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中国人所長が部下に腹筋500回強要 、「飛び降りろ」と暴言も…名門・ユアサ商事で起きていた「対日パワハラ」現場

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.10.03 06:00 最終更新日:2022.10.03 15:28

中国人所長が部下に腹筋500回強要 、「飛び降りろ」と暴言も…名門・ユアサ商事で起きていた「対日パワハラ」現場

就業時間後、オフィスで腹筋をやらされている社員。500回の腹筋を撮り所長に送る

 

「思わず『こんなところで何をやっているんですか』と聞きました。オフィスの床で腹筋をやらされ、しかもそれを自撮りして上司に送らないといけないと言うんです。酷いパワハラが横行しています」

 

 そう訴えるのは、東証プライム上場企業で年商3000億円を誇る名門商社「ユアサ商事」中国現地法人の関係者だ。

 

 ユアサ商事は1666年創業の、日本を代表する商社のひとつ。産業機械を中心に、国内以外にもアジアや米国など10カ国に支社を構え、従業員数は2400人余りに上る。

 

 

「腹筋を強要されていたのは、上海支社の30代の社員です。指示に応えていないという理由で、中国人所長に命じられ、就業時間外にもかかわらず、500回も腹筋しないといけないと言っていました。

 

 この社員は中国残留孤児3世で日本に生まれ育ち、国籍だけ中国でした。でも別の日には、言われた仕事を時間内にできないと『日本人なのにこんなこともできないのか』と、恫喝されていましたよ」(同前)

 

 じつは、上海支社ではここ数年、こうした「対日パワハラ」ともいうべき被害が続いているという。

 

「パワハラが始まったのは、今の中国人所長になってからです。特に日本人社員に対してのあたりが厳しいんです。気に食わないことがあると『死んでしまえ』『飛び降りろ』と、すぐに暴言を吐くんです。

 

 別の日本人社員に対しても、チャットで『期待外れ。誠意は伝わらないし自覚してるの?』などと迫っていました」(別の上海支社関係者)

 

 所長のパワハラは、ときに暴力的行為にまで及ぶ。

 

「ある日、長時間オフィスの壁に向かって立っている社員がいたので、どうしたのかと尋ねたら、所長に『壁に向かって反省してろ』と怒鳴られたと嘆いていました。みんなの前で、膝を蹴り上げるなどの暴力も日常茶飯事。あまりのいじめで精神的に追い詰められ、会社を去った日本人社員が何人もいます」(同前)

 

 なかには、所長に抗議して、退職を余儀なくされた社員もいたという。

 

「上海支社に人材派遣をしている会社から『ユアサではパワハラが横行している。日本人社員は標的にされるぞ』と忠告されるくらい、現地では惨状が有名で、それでも、所長の上司にあたる日本人の支社長は、見て見ぬふりをして何も対応してくれません。それどころか、問題の中国人所長は昇進する予定です」(同前)

 

 この人事を知った上海支社の関係者は今年8月、意を決して別の社員を通じ、内部通報窓口に匿名メールを送り、告発した。ところが、会社から送られてきた返答に、愕然としたという。

 

「『告発者の実名がわからないと、正式な告発として受け取れない』『名前を明かさないと証拠として取り上げられない』という内容だったのです。再度匿名で告発するも、返答は同じ。しかし、社内規程には『利用者は、匿名であっても内部通報窓口を利用することができる』と書いてあります。

 

 会社は社内規程すら無視して身分を明かせというのです。9月初めに、3回めの告発メールを内部通報窓口に直接送りましたが、今度は返信も来ません。あまりに酷い対応に唖然としました」

 

 パワハラに加え、社としてのあまりに杜撰な対応について、本誌がユアサ商事本社に問い合わせると、「匿名の者から会社に対して問題の相談があったが、すでに会社として現地顧問弁護士による調査を進めている」と回答があった。

 

 告発者に「匿名の通報は受けつけない」と通告した理由については、「告発内容の真偽を確かめるために必要であることから、中国の慣習に則り確認したまで」と回答。さらに3回めの告発に返信しなかったことについては、「内部通報窓口へのメールが迷惑メールボックスに格納されており、担当が確認できたのが、通報から2週間たってからだった」と釈明した。

 

 前出の関係者が語る。

 

「突如9月28日になって、『対応は進めている』と会社から返信が来ました。最初の通報から1カ月たってです」

 

 28日は、本誌が会社に質問状を送付した日だった。中国の弁護士資格も持つ、「麹町大通り総合法律事務所」の姜美燕弁護士はこう話す。

 

「腹筋500回は体罰、『死ね』などの暴言は侮辱にあたるでしょう。中国の労働契約法88条に、刑事責任の追及や損害賠償責任が生じる場合が4つ明記されていますが、侮辱や体罰もそのなかに含まれます。条文に則れば、行政処罰もありえます。ちなみに、中国の慣習に『実名でないと告発は認めない』というものはありません」

 

 別の中国人弁護士は、最近は中国の企業でパワハラ問題が深刻化していると明かす。

 

「中国でも、社内でのパワハラや、残業代の未払い、不当解雇などが社会問題になっています。現在、こういったケースは裁判になることが多く、会社側が負けることが増えています。現地の弁護士に相談することをすすめます」

 

 海を渡った地で続く「対日パワハラ」。一刻も早い解決が望まれる。

( 週刊FLASH 2022年10月18日・25日合併号 )

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