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吉田戦車、熟読した「ガンダム全集」実家で見返して痛恨

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.03.27 11:00 最終更新日:2019.03.27 11:00

吉田戦車、熟読した「ガンダム全集」実家で見返して痛恨

 

 親の相手をしに実家にきている。『チコちゃんに叱られる!』などを見ながら夕飯を食べて会話をするとか、そういう相手だ。

 

 産直やスーパーで買いものはしたが、そうそう目新しいものがあるわけでもない。何かネタはないかと、30~40年前の本がまだしっかり残っている自室に行ってみる。

 

 

 あっ。

 

 これは、当時の親に「ごめん、買っちゃいました……」とあやまるべき物件かもしれぬ、というものを発見。

 

『機動戦士ガンダム 記録全集』

 

 アニメ制作会社の「サンライズ」(当時は日本サンライズ)の公式豪華資料集である。


 全5巻。サンライズに直接注文する通信販売で買ったものだ。

 

 1、2巻は2700円。3巻はどこにも書いておらず不明。4、5巻は2900円。他に各送料350円。1979年12月から1980年にかけて、数カ月おきに立て続けに発売されたのだった。

 

 放映期間が1979年4月から1980年1月なので、放送終了前から刊行に踏み切ったということか。それほどにガンダムは、アニメファンの間で熱狂的な盛り上がりを見せていた。

 

 刊行時期の私は高校1年生。せっせとアニメ、マンガ雑誌を買い、そのほとんどすべてのページを熟読。情報収集に精を出していた。

 

 雑誌代だけでもたいへんなのに、この高額な豪華本も買わずにはいられないほど、いわゆる「ファーストガンダム」には悪魔的な魅力があった。

 

 中学2年の頃は新聞配達のバイトをして、雑誌や書籍やレコード購入に充てていたが、受験のために休止したあと再開はしておらず、こづかいは潤沢ではない。

 

 ただ、勤めに出ていて忙しく、それほどうるさく干渉してこなかった母親に「参考書が……」などと頼めば、月のこづかい以外にもわりと無条件にお金をもらえた頃であり、そのへんを大いに利用した気がする。

 

 マメに親戚をまわり、おじさんおばさんからいただいたお年玉も、確実にガンダムにつっこんだ。

 

 久しぶりにぱらぱらページをめくってみる。

 

 映像ソフトの所有、ということがまだポピュラーではなかった時代なので、とにかく可能な限りの名カットを入れ込んでカラーページ多数。

 

 たしかに豪華本である。作画監督、安彦良和さんの、若く熱い寄稿文などもステキ。

 

 ただ、ハッと気づいたのだが、5巻がない。どこか別のところに? いや違う。買わなかったんだ! 

 

 全5巻の4巻まで買って、1980年10月刊行予定だった最終巻は買わなかった。なんて半端な! 月日が経ち、すでに他に欲しいものができていたのかもしれないが、なんとまあオレっぽい買い方。

 

 処分するにもなんだか買い叩かれそうな揃え方なのだが、当時は「いつか処分する」可能性なんて、毛ほども考えなかったのは間違いない。

 

よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。近刊に本連載の単行本『ごめん買っちゃった』(光文社)。そして、『忍風! 肉とめし2』(小学館)が発売中! 

 

(週刊FLASH 2019年4月2日号)

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