3月30日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は、生レバーの販売を禁止する方針を打ち出した。その後、4月12日に内閣府の食品安全委員会は厚生労働省の規制案を了承。このままいくと今年6月には日本国内での生レバー販売が全面禁止になる見込みだ。違反した場合、2年以下の懲役か200万円以下の罰金になるという。
「1年前の焼き肉チェーン店でユッケを食べた人が、次々と腸管出血性大腸菌O111の犠牲で亡くなった大規模食中毒事件がありました。その事件のとばっちりを受けたのが生レバーです。厚生労働省のチームが牛肉を調べたところ、牛肉の肝臓の中からO157が発見されるケースがあり『普通の肉と違って、レバーは表面だけ削ってもダメ!』となったんです」
そう指摘するのは、ニュースキャスターの辛坊治郎氏だ。今回の決定は国民ためを思っての措置ではない。厚生労働省の役人が責任逃れのため、とりあえず絶対安心な『全面禁止』にしたのだと辛坊氏は考えている。
「こうなったのには、世間とマスコミの責任もあります。何か事件が起こるたびに、『自己責任』の部分を棚に上げて、行政を叩くのは考えたほうがいいんじゃないでしょうかね」
フグにしても、みんな肝は毒だと知っているのだから、行政は「フグの肝は毒ですよ」と周知徹底させ、ほかの食材との混入を防ぐ措置を義務づければ、それでも食べたい人が食べるのを禁止することはないと辛坊氏。
「延べにすると年間おそらく何百万人が口にして、そのなかでほんの数人が犠牲になる生レバーでしょう。こんなことを禁止しはじめたら、たぶん毎年、生レバーと同じくらいの頻度で起きている生卵による食中毒にだって、規制の網をかけなくちゃいけなくなりますよ」
(週刊FLASH 2012年5月1日号)