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北川景子『女神の教室』生徒5人全員が司法試験に合格して「なんだかモヤモヤ」と感じたわけ【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.03.21 18:49FLASH編集部

北川景子『女神の教室』生徒5人全員が司法試験に合格して「なんだかモヤモヤ」と感じたわけ【ネタバレあり】

 

 表面的にはきれいなフィナーレを迎えていたが、なんだかモヤッとした感覚も残った最終話。個人的には、最後の1人は司法試験に合格させないほうがよかったんじゃない? と思ってしまった。

 

 3月20日に最終話(第11話)を迎えた北川景子主演の月9ドラマ女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系)。

 

 法曹界を目指す若者たちが司法試験に合格するために通うロースクール(法科大学院)に、北川演じる裁判官・柊木雫が新米教員として派遣されてくるというストーリー。

 

 

 このロースクールでは、教員は学生に司法試験のノウハウを教えるだけで、学生も司法試験合格という目先のゴールにばかりとらわれ、みなどこか鬱々としている。

 

 そんな合格至上主義になっている学校で、「人を知らなければいい法律家にはなれない」をモットーとする柊木が、実務演習の生徒5人と関わりながら、「法」だけでなく「人」を学ぶ授業で彼らの心を惹きつけていく。

 

■【ネタバレあり】最終話なのに主人公と対面しない粋な演出

 

 第10話のラストで、主要キャラの生徒5人が無事に卒業し、最終話はそれから数年後の2026年までジャンプ。元生徒5人のうち4人は司法試験に合格しており、そのうち2人は弁護士、1人は裁判官、1人は司法修習として法曹界へ歩み出していた。

 

 4人は新米法律家としてそれぞれ壁にぶつかっていたが、一方で合格できずにいた桐矢純平(前田旺志郎)だけは、まだ司法試験に挑戦中で……という展開。ネタバレとなるが、最終的に桐矢も合格して、大団円のフィナーレとなった。

 

 思わずうなずくような見どころも多かった。たとえば、前回までべったり一緒にいたにもかかわらず、最終話で柊木と5人の元生徒は劇中で一度も会うことはなかった。

 

 柊木と5人が再会して喜びを分かち合うシーンを期待した視聴者も多かっただろうが、あえて一緒のシーンを作らないことで、離れていても強い絆で結ばれていることが伝わる粋な演出になっていた。

 

 また、指導方針の違いから柊木と対立したエース教員・藍井仁(山田裕貴)のラストシーンもよかった。

 

 柊木が桐矢の合格を伝えるために駆け寄っていくと、冷めたリアクションで「どうせ合格したんでしょ?」と一言。情も興味もないような言い回しだが、藍井は「当然です。あなたが言ったんでしょ、彼なら大丈夫だと」と続けるのだ。

 

 要するに、桐矢と柊木を信じていたからこそ言えたセリフであり、柊木と別れてから合格を喜んで微笑むという演出は、藍井のキャラをしっかり活かしたシビれるシーンだった。

 

■合格せずとも “正解の道” があることを描いてほしかった

 

 だが、筆者がモヤモヤしたのは他でもない、最後の1人である桐矢が合格したことだった。

 

 本作には、司法試験への合格だけが大切なことではないというテーマが根底にある。実際、最終話で柊木のよき理解者である学院長・守宮清正(及川光博)が、同校の卒業生のうち司法試験合格者は5%にも満たないことを説明したあとで、彼女にこう伝えていた。

 

「私が気にしているのは、合格できずに法曹回への道をあきらめていった983名の元学生たちです。合格できなかった彼らにとって、ロー(スクール)での3年間はどういうものだったのか。ただ無駄な時間とお金を費やした後悔の場所なのか、それとも実りある3年だったと思える場所なのか。願わくば後者であってほしいと思っています」

 

 この言葉に対し、柊木は次のように応える。

 

「きっと後者だと私は思います。ここで身につけた法律の知識は、たとえ法曹界に入れずとも、必ず日々の生活のなかで役に立ちます」

 

 このやりとりからも、司法試験に合格することだけが正解ではなく、合格できずに法曹界への道をあきらめても、別の “正解の道” が存在するということを、本作は伝えたかったはず。

 

 にもかかわらず、主要キャラの生徒5人全員が合格したわけである。

 

 もちろん、お調子者のムードメーカーながら一番の落ちこぼれでもあった桐矢が、卒業後も死にもの狂いで努力して合格を掴み取ったわけだから、このキャラクターの物語として見れば非常に喜ばしいし、感動する展開。

 

 だが、ドラマ全体のテーマを考えると、桐矢は司法試験に合格できなかったほうがしっくりくる。法律家になることはあきらめたものの、ロースクールで得た知識と絆で前向きに別の道に進んで幸せを掴む姿を描いたほうが、先の守宮と柊木の掛け合いの説得力も増すというもの。

 

 逆に、柊木は目先のゴールにとらわれる合格至上主義に異を唱えていたわけだから、関わった生徒が全員合格してしまうと、やっぱりなんだかんだで合格できてナンボなのかと思えてしまう。これでは主人公の主張がぼやけてしまう気がするのだが……。

 

 本作は、世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)が第1話は10.5%と二桁の好スタートを切ったものの、その後、数字が下降し、6%台を連発するようになった。最終話ぐらい、すっきりと満足度の高い内容にしてもらいたかったので残念だ。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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