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安倍昭恵さん、国葬に「ミャンマー軍事政権」参列の胸中は…過去には「許せない」発言も

社会・政治 投稿日:2022.09.20 16:00FLASH編集部

安倍昭恵さん、国葬に「ミャンマー軍事政権」参列の胸中は…過去には「許せない」発言も

2013年、日本の首脳として36年ぶりにミャンマーを訪問した安倍首相(当時)と昭恵夫人(写真:AP/アフロ)

 

 英国政府は、エリザベス2世の葬儀について、ミャンマーロシアを招請名簿から除外した。ミャンマーは2021年2月に国軍がクーデターを起こし、今年7月には民主活動家4名を処刑したほか、国連によればこれまで2000人以上の市民を虐殺してきたからだ。

 

 だが、9月27日におこなわれる安倍晋三元首相の国葬について、日本政府は7月、ミャンマーに開催を連絡。軍事政権が参列者を出す可能性があることに、在日ミャンマー人や人権団体から強い批判の声があがっている。

 

 

 安倍元首相の夫人・昭恵氏は、ミャンマーに対する支援活動に力を入れてきたことで知られる。昭恵氏は、軍事政権が国葬に参列する可能性があることについて、どう考えているのか。

 

 ミャンマー事情に詳しく、昭恵夫人に複数回インタビューしているミャンマーの日本語ニュースメディア「MYANMAR JAPON(ミャンマージャポン)」発行人・統括編集長の永杉豊氏に話を聞いた。

 

――昭恵氏はミャンマーに対し、どのような活動をおこなっているでしょう。

 

 昭恵さんは、東京・増上寺で毎年おこなわれている「ミャンマー祭り」の代表理事を務めておられ、ミャンマーの子供たちのために寺子屋支援なども積極的におこなっています。コロナ禍で現在、お祭りは開催されていませんが、9月3日のセミナーにも主催者を代表してご挨拶されていました。

 

 また、昭恵さんは「公益財団法人 社会貢献支援財団」の会長として、ミャンマーをはじめ世界で活躍する社会貢献者の表彰もされています。私が代表を務めるNPO法人「ミャンマー国際支援機構」の正会員でもあります。

 

――昭恵氏がミャンマーに思い入れを持つきっかけは何だったのでしょうか。

 

 1985年、安倍氏が父・晋太郎氏の外務大臣秘書官だったとき、外遊中に昭恵さんも一緒にミャンマーを訪れたのです。

 

 その後「東南アジアの国をどこか支援したい」と、昭恵さんが安倍氏に相談したら、一も二もなく「それはミャンマーだろう」と答えられたと。「だから私はミャンマーを支援するようになったんです」とおっしゃっていました。おそらく、安倍氏もミャンマー人の心の清らかさに感動したのだと思います。

 

――永杉さんは、今回の国葬に軍事政権が参列する可能性があることについて、どう考えますか。

 

 日本政府として、「国葬に国軍を参加させない」と明言すべきだと思います。国軍に対しては、ミャンマー国民の大半が不支持だとされます。国軍が国家の権力を握ってしまったからといって、国葬に呼ぶのは間違っていると思います。

 

 国軍は、民主活動家らを死刑にしたり、日本人を拘束したり、そもそも市民を何千人も虐殺しています。その国軍を是認するということは、人権と平和、民主主義の観点からも許してはなりません。

 

 国軍にとって、国葬に参列することは、「自分たちが正式な政府だ」と日本政府からお墨付きをもらうようなものです。なお、ASEANは2021年10月以降の首脳会議や外相会議などにミャンマーを招いていません。

 

――それでも、日本政府はミャンマー軍事政権に国葬開催を連絡しました。

 

 日本にとって、軍事政権を国葬に招待するメリットは、まったくありません。しかし、一部の国会議員や大手企業がかかわる「日本ミャンマー協会」にとってはメリットになります。

 

 同協会は2012年に設立され、故・中曽根康弘氏が名誉会長に、麻生太郎自民党副総裁が最高顧問に就任しました。当時から会長を務める渡辺秀央元郵政相は、クーデター後も国軍が任命したミャンマーの閣僚と面会するなど、国軍を擁護してきました。面会には、日本の内閣審議官も同席していました。

 

 しかし、安倍氏や昭恵さんは「日本ミャンマー協会」に関わっていません。お2人は、ボランティア面でミャンマーを支援する考えで、政治やビジネスを支援することはありませんでした。

 

――昭恵氏の意思とは関係なく、ミャンマー軍事政権が国葬に参列することになりそうです。

 

 私個人は、ミャンマーから国軍の首脳クラスではなく、駐日大使クラスが参列するにとどまるのではないかと思っています。しかし、大使も当然、軍事政権の幹部にあたります。私は、国葬には「国民統一政府(NUG)」を招待すべきではないかと考えています。

 

 NUGは、クーデター後に結成された民主派の政府で、前身のNLDは2020年の選挙で議席の8割以上を獲得しました(2021年2月に、クーデターで国軍が政権を奪取)。NUGには、現在拘束されているスー・チー氏や民主派デモの主導者たち、少数民族も含まれています。

 

 9月7日には、NUGのドゥワ・ラシー・ラ大統領代行が、「NUGはミャンマー全土330郡のうち、250郡を統治することができた。軍評議会が統治しているのはわずかにすぎない」と声明を発表しています。

 

 7月には東京・池袋にNUGの駐日代表事務所が開設されています。NUG駐日代表こそ、国葬に招待するべきではないでしょうか。

 

――昭恵氏はミャンマーの現状について、どうお感じになっていると思われますか。

 

 2021年にインタビューした際、昭恵さんは「あれだけのことをした国軍を許すわけにはいかない」と話していました。昭恵さんはミャンマー人から「日本はなぜ、市民を弾圧する国軍に強い圧力をかけないのか」と怒りをあらわにされたこともあるそうです。

 

 一方で、「軍と民主派双方が武器をとって戦う状況になることは避けなければなりません」と、ミャンマー国民が分断され、対立を深める現状を憂慮し、平和的な解決を望んでおられました。

 

――昭恵氏も、NUGを招待すべきだと考えているのでしょうか。

 

 昭恵さんは政治家ではなく、ミャンマーとはあくまでボランティアとしてかかわってこられたので、「軍事政権は参加すべきでない」とは表立って言わないと思います。

 

 しかし、軍事政権の参列を歓迎しているわけではないことはたしかです。「国葬に招待するなら、NUGのほうがふさわしい」とお考えになっているはずです。

( SmartFLASH )

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