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『ラストマン』福山雅治の新たな代表作になる予感…“目の見えない『ガリレオ』” とは言わせない!

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.05.01 11:34FLASH編集部

『ラストマン』福山雅治の新たな代表作になる予感…“目の見えない『ガリレオ』” とは言わせない!

 

 これは主人公のキャラクター造形の勝利と言っていいかもしれない。

 

 正直、第1話の序盤を観ていた段階では、「これじゃただの “目の見えない『ガリレオ』” じゃないか」とガッカリしかけていた。だが、中盤以降にどんどん意外な魅力が垣間見え、なかなかどうして惹きつけられる主人公に仕上がっていた。

 

 

 4月23日にスタートした福山雅治主演の日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)のことである。

 

 福山が演じるのは、どんな難解な事件も必ず解決させることから、最後の切り札という意味で「ラストマン」の異名を持つFBI特別捜査官・皆実広見。

 

 10歳のときの火事をきっかけに両目の視力を失ったが、そのぶん鋭い分析力や嗅覚で事件を推理し、FBIでも実績を重ねていったという天才。

 

 そんな彼がアメリカから期間限定で交換留学生として来日し、犯人を逮捕するためならどんな手段もいとわない孤高の刑事・護道心太朗(大泉洋)とバディを組み、難事件を解決していくストーリーだ。

 

■『ガリレオ』と物語の根幹が大きく似通っている

 

 福山の最大のヒットシリーズと言えば『ガリレオ』だろう。

 

『ガリレオ』シリーズはフジテレビの月9枠で2007年と2013年に連ドラ化され、第1シリーズは全話の平均視聴率が20%越えの大ヒット。3度の映画化もしている福山の代表作だ。

 

『ガリレオ』の主人公は頭脳明晰ながら変人的でもあるクールな物理学者で、刑事とバディを組んで不可解な事件の謎を解いていく。

 

 つまり『ガリレオ』と『ラストマン』は、天才系主人公が難事件を解決していくという、物語の根幹となる部分で大きく似通っているのである。

 

 だから『ラストマン』の第1話序盤は、特に既視感が強かったのだと思う。

 

 捜査一課の推理を否定したことで刑事たちと軋轢が生じ、煙たがれる皆実を演じる福山を見て、「福山がまたクールな天才を演じている……これじゃただの “目の見えない『ガリレオ』” じゃないか」と思ってしまったわけだ。しかし中盤以降で、その印象がいい意味で裏切られていく。

 

■ただナルシストなだけではない “人間臭さ” がある

 

 まず皆実は全盲ということもあり、どんなに推理力が優れていても、仲間の力を借りないとまともに捜査ができない。そのため、たとえば護道に「お願いします、助けてください」と謙虚な姿勢を見せたり、協力してくれた刑事たちに、素直に「ありがとうございました」と頭を下げたりする。

 

 ジャンルを問わず、ドラマや映画に天才系主人公はごまんと存在するが、たいていは傲慢で自己中な性格というのがお約束で、テンプレ化されている。だが、皆実もそういった一面はあるものの、ベースに謙虚さがあるので目新しい。

 

 また、皆実にはこの手の主人公にありがちなナルシストっぽさがあるのだが、ただの痛々しい自己陶酔キャラではなく、“ツッコまれ待ち” をしているようなかわいげもあるのだ。

 

 護道からFBI特別捜査官になった理由を尋ねられると、「決まってるじゃないですか、モテたかったからです」と即答。第1話の犯人逮捕のお手柄を新聞で報じられると、自分の人気が出そうなことにほくほく顔で、護道に「まずは2人でインスタでも始めますか」「『M-1』にでも出場しますか」と提案。

 

 一方、逮捕した直後の犯人にこんなやさしい言葉をかけていた。

 

「助けてくれる人は必ずいます。私は多くの人に助けられて生きてきました。世の中には不必要な人間なんていないんです」

 

 一見すると安っぽいお涙ちょうだいシーンのようだが、その後、護道にだけ、次のように発言の真意を打ち明ける。

 

「あれはマイクの先にいる人たち(刑事たち)に聞かせていたんですよ。ああいうの好きでしょ、日本人は。これで私の好感度は爆上がりです」

 

 こんな具合に護道(および視聴者)からの “ツッコまれ待ち” をするシーンがたびたびあったのである。ただナルシストなだけではなく、ずる賢さや腹黒さも持ち合わせており、なんとも人間臭くていいのだ。

 

■『相棒』越えで今年の民放ドラマNo.1視聴率に

 

 イケメン俳優が隙のないイケメン天才を演じているだけでは、鼻について嫌味っぽく感じてしまうもの。けれど、皆実はとことん開き直っていて、それがもう清々しいレベルに昇華しており、逆に嫌味にならないのだ。


 当初は『ガリレオ』の主人公像の焼き直しかと思ったものの、上手に差別化が図られており、新しいタイプの天才系主人公を作り上げていてお見事。

 ――第1話の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は14.7%を記録。この数字は『相棒season21』(テレビ朝日系)最終話の14.5%を上回り、今年の民放ドラマ最高視聴率だったそうだ。4月30日放送の第2話も13.1%と高い数値を叩き出している。

 本作には大泉だけでなく上川隆也、King & Prince・永瀬廉、今田美桜といった連ドラ主演経験者がズラリと揃っており盤石な布陣。第3話以降も好調をキープすれば、福山の新たな代表作となるに違いない。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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