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維持費は年5000万円「プライベートジェット」日本は57機だけ
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.03.11 11:00 最終更新日:2020.03.11 11:00
中国では、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、旅客機の運航が減少。富裕層の間で、プライベートジェットの需要が高まっているそうだ。
一方、日本では元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告(65)が逃亡に利用したことでイメージが悪化した。日本でプライベートジェットが定着しない理由を、航空アナリストの鳥海高太朗氏は、こう話す。
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「日本は、プライベートジェットの発着枠が少なすぎます。たとえば、東京の羽田空港は1日16回。数年前までは8回だったので倍増していますが、この回数には政府専用機なども含まれるので、海外に比べれば、まだまだ厳しい。
ハリウッドスターが来日する際も、発着枠は先着順なので、緊急を要するときには向かない。もうひとつの理由は、新幹線などの交通網が発達していて、遅延が少ないことです」
日本のプライベートジェットの保有数は57機(国土交通省の2016年のデータより)。アメリカの1万9153機に比べると、格段に少ない。ちなみに日産も所有している。
「オーナー企業の名義で保有しているケースが多いですね。日本国籍だと維持費が高価なので、外国籍で所有し、使用するときだけ日本に持ち込む人も。
ほかにも、たとえばタイガー・ウッズ(44)やセリーナ・ウィリアムズ(38)のように、スポーツ界のVIPも、国内のツアーの転戦に、プライベートジェットを利用しています」(鳥海氏)
海外では、オーナー企業の経営者が、当たり前のように利用しているが、日本では楽天会長兼社長の三木谷浩史氏(54)など、一部のVIPのみだ。
日本のプライベートジェット利用者のひとりが、天野雅博氏(52)。天野氏は11年前に「焼酎とタバコ無料」で大ヒットした「居酒屋革命」のプロデューサーで、現在は「定食酒場食堂」(東京・新宿区)を経営する。
「当時は、『俺かゴーンか』というくらい飛んでたね。欧米まで飛べるガルフストリーム社のG500以上になると、30億円以上して、年間維持費が5000万円ぐらい。
飛行すると燃料費、パイロットの人件費などのほか、空港の発着料がかかる。成田だと、離着陸で50万円。インドのニューデリーを往復したときの費用は、1600万円ほどだった」(天野氏)
プライベートジェットには、どんなメリットがあるのか。
「最大の利点は離陸後に目的地を変更できること。プライベートジェットは、空港の許可さえ出れば、『ニューヨークやめて、やっぱロス!』とかができる。また、無駄な時間や検査がないのも大きい。
アメリカの一部の空港なら、自分の車で飛行機の横まで乗りつけられて、検査官が来てくれる。保安検査はテロとハイジャック防止のためだから、仲間うちで利用するなら必要ない。
ほとんどフリーパスだから、ゴーン被告も楽器ケースに隠れるほど警戒しなくても、よかったんじゃないかな(笑)」(同前)
ほかにも、メリットがある。
「世界各地の直行便がない都市をまわるときなどに、非常に便利です」(前出・鳥海氏、以下同)
たとえば、ゴーン氏の逃亡先であるレバノンまでは、日本からの直行便はなく、中東経由で18時間もかかる。
「企業のトップたちが商談に行くときなど、最低日数でまわることができます。2018年に創立されたANAビジネスジェットでは、『日本から海外の大都市までは民間の定期便で飛び、大都市から地方都市への移動時にチャーターする』という形が増えているそうです」
今後は、どうなるのか。
「東京五輪で各国の首脳クラスやパートナー企業のVIPが、プライベートジェットで続々と来日する予定です」
われわれ庶民としては、スターが気軽に来られるようになるなら、大歓迎なのだが……。ちなみに、一般人でも乗れるという。
「ツアーを運営している企業もありますよ。たとえばスカイトレック社が、小型飛行機のチャーター運航をしています。ホンダエアポート(埼玉)から、富士山を一周して帰る約1時間のフライトは、料金10万円。4人で乗れば、1人あたり2万5000円です」
写真・アフロ
(週刊FLASH 2020年3月10日号)