本誌が岩田(敏)氏と四柳氏に、塩野義製薬との関係を確認したところ、岩田(敏)氏から以下の回答があった。
「審議会での発言は、感染症医という専門家の立場で、参考人として発言をしたものです。ご指摘の講師謝礼金やコンサルティング等業務委託の影響を受けたものではございません」
一方、四柳氏からは、期日までに返答はなかった。
問題はこれだけではない。政府は、ゾコーバが承認される前に、100万人分のゾコーバを購入する契約をすでに塩野義製薬と結んでいるのだ。
「さらに役人は、専門家会議の前に各自治体に対して、ゾコーバの供給について説明してまわっていました。ゾコーバは承認されるという前提で動きだしていたわけです。
こうなると、専門家会議は“出来レース”で、ほとんどの専門家には、事前に根回しがあったと勘ぐることができてしまいます」
岩田教授は、新型コロナが「2類のまま」であることにも、ゾコーバが関係している可能性があると指摘する。
「ゾコーバの薬価は公表されていませんが、同じく新型コロナの治療薬であるラゲブリオは、5日間の治療で9万円以上と高額です。しかし今は、新型コロナ対策ということで、特別に税金で賄っているため、無料で国民に供給されています。
新型コロナを、2類から5類に引き下げてもいいのではないかという意見が多いですが、岸田政権は2類扱いとしています。これは、ゾコーバを無料で配るための方便なのではないかと疑うこともできてしまうのです」
効果が限定的で、承認プロセスが不明瞭なゾコーバに拘泥するよりも、やるべきことがあるという。
「たとえば、重症化を防ぐ効果が認められているパキロビッドを入手しやすくすることや、ワクチンの接種をさらに加速させることなど、エネルギーを注ぐべきことはほかにあります。感染症対策の半分はx人間対策”なんですよ」
人間同士の醜い争いに、ウイルスは、ほくそ笑んでいるかも……。
取材/文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)
写真・共同通信、時事通信