(4)毎日回復すれば疲労は溜まらない
毎日60kmもの走行を続けていれば、途中で疲労がピークに達し、翌日動けなくなるー多くの人はそう思うでしょうが、伊勢神宮に着いてからも、あと3〜4日は走れそうなほど、体力に余裕がありました。自分でもビックリです。
じつは、これには秘訣があります。「その日の疲れは、その日のうちに取る」ことです。
サウナは疲労回復に最高です。そこで最初の3日間はサウナつきのホテルに宿泊しました。その後も温泉つきの宿泊施設やビジネスホテルに泊まったときは、湯船につかった後に冷水シャワーを浴びる「温冷交代浴」をおこないました。
「温冷交代浴」はこの連載でも取り上げましたが、「42度の温浴」と「18度の冷浴」を交互に繰り返す入浴法です。温浴による「血管の拡張作用」と、冷浴による「血管の収縮作用」を繰り返すと血流がよくなり、体内に発生した疲労物質を押し流してくれます。
睡眠は8時間以上取り、食事も、ビタミン、ミネラル、タンパク質の摂取を心がけました。ホテルの朝食では、サラダでしっかり野菜を食べることを意識しました。おかげで、朝から体調は万全の状態です。
日々の生活も同じ。疲れを翌日に持ち越さないことが、最高のパフォーマンスを生むことにつながるのです。
(5)「トラブル予防」は徹底すべき
自転車は危険がつきものです。車のすぐ横を走っているときにハンドルを取られると、事故につながります。また、雨天時は視界が悪くなり、ブレーキも利きづらくなるのでさらに注意が必要です。
自転車に乗るときは危険を回避するための予測や準備を怠ってはならない。そのことを今回、あらためて肝に銘じました。
1日めのことです。トンネル内を走行中、道端に捨てられていたペットボトルを避けきれず、ハンドルを取られて転倒してしまったのです。
原因は明白です。短いトンネルだったので、すぐに抜けられると思い、ライトを点灯していませんでした。そのせいで、ペットボトルに気づくのが遅れたのです。幸い後ろから車が来ていなかったので、ちょっと擦りむいた程度ですんだのですが、トラックでも来ていたらと思うと、ゾッとします。
「危険を回避する努力を怠るとたちまちトラブルに見舞われるのか」と、自分の不用心を反省しました。
私たちの仕事においても同様です。「トラブル予防」を怠っていると、手痛いしっぺ返しを食らうのです。
人は年を取るにつれ、大きなチャレンジや冒険を避けるようになります。それでもあえて、コンフォートゾーンを出て、新しいことにチャレンジしてみることが大切です。
私自身、今回、東京〜伊勢神宮まで370kmを走りきってみて、チャレンジをして本当によかったと思っています。今後の私の人生の大きな分岐点になるかもしれません。
年齢にとらわれず、やりたいことがあったらやってみる。たとえ思うような成果が得られなかったとしても、チャレンジするだけで、人は自己成長できるのです。
今回のチャレンジはたったの1週間足らずですが、その間の私の自己成長の度合いといえば、数年分の経験に相当します。人間、誰でもすごいポテンシャルを持っている! しかし、それはチャレンジしない限りは見えてこないのです。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし