5月30日、自民党の経済成長戦略本部は、「1億総株主」の目標を掲げた提言を政府に申し入れた。日本の家計資産において、預金の割合が欧米の比べて「非常に高い」と指摘。岸田文雄首相が掲げる「貯蓄から投資へ」の流れを促進するため、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的な拡充などを求めた。
提言を受けた岸田首相は、政府の「新しい資本主義実行計画」などに反映させる意向を示し、6月に決定する「骨太の方針」に、NISAの拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する仕組みの創設など、「資産所得倍増プラン」の推進を盛り込む方針だ。
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「政権発足時に岸田首相は『令和版所得倍増計画』を掲げていたはずですが、2022年5月上旬の英国金融街・シティでの講演以来、政策の方向性が『資産所得倍増計画』に変わってきています。就任早々、金融所得課税の導入を打ち上げ『株価下落』という強い洗礼を浴びた反省もあるのでしょうが、そもそも岸田首相の保有株はゼロ。岸田首相が掲げる『新しい資本主義』にも、懐疑的な見方が強まっています」(経済担当記者)
2000兆円といわれる日本の個人金融資産を、貯蓄から投資へと向かわせるのがその趣旨だろうが、日本人の平均給与は433万1000円(2020年。国税庁 民間給与実態統計調査)。SNS上では、「1億総株主」というキャッチフレーズに批判の声が渦巻いた。
《自民党、『1億総玉砕』ならぬ『1億総株主』と来たか》
《1億総株主…投資費用くれ》
《『1億総株主』また凄いパワーワードですね…貯蓄→投資は正解だと思いますが、知識のない高齢者が新聞やテレビに煽られて銀行や証券会社に手数料の高い商品を買わされるのがオチかと》
さらに、岸田首相が「持ち株ゼロ」という事実を突っ込む声も。
《この人に1億総株主とか言われても》
《それならまずお宅の党首に株買ってもらいましょう》
安倍政権が掲げた看板政策「1億総活躍」を推進した内閣官房の担当室は、2021年11月の衆院選後、ひっそりと廃止された。「1億総株主」政策で失敗し、「一億総玉砕」とならないことを祈るばかりだ。
( SmartFLASH )