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「報酬1億円の消費増税派」財界トップに庶民の苦しさはわからない。経団連に解散命令を!【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第20回】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.10.27 06:00 最終更新日:2023.10.27 06:00

「報酬1億円の消費増税派」財界トップに庶民の苦しさはわからない。経団連に解散命令を!【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第20回】

経団連の十倉雅和会長(右)と、同友会の新浪剛史代表幹事。「大富豪の2人は、消費税が上がっても痛くもかゆくもない」(泉氏)

 

 経団連の十倉(とくら)雅和会長は9月19日、こう言い放った。

 

「若い世代が将来不安なく、安心して子供を持つには全世代型の社会保障改革しかない。それには、消費税などの増税から逃げてはいけない」

 

 これについて、私がX(旧Twitter)に《『経団連国民虐待防止法』が必要なのではないか》と投稿すると、スポーツ紙に取り上げられ反響を呼んだ。

 

 

 経団連が消費税増税を政府に強く進言したわけで、ほんまによう言うわ。高額な役員報酬を得ながら、社員の給料は上げず、法人税を安くしてもらいながら、国民にさらなる負担を押しつけようとする。これは経団連による国民への虐待にほかならず、それを防止する法整備が必要や!

 

 どうして増税するのが消費税なのか。法人税もあれば、企業側の保険料率を上げる手もあるのに。これ以上、消費税が増えれば、国民はもたんよ。十倉さんは1億円以上の報酬をもらっているから、消費税を上げても痛くもかゆくもないんでしょうな。

 

 経団連は、消費税増税を主張する一方、自分たちは負担を回避しようとしている。たとえば、雇用保険や介護保険といった保険料率のアップなど、企業の負担が増えることには絶対反対。消費税率が5%から8%、さらに10%に引き上げられるなか、法人税率は25.5%から23.2%に引き下げられた。

 

 経団連ばかりやない。経済同友会の代表幹事で、サントリーの新浪(にいなみ)剛史社長は、児童手当の所得制限撤廃という政府の方針に「大反対」と強硬姿勢。今の所得制限は、年収1000万円が基準になっているが、年収1000万円でも、首都圏やったら子供を2人、3人育てるのはどれだけ大変なことかをわかっていないんやね。年収1億円を超える新浪さんには言われたくないわ。

 

 夫婦2人で一生懸命働いて、収入が増えたら所得制限がかかって児童手当がゼロというのは、国民に「頑張るな」と言っているのと同じよ。

 

 児童手当などの子供施策は、親ではなく子供を見て決めるべきというのが私の考え。国も所得制限撤廃に舵を切ったのに、それを邪魔するように大声で反対を叫ぶ。

 

 なぜ、経済団体は言いたい放題なのか。それは、自民党への献金があるから。

 

 10月10日、経団連は政治献金の判断基準となる主要政党の政策評価を発表。自民党を中心とする与党を10年連続で「高く評価できる」として、会員企業に自民党への献金を呼びかけた。ところが、岸田政権の現在の支持率は発足以来最低。国民は、今の政治に絶望しているのに、諸手を挙げて支持しているのは経団連だけです。

 

 経団連の意向を受けて、自民党は国民に重税を課す。まさに、現代の「越後屋(経団連)」と「お代官様(政府)」ですわ。しかも、普通は“袖の下“の見えないところで渡すのに、堂々と献金すると宣言している。

 

 2022年度の経団連傘下の大企業の内部留保は、過去最高の511兆円に達した。前年度から27兆円も増えた。その一部が政治献金や、ときには裏金という形で、有力政治家に流れている。

 

 さすがにほかの国やったら暴動が起こってもおかしくないし、日本でも江戸時代なら一揆が起こる事態よ。庶民が疲弊しているのに、お代官様に近い越後屋だけがウハウハで、「そちも悪よの~」と言っている状況。しかも、献金という形で胸を張ってやっている。開き直りもええとこ。旧統一教会のように、経団連にも「解散命令」を出すべき。

 

 ただし、私は大企業vs.国民の戦いを望んでいるわけではない。両者を支援すべきという立場。しかし、今は大企業偏重になっている。目下やるべきは、国民がお金を使えるようにすること。普通の国民が支出すれば経済は回る。

 

 明石市では実際、さまざまな政策によって経済を回すことができた。明石市は給料を上げることもできないし、税金や保険料、物価を下げる力もない。それでも、できたことはあるんです。

 

 何をしたか。子供の医療費、保育料、給食費、オムツ代、遊び場などの無料化を進め、高齢者についてもコミュニティバスの運賃を無料にするなど、いろんな負担軽減をして、市民の手元にお金が残るようにした。

 

 もうひとつは、国の交付金を、ほかの町のように業界対策に使うのではなく、地域商品券として配った。国から10億円の交付金が来れば、市民30万人に一人当たり3000円分を配って市内で使えるようにした。

 

 すると商店が潤い、人口が増えた。家がどんどん建って、建設業界も潤った結果、税収が増えて街全体の経済が好循環になった。

 

 こうした施策を国でもやればいい。国なら雇用対策もできるし、給料を上げる政策も可能。食料品などにはさらなる軽減税率を適用する。保険料も引き下げられるし、物価高対策だって可能。国がやれることはいっぱいある。

 

 経団連、経済同友会、日本商工会議所は経済3団体といわれる。経団連は、日本を代表する大企業のトップの集まりで、その提言には重みがあるが、組織中心やから頭が固いし古いんやね。

 

 その点、同友会は経営者個人の集まりだから柔軟。2022年の8月には、同友会主催で、私や小倉將信(まさのぶ)こども政策担当大臣が参加した子供の貧困支援のフォーラムまでやっています。しかし、2023年4月に新浪さんが代表幹事になってから、“経団連化“が強まった。

 

 経営者には、事業者とともに生活者の顔があって、その両面に配慮せなあかんのに、今はそうではない。財界のお偉いさんたちは、スーパーで買い物をしたことがないから生活のリアリティがわからないし、物価高も実感してないんでしょう。十倉さんや新浪さんには、私からナンボか小遣いを渡しますから、それで生活してみたらどうでっか。

( 週刊FLASH 2023年11月7日号 )

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