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山田裕貴『ペンディングトレイン』予想外の新展開に興奮するも…コントのような茶番に、もう萎え萎え

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.06.16 11:00 最終更新日:2023.06.16 11:00

山田裕貴『ペンディングトレイン』予想外の新展開に興奮するも…コントのような茶番に、もう萎え萎え

 

 予想外の展開が起きて俄然おもしろくなってきたが、その前のクライマックスシーンがぐだぐだでゲンナリした。

 

 先週金曜に第8話が放送された山田裕貴主演のサバイバル系SFドラマペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』。

 

 主要キャラクターはカリスマ美容師の主人公・直哉(山田)、体育教師のヒロイン・紗枝(上白石萌歌)、熱血消防士の優斗(赤楚衛二)の3人だ。

 

 

 ある朝、都心へと向かう電車の車両が、激しい衝撃とともに突如として荒廃した2060年の未来世界にワープしてしまい、乗り合わせた乗客たちのサバイバル生活が始まる。途中回で、2026年に小惑星が落下して大災害が起きたため、地球環境が激変してしまったことが明らかになっている。

 

■現代に戻り、大災害阻止に奔走する新展開へ

 

 第8話で大きな転換点を迎えた。終盤でワームホールを出現させることに成功し、乗客たちはなんとか過去へ戻ることに成功したのだ。しかし、そこは2023年ではなく、地球環境が激変するまで残り半年ほどしかない2026年だった。

 

 今夜放送の第9話を含め、残り2~3回で最終話となるだろうが、ここからは未来から戻ってきた乗客たちが、大災害を阻止するために奔走するのだろう。

 

 この手のサバイバル系SF作品は、無事に元の世界に帰還することがゴールとして描かれることが多い。そのため、元の世界に戻ってからもう一波乱あるというストーリーは、なかなか惹きつけられる。

 

 最終話は、当然ながら、小惑星衝突を阻止できるのか、できないのかに焦点が当たるはず。

 

 映画『アルマゲドン』(1998年)のように、小惑星落下を見事阻止してハッピーエンドになるのか。それとも同年に公開された映画『ディープ・インパクト』のように、小惑星落下を阻止できず、カタストロフィのなかでの人間ドラマを描くのか。

 

 どちらに転んでもおかしくないので、最終話までますます盛り上がっていくだろう。

 

■問題は第8話クライマックスのぐだぐだシーン

 

 ただ、冒頭でお伝えしたとおり、第8話のクライマックスシーンが非常にぐだぐだで、ゲンナリさせられたというのが正直な感想。

 

 ワームホールが出現したので車両に乗っていれば過去に戻れる――という最重要シーンのテンポがめちゃくちゃ悪く、ヘタなコントを見せられているようだった。

 

 紗枝と優斗が先に車両に乗り込み、直哉も車両に駆け込もうとしたが、あと数メートルというところで突然の倒木が彼の行く手を阻む。

 

 けれど、大木というわけではない小ぶりの木だったし、直哉の目の前に倒れて来たもののギリギリで体には当たっていない。転んでしまったが、たいしたケガはしていなさそうだ。

 

 ここからなぜか直哉が異様にノロノロしだす。足をくじいたのかもしれないが、あと数メートルの距離なら気合いでたどりつけそうなのに、なかなか近づいてこない。

 

 紗枝と優斗もいったん車両から降りて肩を貸してやればいいのに、車両の中から手を伸ばすのみ。本当に助ける気があるのかと思えるような不可解な行動をするのだ。

 

 そうこうしているうちに、敵対していた別の車両の人間が直哉を押しのけて車両に飛び乗るが、その間も直哉は動かず、なぜか「もういい! 行け、早く!」とあきらめムード。紗枝も優斗も直哉を助けようと必死だが、相変わらず手を伸ばすだけ。

 

 繰り返すが、直哉は車両まで数メートルの距離にいて、たいしたケガもしていない。本気を出せば数秒で車両までたどりつけそうに見える。

 

 そんな状況で、未来に残ると宣言していたトラブルメーカー・田中(杉本哲太)が颯爽と現れ、直哉を助けて車両に押し込んでくれる。そして、田中が外側から車両のドアを閉め、直後に車両はワームホールに吸い込まれる。

 

■制作陣のご都合のせいで台無しに

 

 これら一連のシーンがいかにスローリーだったかというと、直哉の前に木が倒れてから田中がドアを閉めるまで、2分以上もあったのだ。10秒ですむようなシーンをたらたらと120秒以上かけて描いた。

 

 もちろん制作陣の意図はわかる。主人公が助かるかどうかというハラハラ感を視聴者に与えることと、厄介者だった田中に見せ場を作って感動させることが目的だったのだろう。

 

 だが、その制作陣のご都合のせいで、大事な場面で直哉がめちゃくちゃノロノロ動き、紗枝と優斗は手を伸ばすだけで助けに行かないという不自然極まりない茶番劇になってしまった。

 

 こういうシーンこそスピーディに描かないと、緊迫した空気が生まれない。結果として没入感が激減してしまい、とてもとても萎えてしまった――。

 

 本作は「予測不能のヒューマンエンターテインメント」を謳っていたが、確かに残り数回で大災害を阻止できるかという展開は、予測不能だったのでおもしろい。今夜放送の第9話からの新展開で、第8話の汚名を返上してほしい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

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