美味しい紅茶の淹れ方「達人の流儀」10秒の違いもわかる／女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

 

　3月に入り、インドのヒマラヤ山麓に広がる茶畑では、芽吹きの時期を迎えています。紅茶好きの人にとって、新茶の入荷が待ち遠しい季節となりました。

 

　今回は、紅茶研究家の田宮緑子さんに、新茶の知識と美味しい紅茶の淹れ方を教えていただきました。

 

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　田宮さんは、大阪出身。18歳からタレント活動を続けてきましたが、東洋英和女学院大学卒業後、ロンドン大学で日本語教授法の講師資格を取得。著書に『しあわせな英国紅茶のえほん　おいしいイングリッシュ・ミルクティーの秘密』（世界文化社）があり、現在は、「アールグレイティープレイス」「my tea」など、複数の紅茶ブランドを販売もしています。

 

――田宮さんが紅茶にはまったきっかけは、やはりイギリス留学ですか？

 

「はい。イギリス人は本当によくお茶を飲みます。たとえば、学校に行くと毎日必ず11時にティーブレイクがあるのですよ。その後、13時のランチで紅茶、夕方にも紅茶、ディナーの後、寝る前と、一日中、お茶を飲み続けます。

 

　初めはどうしてこんなに飲むのだろうと思っていましたが、そのうち私もミルクティー好きになり、これまでに何万杯もの紅茶を飲んできました。

 

　叶わぬ夢ですが、できることなら19世紀にタイムスリップして、中国からイギリスに新茶を運ぶティークリッパー（快速帆船）を見てみたいです。一番茶の季節になると、いつもグリニッジ港に保存されている木造帆船カティーサークを思い出します」

 

――もうすぐ日本にも今年採れた新茶が入ってきますが、お茶好きの人たちにとって、やはり新茶は特別なものなのでしょうか？

 

「はい。紅茶には、春に採れる1stフラッシュ、夏の2ndフラッシュ、秋のオータムナルがあります。発酵が浅いうちに摘む春摘みのお茶には、グリニッシュな美しい色合いが印象的なものもあります。微かな渋み、爽やかな香りが楽しめます。

 

　春摘みのお茶は、日本でも20年ほど前から紅茶ファンの間で人気を呼んでいますが、特に新芽を中心としたものは希少価値が高く、値段の張るものでは20グラム1万円近い茶葉もあります。

 

　二番茶のブラウニッシュと呼ばれる茶色いお茶は、太陽の光をたくさん浴びているので、タンニンも豊富に含まれ、質・量ともに安定しています」

 

――紅茶を淹れるのに適した温度や蒸す時間はありますか？

 

「目安はありますが、みなさんそれぞれの好みによって違います。ストレートティはお茶の種類、葉の部位、形態、ブレンドによって蒸す時間がまったく異なります。茶葉の分量も違います。

 

　まずは100℃のお湯を用意し、たとえば説明書に3分と書いてあったらそれを目安に、プラスマイナス10秒ぐらいずつの時間差で味見を繰り返し、自分好みの濃さを発見します。

 

　3分で濃いと感じたなら、2分50秒、40秒と時間を短くし、逆に、薄いと感じたときは3分10秒といった具合に、長めにおいて味見をしていくと、自分にぴったりの味が見つかります」

 

――まるで研究者のようですね。

 

「濃く抽出して牛乳を加えるミルクティーと違い、ストレートティーの淹れ方は繊細なのです。10秒の違いで味が変わってしまいます。また、外国で淹れるときは水も違うので、同じ茶葉でも味がまったく異なります」

 

――紅茶に合うお菓子のおすすめはありますか？

 

「イギリスでは、チョコレートやビスケットなどもよく食べますが、素朴な焼き菓子と合わせるのが人気です。“ダンク” といって、紅茶のなかに焼き菓子をドボンとつけて食べる人も多いです。あまりお上品ではありませんが（笑）」

 

――毎日毎日、紅茶を飲んでいると、茶葉のごみがたくさん出ると思いますが、どのように再利用されているのですか？

 

「私は、顔のパックに使っています。肌の調子もいいですし、シミが薄くなってきた感じがします。生徒さんのなかには白髪染めに使う人もいるようですが、うまくやらないとムラ染めになってしまいます（笑）。使用済み茶葉を乾燥させて植物の肥料にする方もいますね」

 

　紅茶のお話を田宮さんから直接、聞いてみたい方は、都内百貨店で開催される「英国展」（東急吉祥寺店3月2～8日、松坂屋上野店4月19～24日）に足を運んでみてはいかがでしょうか？

 

■ティーバッグで世界一美味しい紅茶を淹れる3カ条

（1）自分の味覚を知る
　蒸す時間を計りながら味見をして、自分の好みにピッタリな味を見つけましょう。
（2）ティータイムではコミュニケーションを
（3）美味しい紅茶と笑いは人を幸せにする

 

取材協力：Cafe 山

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