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マイナカード取得すれば給食無償化…岡山県備前市の正式表明にSNSで高まる不満「子供のことなのに分断生む」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.02.15 17:10 最終更新日:2023.02.15 17:10
2月14日、岡山県備前市の吉村武司市長は、学校給食費や保育料無償化の対象を、2023年度からマイナンバーカード取得者に限定する方針について、予定どおり実施する考えを示した。
同市は2022年度、子育て支援の一環として、学校給食費と学用品費、保育料を一律無料にしている。だが、2022年12月、今後の無償化の対象を「子供を含め、世帯全員がカードを取得した場合に限る」とする方針を決めていた。
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吉村市長は、方針を示してから初の記者会見で、「これからデジタル化は避けられない。地域の活性化に寄与すると思う」と理解を求めた。そのうえで、給食費は本来有償で、近隣市町も費用を徴収していると説明。「給食費を人質に取っている」との見方があると指摘されると、「そんなことはない」と語気を強めた。
政府は、マイナカードの交付率を、地方交付金の算定に反映させる方針だ。備前市は人口約3万3000人に対し、交付枚数は約2万4000枚。交付率は72.9%で、岡山県内ではもっとも高い。
給食費や保育料とマイナカードを結びつける備前市の方針には、反対の声も上がっている。「義務ではないカードの取得を半強制的に促されている」などと、反対署名が人口を超える4万筆超も集まった。
また、2月12日、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏は、『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)に出演。「ぼくは反対です」と述べ、こう持論を展開した。
「ある意味、制裁ですよ、保育料とかが無償が有料になる、給食費が無償のところが有償になるとかね。マイナンバーカードと関係ない部分で人質っていうのは納得できないですね」
一方、共演していた河野太郎デジタル担当相は、こう述べた。
「(カードを)取らない人にデメリットを与えるというのは、これは問題あるんじゃないかと思いますが、取ったほうにプラスがあるっていうのは、これはある面、考えていいのかなと思います」
2月14日には、共産党の宮本岳志議員がこの問題を取り上げた。備前市での保育料や給食費などの負担は年間55万円を超えていると指摘し、「マイナンバーカードを事実上強制するために、子育て世帯に55万円ものペナルティーを押しつける。これを『自治体の判断だ』と言って放置したのでは、『異次元』と呼ばれる少子化対策は進まない」と批判した。
だが、松本剛明総務相は「自治体独自の施策については、各自治体の自主的な判断により取り組むことが基本」と述べるにとどめた。
1月20日に公開された瀬戸内海放送のニュースによれば、この問題を担当する市教育委員会の、委員長を除いた7人のうち3人がカード取得を条件にすることを反対したという。
SNSでも、備前市の方針に対し、批判的な声が多くあがっている。
《マイナ収得しないと無償にしないぞッてもうこれ脅しやん 何で子供の事なのに分断生ませる様な事をするんだろうか?》
《これはだめでしょ マイナンバーカードは任意なのに 持ってるか持ってないかで差をつけるのは事実上の強制》
《マイナンバーカードは、何かと引き換えに取得されるものなのか》
総務省はHPで、都道府県や市町村ごとのマイナンバーカード取得率を公開し、上位10位までのランキングを掲載している。交付金に差をつけ、自治体の競争をあおる政府の方針は、このまま続くのだろうか。
( SmartFLASH )