5月31日、札幌地裁は北海道電力に泊原発の運転差し止めを命じた。道内の住民ら約1200人が、泊原発1~3号機は安全性に欠けるとして、廃炉や運転差し止めを求めていた。札幌地裁は、廃炉については請求を退けている。
争点の一つとなったのが、津波対策だった。原告側は「3.11後に新設された防潮堤は、地震による液状化で地盤が沈む可能性があり、津波を防げない」などと主張。判決でも「津波に対する安全性の基準を満たしていない」と指摘され、運転差し止めにつながった。北海道電力は、即座に控訴を表明している。
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法廷では、判決を聞いて歓声が上がったというが、SNSでの反応は明るいものばかりではない。泊原発は2012年の定期検査以降、全基が停止中だが、その間に、北海道では全域停電(ブラックアウト)が起きているからだ。
「2018年、震度7の胆振東部地震により、北海道全域の295万戸が最長2日間にわたって停電する日本初のブラックアウトが起きました。理由は、原発が停止しているなか、やむなく1つの火力発電所に大きく依存していたところ、地震でその一部が停止したからです。
今回の判決で、北海道電力は、火力発電に依存しながらの電力安定供給をさらに強いられる形になりました。今後、災害時はもちろん、電力需要が逼迫する夏場や冬場には、停電リスクがさらに高まったといえるでしょう」(社会部記者)
実際、SNSでは、この判決を受け、「北海道の停電危機がさらに高まった」とする声が多い。
《北海道の夏も暑くなっているのに…使わずに節電しろと言われる道民が気の毒》
《ここで再稼働できなかったら厳冬期に停電するリスク増えるけど北海道民はそれで良いのだろうか?》
《電気需要が上がった時には計画停電でもするのかな?電気が必要なのは冷房暖房だけじゃないぞ。医療関係だと命に関わる。会社も学校も家庭も電気無しで過ごせるのか?》
《今後、当然起こりうる電気代高騰は受け入れるの?》
「現状、北海道電力では約半分が火力となっており、燃料高でコストが上昇しています。ならば、太陽光や風力など、比較的安い再生可能エネルギーなら問題ないかというと、それも厳しい。というのも、電力の需給バランスが崩れる恐れがあり、5月に入って2度、再エネの受け入れを停止しているんです。
さらに、送電網の増強も目指していますが、こちらも遅々として進んでいません。いずれにせよ、この夏と冬、北海道の電力はかなりの綱渡りになることが予想されるのです」(同)
2度めのブラックアウトにならないよう、今は祈るしかない――。
( SmartFLASH )