米コロラド州のコロラドスプリングスで、2月12日まで開催されたフィギュアスケートの四大陸選手権。男子シングルではシニア本格参戦1年目の三浦佳生(17)が、米国のネイサン・チェン(23)の最年少記録をおよそ1カ月塗り替える17歳8カ月で最年少優勝を果たした。また「りくりゅう」こと、ペアの三浦璃来(21)、木原龍一(30)組が日本勢として初優勝を飾った。演技が終わると2人はリンクに膝から倒れ込み、木原は「キス&クライ」には這って向かうほど体力を消耗していた。
それもそのはず、コロラドスプリングスは標高が1800m。同じコロラド州のボルダー(標高1650m)と並び、気圧が低く空気が薄いため、マラソンやサイクリングなどの高地トレーニングがおこなわれる場所である。今大会では、多くの選手が転倒し、酸素の薄さを口にするほど、かなり厳しい環境だったようだ。
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陸上競技やフィギュアスケートを多く取材しているスポーツライターの折山淑美氏は、標高1800mの会場で演技をする厳しさをこう話す。
「コロラドは、よく高地トレーニングがおこなわれる場所で、空気が薄いので心肺機能的にはかなりキツいと思います。今回、開催されたコロラドスプリングスは、選手たちが早めに入って練習するなど、その環境に慣れていないと難しかったでしょう。
空気が薄いと、体が大きいほうがより心肺的に負担がかかるので、木原くんのほうが厳しかったと思います。ただ今回、2人はそういった環境をしっかり考え、抑えるところは抑え、緩急をつけたメリハリのある演技をしていました。しっかり練習ができていたからのことだと思います」
SNSでは、そんな過酷な状況下で力を振り絞って演技をした2人を称えるコメントが多く見られた。
《いつもと違う。ふたりの身のこなしが重い。龍一くんの顔色が土色。終わって崩れ落ちる。キスクラまで歩けない。見てるのも辛い。 でも… おめでとう りくりゅう 頑張ったね (酸素ボンベは置いておいて…)》
《りくりゅう、優勝おめでとう~ 演技後の木原くんの表情をみると体力の消耗(酸欠)が 尋常ではない・・・ ほんとに、よく頑張ったなぁ》
《りくりゅうおめでとうございます 過酷な環境で最後まで頑張った》
《りくりゅう四大陸選手権優勝おめでとうございます? 木原君フリー終わって立ち上がれなくてしんどそうだった…高地での試合ホントに大変なんですね よく頑張った…!》
今大会で、GPファイナルに続く2つめの金メダルに輝いた「りくりゅう」コンビ。同一シーズンでの国際スケート連盟(ISU)の主要3大会(GPファイナル、欧州選手権または四大陸選手権、世界選手権)制覇となる『年間グランドスラム』に王手を掛けた。残すは3月23日から開催される世界選手権での優勝のみだ。
前出の折山氏は、世界選手権についてこう話す。
「最大のライバルは、2022年の世界選手権で優勝しているアレクサ・クニエリム、ブランドン・フレイジャー組です。1月の全米選手権では、非公式ながら227.97点を出して出場が決まっていますが、四大陸選手権には出場していないので、怖い存在です。
これまで210点台を出している三浦、木原ペアは220点台を目標にしており、どこまで進化を見せられるかが勝負のポイントだと思います」
世界選手権は日本開催で、会場は“ホーム”ともいえる、さいたまスーパーアリーナ。時差もなく、自国開催のメリットもある。グランドスラム達成なるか。りくりゅうの活躍が楽しみだ。
( SmartFLASH )