「すでに都立高校の教員間でも、この件を耳にした人は多いです。あまりに生徒を無視した行為ですし、それを指揮した人が、いま都立高校のトップにいるなんて許せなくて……」
そう本誌取材に口を開いたのは、現役教員のA氏だ。
【関連記事:高橋由伸も石田純一も…やっぱり子供は名門私立小学校に】
A氏が話す “醜聞” の舞台は、「東京都立小石川中等教育学校(小石川中教)」。前身の「都立小石川高校」時代から、都内有数の名門校として知られている。中高一貫教育校(6年制)となった2011年以降は進学実績も高く、2020年度は東大合格者を18名出した。A氏が醜聞の概要を話す。
「1月12日のことです。2021年3月に卒業した10期生の受験書類として、白紙の『調査書』が大学に提出されていたことが校内で発覚したのです」
よく知られているとおり、「調査書」は生徒の出欠状況や成績、取得資格、部活動の記録などを記載した「生徒指導要録」に基づき作成される。その調査書が “白紙” だったというだけでも驚きだが、本当の問題はここからだった。
「原因は、担任教員のプリントミス。さらに、それを校長や副校長も見落としていました。
しかし学校側は、この “白紙提出” によって、指導要録に対する東京都教育委員会の監査が次回から厳しくなると考えました。そこで、指導要録と調査書の中身について、都教委にとがめられそうな部分をあらかじめ “改ざん” してしまうことにしたんです」(A氏)
学校側が気にしたのは、調査書と指導要録に記載されている「取得資格」の欄だった。
「本来、生徒が取得した『英検』『数検』などの資格を指導要録に記載する際は、その合格を証明する『根拠資料』の提出を生徒に求める必要があります。
ですが、そんなことで嘘をつく生徒もいないだろうという前提に立って、小石川中教ではこれまで生徒の自己申告のまま、英検の合格証明などを提出させることなく、指導要録に記載していたんです。それを、校長たちも黙認してきました。
しかし今後、指導要録への厳しい監査が入れば、根拠資料の提出を求めていなかったことがバレてしまう。それを恐れ、2月19日に学校側は10期生の担任教員に『根拠資料が提出されていない資格は、調査書からも指導要録からも消去せよ』と指示したのです。
つまり、苦労して取得した英検などの資格が、生徒たちが知らない間に、調査書からも指導要録からも抹消されることになったんです」(A氏)
しかも、事を大きくしないためなのか、校長たちは箝口令を敷いたというのだ。
「学校から担任教員へは、『消去せよ』という指示しかありませんでした。『あらためて生徒に根拠資料の提出を求める』ような指示はなかったんです。
一部の心ある教員は、卒業直前の生徒たちに『取得している資格について、証明書を持ってきてくれないか?』と伝えましたが、校長、副校長に逆らえず、生徒に隠したまま消去した教員もいます。
改ざんされた調査書は、今年浪人して来年再び受験する生徒が、受験の際に大学側に提出することになるものです。つまり、調査書の内容が2020年度と2021年度とで違う生徒が出てきます。資格が消去されていますから、調査書の内容は当然2020年度のものよりも悪くなってしまうわけです」(A氏)