現在はネットで1万5000~2万円ぐらい)、妻と検討し、思いきって買ってみた。以来10年間、ご飯専用鍋として稼働しているから、大成功の買いものといっていいだろう。
量は、2合炊けなくはないけど、やや窮屈な感じ。うちでは1合か、1合半を炊いている。夫婦と小学生という構成で、弁当作りもないし、夜は大人はご飯を食べないことも多いし、今のところこの炊飯量で十分なのだ。
米をとぎ、30分ほど置く。米1カップだとしたら、水240~250ミリリットルぐらいの水かげんで、ふたをして中~強火。タイマーを12分にセット。
吹きはじめたら、吹きこぼれないようふたを開け、長いスプーンでざっとひとまわしかきまぜる。えっ、ふた開けるの? と思われるかもしれないが、妻がラジオで聴いた方法で、吹きこぼれがなくなるのがすばらしく、このやり方に定着した。
吹きあがっている「おねば」が収まるまでふたを開けたまま3~4分炊く。ご飯表面にポツポツと穴が見え始める、残り時間8分ぐらいでふたをして、最弱火に。
タイマーが鳴ったら、一瞬おまじないのように火を強めてから止め、蒸らす。コーティングのおかげか、ご飯が鍋肌にこびりつきすぎることもない。
5万~10万円ぐらいの圧力IH炊飯器や、専用炊飯土鍋で炊いたうまさが100とするなら、97ぐらいのうまさはあるのではないだろうか。じゅうぶんうまい、ということだ。
なにより、炊き立てのご飯が入った鍋を片手で持ち運べるフットワークのよさは得がたく、重い炊飯器や土鍋にはもう戻れない。
米の消費量が増えたら、別の鍋に移行するかもしれないが、万が一の災害時の練習にもなるし、鍋炊飯はいいものです。
よしだせんしゃ マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身 「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。近刊に『忍風! 肉とめし 1』『来れば? ねこ占い屋』(ともに小学館)。
※本連載の単行本が発売中
(週刊FLASH 2018年11月27日号)