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学生服リユースを全国展開したシンママが教える「上手なPR法」/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.09 16:00 最終更新日:2022.10.09 16:00
長引く経済の低迷で、女性の貧困が大きな社会問題になっています。特に、小さなお子さんを育てているシングルマザーは、働ける時間も限られてしまいます。
損害保険会社で働いていた馬場加奈子さんは、社内結婚で寿退社。3人の子供に恵まれ、専業主婦をしていました。しかし、離婚後は家賃が払えず、電気も止められ、子供たちの制服を買う余裕もなくなってしまいました。そこで、一念発起して起業し、学生服リユースショップ「さくらや」を開業。現在は全国100店舗にまで成長させています。
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子育てと起業で苦労された馬場さんに、専業主婦からビジネスを成功させるまでの軌跡、そしてメディアを使った上手なPR方法について伺いました。
――3人のお子さんを抱えて起業するは大変なことだったと思いますが、そのモチベーションはどこから来たのでしょうか?
「長女に知的障害があったので、将来は一緒に働きたい、そのために起業しようと考えていました。また、小さい頃から実家が営む中古車販売店でお手伝いをしていたので、もともと起業に対する憧れがありました」
――起業するには資本金が必要ですが、どのように資金を作られたのですか?
「長女が中学に進学したのをきっかけに生命保険会社に入社し、4年間働いて300万円貯めました。でも、最初は起業しようにもビジネスアイデアがなく、何をしていいかわかりませんでした。
そこで自らの経験を振り返り、子供たちに制服を買うのが大変だったことを思い出しました。学生服のリユースというビジネスアイデアが出たら、次はリサーチです。100人のお母さんたちにヒアリングをして、2010年夏に自宅で学生服のリユースショップを始めました。しかし、当時は全国に一軒もなかったため、ノウハウもなく、経営者の方に相談しても、うまくいくわけがないと言われていました。まだ地域貢献型ビジネスというものが、世の中に理解されていない時代でした。
もしかすると、店舗がないから信用がないのでは思い、物件探しを始めました。最初は13万と言われた家賃を6.5万円に下げてもらう交渉に成功し、なんとか開店に漕ぎつけました。しかし、子供たちとの時間を取るため、お店を開けるのは週4日間、それも10時から15時までという短い時間に決めていたので、当初はお客様がまったく来ませんでした。
そこで、毎日10回ブログをアップ、さらに、子供たちと散歩をしながら毎晩200枚のポスティングを半年間、続けました。すると、徐々にチラシを持ってお客さんが来てくれるようになりました。やはり、店舗を持つことで信用されるようになったのだと思います」
――ビジネスが軌道に乗り始めたきっかけはありますか? また、お店が黒字に転換したのはいつ頃ですか?
「もともと予算がなかったので、買い取った学生服の洗濯や名前の刺繍をとる作業を自分でしていましたが、その仕事を障害者施設に委託したり、お年寄りにお願いするようにしたら、みんなで仕事が分け合えるウィンウィンの状況が作れました。そして、開業から4年でようやく黒字に転換ししたのです」
――メディアにも頻繁に取り上げられたそうですね。
「はい。2014年には『がっちりマンデー!!』(TBS系)の取材を受け、全国で放送されました。すると、日本中からやり方を教えてと連絡が来るようになり、ノウハウ売り切りの方法で、現在は全国100店舗まで『さくらや』を増やすことができました。
2014年と言えば、ちょうど女性活躍推進や男女共同参画が話題となった時期で、女性起業家が注目され、メディアに取り上げられる機会が多くありました。現在は、またタイミングよく学生服のリユースがSDGsの政策にマッチしたため、再び取材を受けるようになりました。
自分のやりたいことをしていたら、それに時代があってきたという感じです。実は、学生服リユースのほかに、店舗の空きスペースでイベントを開催してお母さんたちの情報交換の場や地域コミュニティを作るお手伝いもしています。悩みの多いお母さんたちの情報共有の場にもなっているのです」
――これまでに大きな失敗をしたことはありますか?
「2020年、千代田区にオフィスを借りて東京に進出したのですが、直後にコロナが流行し、3カ月で撤退してしまいました。痛手でしたが、そのあとにタイミングよく『がっちりマンデー!!』の2度めの取材と『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)の密着取材を受け、全国100店舗を達成できました」
――これから起業しようという方にアドバイスはありますか?
「起業することで、働く時間が自由になり、子供との時間が取れるなど、メリットがあるのは確かです。でも、よほどの覚悟がない限り、起業しないほうががいいと思います。経営者の頭の中は24時間営業。常に仕事のことを考えています。社会の早すぎる変化についていくのが必死です」
――今後取り組みたいことはありますか?
「地域で助け合える空間づくりです。障害を持つ人も、リタイアした人も、まだまだ活動できる人がつながれるインクルーシブなコミュニティをつくりたいです。みんなが仕事を持って、活躍できる社会を実現するのが夢ですね」
■メディアPRを成功させる3カ条
(1)どれだけ面白ことをやっているのかをみんなに見せる
私自身は、現在、リユースランドセルの譲渡会を各地で開催しています
(2)物ではなく価値を売る
地域貢献型ビジネスなど、世の中に求められていることをやれば、みんなに喜んでもらえます。それはいいPRにつながります
(3)メディア露出は、自分の活動と店舗の取材を分けて発信する
自分自身のキャラクターと、店舗の取材を別々に出すことで、相乗効果が期待できます
●日下千帆(くさかちほ)
1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も
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