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女性は9割が不足…なぜ現代人はビタミンDが欠乏しているのか?
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.09.30 16:00 最終更新日:2019.09.30 16:00
最近の研究で、ビタミンDの欠乏が、がん、心・血管疾患、生活習慣病、アトピーや花粉症などのアレルギー、1型糖尿病、精神疾患などさまざまな病気に関わっていることがわかってきました。
しかし、現代人にはビタミンDが大きく欠乏しています。
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2009年、骨粗しょう症による骨折などの予防を目的とした研究で、男性595人、女性1088人の計1683人を対象にした、大掛かりなビタミンD濃度の測定が行われました。
その結果、ビタミンD不足は全体の81.3%。高齢者よりもむしろ50歳未満での不足率が高く、そのなかで女性のビタミンD不足率は90%以上、男性の不足率も83%に上っていることがわかったのです。
なぜ、現代社会でビタミンDの欠乏症が蔓延するようになったのでしょうか。考えられる要因は、4つほどあります。
1つが、現代人があまり日光を浴びなくなったこと。つまり、行きすぎた紫外線対策です。
現代人、特に女性は、日傘をさすなどして肌の老化予防に懸命になっています。さらに、健康被害のリスクへの恐怖から、多くの人が夏場でも長袖を着て日光をできるだけ浴びないようにし、UVをカットするための日焼け止めクリームを皮膚に塗るようになりました。
おまけに、デスクワークが主となり、外に出て日光を浴びる時間も減りました。交通網の発達によって、太陽の下に身をさらすことも少なくなっています。これが、体内におけるビタミンDの合成を阻害する大きな要因として考えられます。
2つ目は、生活環境の利便性・快適性が、現代人のビタミンDの合成能力を低下させたのではないかということです。
たとえば、現代人が断熱材使用の快適な住居空間で暮らしているのに対して、100年前の人は隙間風が入る木造家屋に住んでいました。冬場の暖房も火鉢が主で、現代のようにエアコンもありません。冷たい隙間風が入るたびに、ブルッと体を震わせるしかありませんでした。
これを「震え産熱」と呼びますが、実は肉体の自然反応としてのこの震えも、ビタミンDの合成に深く関わると見られています。
極端な寒さを感じたとき、人の体は発熱を促進するために、血糖値を上昇させたり、物質代謝を促すためのホルモンを放出したりします。このとき細胞の呼吸や代謝が活性化されることで体がブルッと震え、コレステロールからビタミンDの合成が促されるのです。
快適空間に慣れた現代人は、こうした震え産熱を経験する機会も減ってきました。その分ビタミンDの合成能力が低下し、自己免疫力も衰えたのではないかと考えられます。
3つ目は超高齢社会の到来と関係しています。ビタミンDは日光浴で簡単に体内合成できますが、加齢とともに皮膚での合成能力が低下し、高齢になると、その能力がほとんどなくなります。このことが、高齢化に伴う様々な慢性病を引き起こす要因ではないかと、私は考えています。
そして、4つ目の要因として挙げられるのは、現代のストレス社会がビタミンDの体内合成を阻害しているのではないかというものです。というのも、最近の研究によって、ストレスがビタミンDの合成能力を低下させ、うつ症状などの精神の変調を引き起こすことがわかってきたからです。
これは、日照時間が短い季節、したがってビタミンDの合成も低下する冬場に、季節性うつとも言われる「季節性情動障害(SAD)」を発症する人が多いことからも、説明することができます。
現代人の多くは仕事や人間関係において、多くの葛藤、ストレスを抱えています。昼夜逆転の不規則な生活も、もはや当たり前になってきました。
私は自分が勤務する病院の看護師50人の血中ビタミンD濃度を調べています。もちろん、全員が表面上は健康体の持ち主です。しかし、正常値は1人も存在せず、47人が欠乏症、3人が不足という予想外の結果が出ました。がん患者さんと同等のビタミンD欠乏症という実態が明らかになったのです。
その理由として、看護師たちが患者さんの命を守るという緊張が連続する立場に置かれているだけでなく、昼夜逆転の勤務を余儀なくされるという慢性的なストレスに晒されていることが挙げられるかもしれません。
この生活習慣の不規則性、それによるストレス過多が、ビタミンD欠乏症、ひいてはがん発生の要因にさえなりうるのです。
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以上、古川健司氏の近刊『ビタミンDとケトン食 最強のがん治療』(光文社新書)をもとに再構成しました。がん療法として注目される「免疫療法ケトン食」に加わった「ビタミンD」の効能を数多くの実例とともに明かします。
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