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元「宇宙飛行士ファイナリスト」月を疾走するローバー開発に乗り出す/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

芸能・女子アナ 投稿日:2023.09.24 16:00FLASH編集部

元「宇宙飛行士ファイナリスト」月を疾走するローバー開発に乗り出す/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

日下アナと山口慶剛氏

 

 1969年、アメリカが打ち上げたアポロ11号が人類初の月面着陸に成功してから、今年で54年になります。まだ謎の多い月の環境ですが、その表面を調査するため、早ければ年内にもカメラつきの小型ローバーを月に打ち上げようとしている方がいます。

 

 かつて宇宙開発事業団(現・JAXA)が募集した宇宙飛行士選抜試験で、ファイナリストに残った山口慶剛さんです。

 

 

 山口さんは、広島県出身。広島大学、大阪大学大学院で物理を学び、1987年、東芝に入社。宇宙開発事業部で人工衛星や宇宙ステーションの開発に携わりました。同社在籍中の1992年、宇宙飛行士の選抜試験でファイナリストとなるも、最終的に選ばれたのは若田光一さんのみでした。

 

――宇宙飛行士の試験は、どのような内容なのですか?

 

「まず、条件として日本国籍を有し、理系の4年制大学を卒業。さらに、2年以上の研究歴か社会人経験が求められます。一次の筆記試験は、大学入試と国家公務員試験I種試験を混ぜたような感じです。英語、数学、物理、化学、地学、生物など9科目の筆記試験がありました。

 

 その年の応募者約600人から、書類選考と筆記試験をクリアしたのは53人でした。

 

 その後、4チームに分けられて、病院のVIPルームで1週間にわたる健康診断を受けます。採血、検尿、胃カメラ、大腸ファイバーはもちろん、眼球のガラス体欠陥がないか、網膜の血管がどう張りめぐらされているかなど、細かくチェックされます。24時間モニターをつけた心臓の検査もありました。

 

 そのほか、ディスカッションや英語面接、IQ試験、手先の器用さのテスト、体力チェックなどもおこなわれました。

 

 ここで6人に絞られた候補者は、筑波の宇宙センターで3日間の追加試験を受けます。そこでは、回転いすに座って徐々に回転スピードを上げていくテストがありました。回転しながら頭を前傾したり、後方に反ったりして、体の軸をわざとずらしながら耐性を見ます。ギブアップしたらストップボタンを押すように指示されますが、宇宙に行きたい思いが強いので、誰もそのボタンを押す人はいません。

 

 ドクターストップがかかって椅子から降りると、あまりの気持ち悪さに地面に寝そべったまま30分ほど起きあがれませんでした。

 

 6人とも合格になり、今度はNASAの試験を受けに、アメリカのヒューストンに行きました。日本で受けたのと同じような検査がありましたが、アメリカの方がゆるかったと思います。向こうでは『アメリカ国籍があれば、君たち全員宇宙に行けたのに』と言われました」

 

――その後、宇宙に行けるかどうかはいつ決まったのですか?

 

「日本に帰ってから、最終選考がありました。誰に決まるかギリギリまで発表されないので、広報用の宣材写真は1人200枚ずつ全員ぶん用意されていたそうです。ファイナリストの懇親会で、みんな50枚ずつ配られました」

 

――東芝ではどのような仕事をしていたのですか?

 

「最初の10年は、宇宙開発事業部に配属になり、日本初の有人宇宙施設『きぼう』のロボットアームの開発をしていました。『きぼう』は、今年、軌道上15周年を迎えました。

 

 2009年からは、西田厚聰(あつとし)会長の政策秘書として、スピーチライターをしていました。当時、西田会長は、経団連の副会長も務めていたので、少子高齢化問題や地方再生など、日本の政策に関してもよく意見を求められていました。日本は科学技術大国なのに、なぜ科学の日が存在しないんだ、なんて意見を出していました。

 

 2010年から2014年まで、会長についてダボス会議にも行きましたよ。トランプやブレア、メルケルといった世界のリーダーたちを身近に感じることができました」

 

――いまでも宇宙に行きたいですか?

 

「もちろん、お金があれば行きたいです。商業ツアーのような短時間のものでなく、1週間くらい宇宙ステーションに滞在したいです」

 

――いまも宇宙への強い想いがあるからこそ、小型ローバーを月に打ち上げる会社を立ち上げたのですね。

 

「私が立ち上げたのではなく、知人から月面ローバーを開発している人を紹介され、サポートしてほしいと言われて参画しました。

 

 この小型ローバーは、ゴルフのシャフトと同じ素材で熱に強く、軽くて頑丈に作られています。-100℃から100℃までの温度変化に耐えられます。どんな場所でも態勢を立て直して動ける作りになっているので、『ヤオキ』(八起)と名づけられました。

 

 1回の打ち上げに億を超える金額がかかりますが、早ければ年内、または今年度中に月に到達できる予定です。『ヤオキ』についているカメラで地面すれすれの画像を撮影でき、将来は宇宙基地をつくるときに必要な空洞内を探査する予定です」

 

 最近、急に宇宙が身近な存在に感じているのは私だけでしょうか? 宇宙ビジネスの広がりは、想像以上に加速しているようです。

 

■夢に近づくための3カ条

 

(1)チャレンジ精神を常に持ち続けること
(2)逆境も楽しんで前向きに取り組むこと
(3)感謝の心を忘れないこと

日下千帆

1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も

( SmartFLASH )

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