東京電力福島第一原子力発電所の「処理水海洋放出」に猛反対している中国は、放出前にもかかわらず、7月上旬から日本からの輸入水産物のすべてを対象に、放射性物質検査を始めている。
「検査に2週間程度かかるため、事実上の輸入制限措置です。検査待ちの間に生ものは腐ってしまい、売りものになりません。中国への輸出を見合わせる日本の水産業者もいますが、日本から中国への水産物輸出額は、2022年は871億円。影響は甚大です」(経済担当記者)
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そんななか、自民党の甘利明前幹事長が、8月6日放送の『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)で、処理水海洋放出に反対している中国に対して「あなたにだけは言われたくない」と言い放ち、ネットで喝采を受けている。
「番組内で、甘利氏は『(中国は)政治的意図で、根拠のないうわさを外交ツールとして使うわけです』として『処理水に含まれるトリチウムは(WHOの)排出基準の40分の1、飲料基準の7分の1まで希釈して排出します。排出総量は、中国の5分の1から7分の1です』と強調しました。そして『政府の気持ちを代弁するならば』と『あなたにだけは……』の発言になりました」(政治担当記者)
これにネットでは《よく言った。中国の非科学的・理不尽な発言に対し日本は決して臆してはダメだ》《よくぞ申してくれました。日本国民の多くが同意していると思います》《甘利さんグッジョブ。 言うべきことははっきり言わないと通じない、それが国際外交です》などの声が寄せられ、さらには《この人ほど有能な政治家はいない。なんせあの誰も解決できなかったTPP を一人でまとめ上げアメリカから主導権を奪い取ったのは甘利さんだから出来た》と、かつての功績をたたえる声まであった。
しかし同時に《気になるのは、多額の献金を紙袋で受領し、冷や汗だらだらで意味不明の弁明会見に終始した疑惑の甘利氏の発言であること》など、過去の疑惑を蒸し返される書き込みもあった。
「政策通であることは誰もが認めるところで、とくに経済政策に明るい政治家です。安倍晋三元首相、麻生太郎副総裁の懐刀として、党の要職や大臣も多く経験してきました。
しかし2016年、UR(都市再生機構)が千葉県内の建設会社に支払った補償金の一部が、甘利議員サイドに流れていたことが判明しました。以来、入閣の噂はあれど、実現しませんでしたが、2021年10月の総裁選で岸田文雄首相を応援した論功もあり、幹事長に就任。ただ、このスキャンダルは尾を引き、野党からの格好の攻撃材料になりました。同月の総選挙では小選挙区で落選、比例復活したものの、幹事長職を辞任しました」(週刊誌記者)
久しぶりに聞く「甘利節」は、国民にとっては好意を持って受けとめられたようだ。
( SmartFLASH )