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「ラルク・アン・シエル」コンサートでアリーナ席がスタンドに“格下げ”トラブル 消費者庁も乗り出した「景表法違反」問題

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.02.17 21:26FLASH編集部

「ラルク・アン・シエル」コンサートでアリーナ席がスタンドに“格下げ”トラブル 消費者庁も乗り出した「景表法違反」問題

L’Arc〜en〜Cielのボーカル、HYDE(写真・時事通信)

 

「アリーナ席だと思って東京ドームへ行ってみたら、まさかの1階スタンド席だった……」

 

 そんな不測の事態が、実際に起きた。

 

 2022年5月21、22日、東京ドームでおこなわれた人気ロックバンド「L’Arc〜en〜Ciel(ラルク・アン・シエル)」の30周年コンサートをめぐり、2月16日、消費者庁は景品表示法違反(優良誤認)で、コンサートの企画運営会社「オン・ザ・ライン」、オンラインチケット販売会社「ボードウォーク」、ラルクのマネジメント会社「マーヴェリック・ディー・シー」に対して、再発防止を求める措置命令を出したと発表した。コンサートをめぐっての優良誤認は初のケースだ。

 

 

 座席のカテゴリの変更は、コンサート直前の5月18日、大胆におこなわれた。変更前の座席レイアウトは、W会員シートとSS席はアリーナ席(グラウンドエリア)、S席は1階スタンド席、A席はバルコニー席と2階スタンド席だった(図1)。

 

「L’Arc〜en〜Ciel 30th L’Anniversary LIVE」サイトに掲載されていた変更前の座席レイアウト

 

ところが、SS席がアリーナ席に加えて、1階スタンド席の一部に追加され、S席は1階スタンド席のほかにバルコニー席、2階スタンド席の一部に追加、A席はバルコニー席がなくなり2階スタンド席のみとなった(図2)。

 

「L’Arc〜en〜Ciel 30th L’Anniversary LIVE」サイトに掲載された変更後の座席レイアウト

 

 読売新聞の報道によると、“格下げ”されたチケットは、2万4000枚に及んだ。

 

 消費者庁がこの3社に確認したところ、1階アリーナ席(SS席)は約3300席分を確保していたが、1日あたり約7200席のSS席を販売していたという。コンサートは2日間にわたっておこなわれたので、SS席は約6600席に対して約14400席が販売されたことになる。そのため、SS席の一部がS席の位置に、S席の一部がA席の位置に動くことになった。

 

 突然の座席の変更に、ファンは憤っていた。以下は、当時のSNSの声だ。

 

《ラルク周年ライブの予告なしの座席変更、これはまずいよね。運営の信用ガタ落ちよね》

 

《アリーナのつもりで高いSS席にしたのにスタンド5列目って 翌日はS席で12列目だからそんなに変わらなくない Sにすれば良かった 差額返金して》

 

《変更になるなら連絡と意思確認ほしいな》

 

 ラルクのチケット代について、音楽関係者が語る。

 

「もっともステージに近い座席の『W会員シート』とは、『Official Fan Club LE-CIEL』と『Digital Fan Club LE-CIEL (年会費コース)』の両方に入会していることが条件で、合わせて1万1930円(新規会員の場合)かかり、そこに、チケット代SS席2万2000円とシステム手数料990円が加わり、トータル3万4920円の出費になります。業界内でも破格の価格設定です」

 

 コンサート直前になって、座席の変更がおこなわれることはあるのだろうか?

 

「あります。ですが、1万枚を超えるような大規模な座席の変更は聞いたことがありません。ただし書きにある『座席図はイメージとなります。ステージや座席レイアウトは予告なく変更になる場合がございますので、あらかじめ了承ください』で、済む話ではないですね。もし、ステージの組み方によって座席が変更になったら、“格上げ”することはあっても、“格下げ”することはありません」(イベンター関係者)

 

 今回の“格下げ”ケースは、なぜ、起きたのだろうか?

 

「チケットを重複販売してしまった、というケースは、稀ですが起こります。先日、吉川晃司さんの仙台でのライブで、ファンクラブ枠ですでに販売していた席を重複販売してしまった、というアナウンスがありました。このときは、吉川さんの公式サイトと主催会社のサイトに、お詫びが掲載されました。

 

 ですが、今回のラルクは違います。チケットは重複していません。東京ドームのキャパは5万5000人で、もしA席が完売していれば、SS席が約7800枚、多く販売されていたわけですから、座席の位置をズラしてもあふれるお客さんがいたはずなんです。ですが、数千人があふれたわけではありません。そこに何かしらの意図を感じます」(前出・イベンター関係者)

 

 本誌は3社に問い合わせた。質問は「なぜ、こんな事態が起こったのか? その理由を教えてほしい」だった。

 

・公演の運営会社「オン・ザ・ライン」
「弊社のHPに掲載されている内容以外、お答えすることができません」

 

・オンラインチケット販売会社「ボードウォーク」
「重大な事実として真摯に受け止めて再発防止に取り組んでいきたいと思っております。今後の対応を含めて、消費者庁様と相談しながら検討しております」

 

・ラルクのマネジメント会社「マーヴェリック・ディー・シー」
「今後の消費者庁との手続きに影響を与える事項にあたりますので、回答を控えさせていただきます」

 

 別の音楽関係者は、こう訝しがる。

 

「チケット販売会社の『ボードウォーク』だけでなく『オン・ザ・ライン』と『マーベリック』も措置命令の対象になっていますからね。発券ミスレベルではない、ということでしょう。これは一般論ですが、チケットのカテゴリを変更するには、所属事務所の許諾が必要です。3社とも、公演直前になって座席のカテゴリを変更すると、後々、問題になるとわかっていたはずです。なのに、なぜ、これまで何の対処もしなかったのか、まったく解せません」

 

 消費者庁は、「消費者の方から、多くの苦情があったことは否定しません」と回答した。

 

 ファンの声が、消費者庁を動かした。次は、関係者がファンに応えなければいけない。

( SmartFLASH )

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