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「奇跡のバックホーム」元阪神・横田慎太郎さんが28歳で死去、球界から続々と寄せられる惜しむ声

スポーツ 投稿日:2023.07.19 17:17FLASH編集部

「奇跡のバックホーム」元阪神・横田慎太郎さんが28歳で死去、球界から続々と寄せられる惜しむ声

鳴尾浜球場での引退試合後、チームメイトに胴上げされる横田慎太郎さん(写真・時事通信)

 

 7月18日、元阪神タイガース外野手横田慎太郎さんが脳腫瘍のため死去したことがわかり、球界が悲しみに包まれた。

 

 横田さんは2013年、鹿児島実業高校からドラフト2位で阪神タイガースに入団。プロ入り3年めにはオープン戦で首位打者を獲得し、開幕からセンターでスタメンに抜擢された。しかし、プロ4年めの2017年に脳腫瘍が発覚。8時間におよぶ大手術、半年にわたる闘病とリハビリを経て、2018年からは育成契約に移行し、再起を目指した。

 

 

 しかし、脳腫瘍の後遺症でボールが二重に見えてしまうことなどから、2019年9月に現役引退を発表。現役最終試合となった2019年9月26日の2軍ソフトバンク戦(鳴尾浜)では、8回2死二塁からセンターの守備に就き、センター前ヒットをワンバウンドで捕球すると、ホームへのノーバウンド送球で二塁走者を刺す、スーパープレイを披露。このプレイは「奇跡のバックホーム」として、いまも語り草となっており、2021年に書籍化されたほか、2022年には間宮祥太朗主演でドラマ化もされた。

 

 横田さんは、そのときのプレーを自著『奇跡のバックホーム』のなかで、ボールはよく見えていなかったものの、グローブを差し出したらボールが入ってきた感じだったと述懐し、「鳥肌が立ちました。プロ生活6年目の最後に、生涯ベストプレーを見せることができたのです」と振り返っている。

 

 現役引退後は講演活動や、阪神OB・川藤幸三氏のYouTubeチャンネルなどに出演。元気な姿を見せていたが、病魔は再び横田さんを襲う。2021年4月に同チャンネルに出演した横田さんは、脊髄に腫瘍が転移し、2020年9月から2度めの闘病生活を送っていたことを報告したのだ。

 

 不屈の闘志で2度にわたる闘病からカムバックを果たした横田さんは、川藤氏のYouTubeチャンネルで元気な姿を見せたこともあったが、2022年春に脳腫瘍が再々発。治療を終えて春から療養に入っていたなかでの訃報に、球界関係者からは次々と悲しみの声があがった。

 

 当時の2軍監督で、横田さんの現役最終試合で彼をセンターに送り出した平田勝男ヘッドコーチは「寂しいし、悔しい。病気との闘いは苦しかったと思う。どうか天国でゆっくりと休んでほしい」と追悼コメントを発表。

 

 横田さんと6年間をともに過ごした阪神OBの伊藤隼太氏は、自身のTwitterで《今知りました。ショックが大きすぎる。なんで横なんだよ、、》とツイート。2014、2015年と阪神でともにプレーした田上健一氏は《本当に横田との写真や動画が1番多いだけに今見てさらに辛くなってしまった… 本当に可愛い可愛い後輩でした》と悲しみをつづった。

 

 阪神の1年先輩でもあるアスレチックスの藤浪晋太郎は、18日(日本時間19日)のレッドソックス戦の試合前、左袖に喪章をつけて練習。7回から3番手で登板すると、1回1安打無失点に抑える好投を見せた。『サンスポ』の取材に、藤浪は投球前、マウンド後方にしゃがみ込み、横田さんの名前を書いたことを告白。「昨日、チームメイトだった横田の訃報を聞いて、きょう登板あるか分からなかったですけど、もし登板があれば、いい登板にして少しでも彼への手向けになればいいな、と思ってマウンドに上がりました」とコメントした。

 

 生前、「『ダブルしんたろう』でお立ち台に立つのが夢」と、藤浪との同時ヒーローインタビューを受けるのが夢だと語っていた後輩に捧げるかのように、マウンド上で何度も胸に手を当て空を見上げた藤浪は、3アウトめを奪うと右拳で胸をたたき、天に向かって人さし指を掲げた。

 

 また、横田さんとは2013年の同期入団の梅野隆太郎捕手は、球団を通じて公式コメントを発表。「本当に人懐っこくて面白い弟のような後輩」だったと横田さんとの思い出を綴り、「横田の諦めない姿から自分もプロ野球選手として最後まで諦めずに戦い抜くという思いを強くしましたし、こうして野球ができることへの感謝の思いをもって、横田の思いも常に自分の中に持ち続けて、現役生活をまっとうしていきたいです。ご冥福をお祈りいたします」と慎んだ。

 

 野球も闘病も、最後まであきらめずに戦い抜いた横田さん。ファンやチームメイト、関係者の誰からも、その人柄を愛された男は28歳の若さで天国へと旅立った。

( SmartFLASH )

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