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「岸田総理よ、言うこと聞かん大臣はクビに、財務省と戦った初の総理になれ!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第25回】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.08 06:00 最終更新日:2023.12.08 06:00

「岸田総理よ、言うこと聞かん大臣はクビに、財務省と戦った初の総理になれ!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第25回】

「鈴木大臣(右)は1.5兆円の減税はできないと言ったが、すでに6.2兆円の補助金をバラまいた。小学校の算数もわからんのか」(泉氏)

 

財務省のポチ」ともいわれる岸田総理やけど、実際、腹の中では何を考えているんやろか。じつは、たび重なる財務省の「横槍」に内心、怒ってるんやないやろか。

 

 経済対策として「税収増の還元」を強調したら、鈴木俊一財務大臣らに「国債償還などに使ってしまい、原資はもうない」と、あっさり否定されてしまった。

 

 

 トリガー条項の発動にしてもそう。これは、ガソリンの全国平均価格が3カ月連続で160円を超えた場合、ガソリン税に上乗せされている旧暫定税率分を減税する仕組み。この発動について鈴木大臣は、1兆5000億円の税収減になるため難色を示した。一方、価格高騰の抑制策として石油元売り会社に6兆2000億円も補助金を出していて、そのギャップからSNSでは批判が殺到した。

 

 結局、国民に負担を強いる財務省の“使命”どおりの方向で進んでいるわけや。

 

 日本では、誰も財務省には逆らえない。財務省を筆頭とする官僚が、権力のいちばん上にいる。財務省の“大本営発表”を鵜呑みにして、「増税やむなし」と伝えるマスコミや学者は官僚と結託。その下に、財務省にひれ伏す一部の政治家がいて、最下層に国民がいる。

 

 この構図をひっくり返さなあかん。当然、国民が頂点。国民に選ばれ、官僚に指示する政治家がその下。いちばん下が官僚です。マスコミや学者は、国民の傍にいるべき。国民の声を聞いて、国民目線で発信すべきよ。

 

 日本が官僚制を導入したのは、明治維新のころ。近代化のためには、物事を合理的かつ正確に進める優秀な官僚の力が必要やった。戦後の混乱を経て、高度経済成長を支えたのも官僚制でした。

 

 しかし、1990年代のバブル崩壊後の経済停滞に官僚たちは対処できず、限界を露呈した。にもかかわらず、政治主導への転換がなされなかったがゆえ、日本は30年間、経済成長できず賃金は上がらなかった。そして、税金や社会保険料の負担ばかりが増えていった。

 

 私の子供時代の1960年代から1970年代は、日本の国民負担率は2割くらいだったが、いまや5割近い。

 

 かつては、国民負担が増える以上に国民の給料が増えたから、負担感は大きくなかった。ところが、ここへきて給料は上がらないまま、負担ばかり増え、国民の使えるお金がどんどん減っている。

 

 昔も今も、財務官僚は国民から税を搾り取るのが使命。国民の負担が拡大する一方なのは、彼らが予算の見直しをしないから。この予算は本当に今つけなければいけないものなのか、来年でもいいのか、きちんと考えない。「エリートである我々が、これまでやってきたことだから間違いない」というスタンス。

 

 だから、国民がこんなに苦しんでいるということを、財務省を中心とした官僚は認識していないのでしょう。彼らは、自分たちが昔からやっていることは正しいと思いこんどる。国民のことを気にせず、漫然と前例を踏襲しながら、新しい取り組みのために財源が必要なら、国民から取ってくることだけを考える。

 

 じつは、国民にとって真の敵は財務省やないか。そう考えると、岸田総理は気の毒かもしれんね。岸田総理が「減税」と言ったら、すぐに鈴木大臣が「財源がない」と言ってくる。本来、総理がトップなんやから、大臣も財務省も総理の指示に従わなあかん。しかし、マスコミはどっちを叩くかといえば、総理を叩く。本当は大臣を叩くべき。

 

 岸田総理も人事権があるんやから、鈴木大臣も財務省の事務次官もクビにできる。それなのにやらないのは、財務省に歯向かい、財務省とつるんでいる麻生太郎さん(自民党副総裁)などの政治家を敵に回すと、総理の座から引きずり下ろされるからです。

 

 官僚の世界でも、財務省はピラミッドの頂点にいる。なぜかというと、財務省が国家の財布を握っているから。そして、財務省にはいろんな情報が入ってくる。だから、財務省を怒らせるといきなり税務調査に入られるし、いろいろな不祥事を暴かれる。副大臣ら3人の“辞任ドミノ”も、まあ財務省周辺からのリークなんやろうね。

 

 そうした構造に、国民は気づき始めた。それは、瞬時に情報が拡散するSNSの影響が大きい。

 

 大マスコミもSNSを無視できなくなり、2、3年前は「財源がない以上、消費税のさらなる増税もやむなし」と書いていたのが、徐々にトーンが変わってきた。かつての御用メディア的な論調から、権力に疑問を投げかけるようになった。

 

 最近、本当は岸田総理は「財務省のポチ」ではないんやないかと思うようになった。もしかしたら、自分なりに総理の役目を果たそうとしているんやないかと。

 

 異次元の少子化対策や所得税減税、トリガー条項の発動検討など、じつは日本をなんとかしたいと、本気で思っているのかもしれん。しかし、ぜんぶ財務省に潰されて、腹の中では怒ってるんちゃうか。「ええかげんにせえよ、財務省」と。

 

 だったら、岸田総理はやりたいようにやればいい。岸田総理には、失うものはないはず。念願の総理になれたし、在任期間は2年を超えた。後は「財務省の軍門に降らなかった初の総理」として歴史に名を残したらいかがか?

 

 ちなみに、安倍晋三元総理は人事権を駆使し、内閣法制局長官の首をすげ替えたし、検察の人事にも介入した。しかし、財務省にだけは何もできなかった。2度も消費税を上げ、結果、アベノミクスも中途半端に終わった。だから、今こそ岸田総理にとって、安倍元総理を超えるチャンスなんです。

 

 財務省に反旗を翻した瞬間、政局になるが、それで退陣となっても、歴史に名は残せる。岸田総理、国民のために財務省と本気で戦え!

( 週刊FLASH 2023年12月19日号 )

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