2019年4月30日、ついに平成が終わる。皇位とともに巨額な「資産」が動く。現金、不動産、金融資産、由緒物……巨大な「財布」の中身を大解剖し、気になる “天皇家の懐ろ事情” に迫る!
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皇太子殿下が即位されると、今上天皇から由緒物を受け継ぐことになる。
「由緒物のメインは、八咫鏡、草薙剣、八尺瓊勾玉の三種の神器。ほかに、皇太子の守り刀とされる壺切御剱、皇居の『宮中三殿』(賢所、皇霊殿、神殿の総称)などがあります」(皇室研究家・高森明勅氏)
由緒物には、宮中祭祀に使われる太刀や屛風、古くから伝わる文書類もある。皇后陛下が身につけるティアラやブレスレットなどの装身具も含まれる。
そもそも、「宮内庁は内閣法制局と相談して由緒物を決めたと説明しています。しかし、判断の根拠や基準は、明確にはなっていません」(静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授)。
皇室経済法でこれらの由緒物は、相続税が非課税だった。だが、「生前退位で引き継ぐ場合の法律がなかった」(皇室担当記者)のだ。
「これらが、皇位とともに伝わるべき由緒ある物とされますが、今回の退位の特例法によって、法的な持ち主は天皇陛下から皇太子殿下に移ります。
しかしこのままでは、法的には贈与ということになるので、贈与税はかけないという条文が特例法に盛り込まれています」(前出・高森氏)
一方、天皇家ゆかりの美術品といえば、正倉院の約9000点の宝物がある。正倉院宝庫のひとつである正倉は国宝で、世界遺産にも登録されている。
これらは戦後、国に移管された皇室用財産だ。
「昭和天皇が崩御された際にも、保有していた4600件の美術品のうち、3180件が国に寄贈され、580件が由緒物となった。天皇家に残るのは800件ほどになった」(前出・皇室担当記者)
宝物の在処も、御代とともに変わりゆく。
(週刊FLASH 2018年9月4日号)