社会・政治
岸田首相、防衛費「GDP比2%」にやる気をみせるも「コロナ対策費を流用」で集中砲火…「空港・港の整備費も含みます」でヒゲの隊長も怒り
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.11.29 17:35 最終更新日:2022.11.29 17:35
11月28日、岸田文雄首相は浜田靖一防衛相と鈴木俊一財務相に対し、防衛費を2027年度にGDP(国内総生産)比2%に増額するよう指示した。
首相が防衛費の具体的な水準を明言するのは初めて。
日本の防衛費は、1976年、三木武夫内閣が閣議決定して以来、おおむね1%以内を目安としてきた。2022年度当初予算は5兆4000億円ほどで、GDP比2%になると単純計算でおよそ11兆円になり、大幅な増額となる。
【関連記事:資産1億3000万円「300銘柄」を持つ男の生活費ほぼゼロ生活】
同日の衆院予算委員会では、増額する防衛費の財源に関し、一時的な措置として新型コロナ対策の積立金を活用することも考えていることを明かした。厚労省所管の独立行政法人「国立病院機構」と「地域医療機能推進機構」に、コロナ対策で積み上がった約1500億円の余剰金があり、これを流用する形となる。
だが、コロナ対策の余剰金を防衛費の財源として活用する案に、SNSでは批判的な声が上がった。
《「余った積立金」って何だよ! 有効に使わなかったから、第8波来てんだろ。》
《社会保障のお金が足りないって消費税上げたんだから、コロナの為のお金が余ったんだったら、防衛費じゃなくて、社会保障に回しなよ》
《「コロナ対策の積立金が余っているので防衛費に回します」防衛費増額の是非はともかく、余ってるやんけ!って思った...》
「岸田首相は、防衛費に『補完する取り組み』を合算してGDP比2%に積み上げる方針です。
『補完する取り組み』とは(1)防衛力強化に役立つ研究、(2)空港・港湾などの整備、(3)サイバー安全保障、(4)国際協力の4分野で、さらに、海上保安庁の予算なども合算する予定です。
しかし、これでは単なる水増しでしかないとして、自民党内からも反発が出ているのです」(政治担当記者)
実際、元自衛官で「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員は、自身のTwitterで、怒りをあらわにしている。
《空港港湾を整備しただけでは、防衛力は強くならない。抜本的強化とは程遠い。自民党の公約や提言とも違う》
翌日29日に開かれた自民党会合でも批判が相次いだ。小野寺五典・安全保障調査会長は「問題は中身だ。必要な防衛費をしっかり積み上げ、我が国を守れる体制をつくっていくことが大切だ」と強調した。
SNSでは、財源確保のための増税に反対する声があがっているが、そもそも防衛費をGDP比2%に増やすことを批判する声も多い。
《さらに進む少子化(年間80万人下回る過去最少ペース)、不十分な教育や人的資本への投資。一方で、防衛費は倍増。「国を守る」ってなんでしょうか?》
《国民を生活苦に追いこんで防衛費増額したって少子化が進めば守る家族のいない国民ばかりになって、独り身の身軽さで逃亡する国民が増えるだけだ。何が国防だよ》
防衛費の増額を決め、財源確保も年内決着を指示するなど「やる気」を見せた岸田首相だが、中途半端なやり口で、結果的に全方位から集中砲火を浴びている状況だ。この難局を乗り切れるのか、首相の手腕が問われている。
( SmartFLASH )