エンタメ・アイドルエンタメ・アイドル

伊原剛志 「死にたい」と行き詰っても役者人生を続ける理由「百点満点の演技なんてものはない」

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.06 11:00 最終更新日:2022.11.06 11:00

伊原剛志 「死にたい」と行き詰っても役者人生を続ける理由「百点満点の演技なんてものはない」

「ロケで20歳以上年上の橋爪功さんが軽やかに走るのを見て、役者は足腰の強さが大切だと思い毎日スクワットをしています」(伊原剛志)/【鮨まつ】東京・西麻布にて

 

■思いが強すぎてうつ状態に

 

 伊原は「誤解を恐れず言えば、僕は若いころから出演する作品を選んできました」と言う。「自分がこの役を演じる意味」を考え、「この役はできない」と結論を出すこともあった。しかし、その思いが堂々巡りになることもあり、20代後半のときにうつ状態になった。

 

「死にたいと思いました。役者という仕事を選んだ自分を責めて、まわりも許せなくなってしまう。それ以上に自分自身が許せなくなる。家から一歩も出られず、誰とも会話ができなくなりました。

 

 その状態が1年半くらい続きました。そこから抜け出せたのも役者という仕事のおかげでした。『監督さん、共演者の皆さんに助けられてここまで頑張れたんだからもう1本、撮ってみようかな』と思えるようになりましたね。自分に優しく、自分を許す気持ちも湧いてきたんです。あれだけ自分が許せなくて苦しんでいたのに。

 

 じつは今でも同じ状態に戻ってしまう怖さはあるんです。そんなときは、『自分なりにここまで頑張ったんだから、これでいいんじゃないか』という“仕方ないよ”の気持ちを持つようにしています」

 

 そして、口に運びかけたぐい呑みをカウンターに置いてつぶやいた。

 

「百点満点の演技って、ないんですよね。作品はいろいろな人生を歩んだ方々が、いろいろな価値観を持って観てくださいます。ある方にとってはおもしろい作品でも、別の方にはつまらない作品だったりする。だから満点はないんです。でも、満点がないからこそ僕は40年も役者を続けてこられたのかなと思います。少しでも満点に近づきたいですからね」

 

 伊原は再びぐい呑みを手にすると、残りの酒を飲み干した。

 

いはらつよし
1963年、福岡県生まれ、大阪府育ち。1982年「ジャパンアクションクラブ」に入団。1983年、『真夜中のパーティ』で舞台デビュー。翌年、『コータローまかりとおる!』で映画デビュー。NHK大河ドラマ『新選組!』、映画『硫黄島からの手紙』、ほか舞台に出演。現在、連続ドラマ『真相は耳の中』(テレビ東京、毎週金曜 深夜0:52~)に出演中

 

【鮨まつ】
住所/東京都港区西麻布2-10-1 西麻布アジアビル4階A号室
営業時間/18:00~23:00※要予約
定休日/不定休

 

写真・野澤亘伸

 

ドラマ25『真相は耳の中』(テレビ東京ほか。金曜深夜0:52~放送中)に出演中

( 週刊FLASH 2022年11月15日号 )

12

今、あなたにおすすめの記事

エンタメ・アイドル一覧をもっと見る