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品川区長候補が削除したドア全開“ハコ乗り”動画 助手席には“選挙の鉄人”前埼玉県知事が「この元気!」

社会・政治 投稿日:2022.10.01 18:43FLASH編集部

品川区長候補が削除したドア全開“ハコ乗り”動画 助手席には“選挙の鉄人”前埼玉県知事が「この元気!」

ドアを全開にした選挙カーから手を振る山本候補。助手席では上田議員が乗っていた(山本候補のSNSより。現在は削除済)

 

 選挙カーでの運動中、「お願い」に力が入るあまり、ついつい車から身を乗り出してしまう候補者たちがいる。

 

 かつて、窓から落ちそうなほどに身を乗り出す姿で名を馳せた鈴木宗男参院議員は、《箱乗りには背筋が大切です》と“コツ”をツイートしているが、写真の候補者はさらに驚くべき“ハコ乗り”を披露している。

 

 ドアを全開にしたうえで身を乗り出しているのは、10月2日に投開票がおこなわれる品川区長選に立候補している、山本やすゆき候補だ。ネット上で《危険運転では》という指摘があり、自身のSNSに投稿していた動画も削除してしまった。

 

 道路交通法に詳しい高山俊吉弁護士が解説する。

 

 

「この行為は非常に危険で、道路交通法71条『運転者の遵守事項』第4号の3に違反する可能性があります。条文では、以下のように定められています。

 

《安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること》

 

 つまり、安全を確認しないでドアを開いたり、車両から降りたりしてはいけないし、乗車している他の者(今回のケースでは候補者)の行動によって危険を生じさせないよう、必要な措置を講じる義務が、ドライバーにあるのです。

 

 ドアを開けることがただちに禁止されているわけではないのですが、候補者が転落してしまったり、沿道にいる人に当たってしまったりする危険がある以上、ドライバーが責任を問われる可能性があります。罰則は5万円以下の罰金です」

 

 山本候補の事務所に問い合わせると、このように反省することしきりだ。

 

「選挙活動のなかで、一部、行きすぎた危険な行為があったことは不徳の致すところであり、候補者、スタッフ一同、反省をしております。同様のご指摘をほかの方からもいただいたため、その後は同様の行為はおこなっておりません」

 

 もっとも、2022年8月末までメガバンクに勤めていた山本候補は、政治経験はほぼゼロ。ルールを知らないがゆえ、思わずドアを開けてしまったのだろうか。

 

「いえ、じつはこのとき、選挙カーの助手席には前埼玉県知事で、現在は参院議員の上田清司氏が乗っていたのです。上田議員は知名度があることから、各地方に選挙があれば、応援演説に呼ばれることも少なくありません。

 

 上田議員には“選挙の鉄人”という異名がついており、中村喜四郎衆院議員などと並んで、選挙にめっぽう強い議員のひとりです。上田議員を応援に呼ぶ陣営は、選挙指導を期待しています。やはり選挙に強い方からの意見は貴重なのです」

 

 そう語るのは、地元政界の関係者だ。上田議員は9月25日、山本候補の応援のために品川区入りし、選挙カーの助手席に乗っていたというのだ。

 

「品川区は、2021年の衆院選で岸田文雄首相が最後の演説をおこなった場所で、自民・公明党と立憲民主党が入り乱れて競い合う激戦区です。

 

 上田議員は、山本候補に対し『よくある“ハコ乗り”じゃだめだ。もっとアピールしないと』と街宣車の乗り方を指導したそうです。政治経験がない山本候補は、“鉄人のお告げ”を疑問も持たずに実践しただけらしいのです」

 

 ドアが全開になった選挙カーでは、上田議員が自らマイクを握り、「ご覧ください、山本やすゆきです! 本人、本人です。この元気!」とドアを全開にして、“ハコ乗り”していることが“元気”の証しであるかのような応援をおこなっていた。

 

 上田議員に、山本候補にこの“ハコ乗り”を指導したのか、道交法違反の疑いがあることを認識していたかを問うと、事務所から以下のような回答があった。

 

「旧知の松原仁代議士の依頼で、応援弁士として街頭・街宣活動をおこないました。山本氏は初対面でしたので、具体的に何か指導することなどはなかったと思います」

 

 9月26日には、上田議員の秘書が、参議院選挙の公示日前に投票を呼びかけたとして、公職選挙法違反の疑いで書類送検されている。

 

 “選挙の鉄人”であれば、“ハコ乗り”も制止できたはずだが――。

( SmartFLASH )

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