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旧統一教会に公明党「政教分離の原則」との関係は問題ないのか? 宗教学の泰斗・東大名誉教授に聞いた

社会・政治 投稿日:2022.08.29 20:00FLASH編集部

旧統一教会に公明党「政教分離の原則」との関係は問題ないのか? 宗教学の泰斗・東大名誉教授に聞いた

公明党の山口那津男代表

 

 安倍晋三元首相の銃撃事件以降、旧統一教会と政治の関係に注目が集まるなか、8月23日、創価学会を支持母体とする公明党山口那津男代表は会見をおこない、「宗教一般ではなく、明確に区別して議論を進めることが大切だ」と述べ、旧統一教会とそのほかの宗教を同一視しないよう主張した。そのうえで、「宗教団体が政治活動をするのは、憲法上保障されている」とも述べた。

 

 一方で、民主主義国家には、国家と特定の宗教が結びつくのを防ぐ「政教分離の原則」が存在する。日本国憲法第20条でも、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と定められている。

 

 

 宗教団体が政治に関わることについて、どう考えるべきか。宗教学者で東大名誉教授の島薗進氏が解説する。

 

「自己利益ではなく、公共の福祉を目的とする限りにおいて、宗教団体が政治に関わることは問題ありません。逆に、宗教団体の政治活動を禁ずると『信教の自由』の問題が生じます。政治家にも宗教を信じる権利があるし、権力は個人の内面に介入してはならないからです。

 

 政教分離といっても、国や文化ごとに濃淡があります。

 

 英国には国教制度が存在し、ドイツにも政党として『キリスト教民主同盟』がある一方、フランスは『ライシテ』という徹底した分離をおこなったため、逆にイスラム教徒をはじめとした少数派から反発を招くなど、歴史的背景による解釈の違いがあります。

 

 要するに、政教分離や信教の自由はせめぎ合いの関係にあり、明確な基準を設けることは難しいのです。

 

 日本では、かつて天皇制と神道が結びつき、国家神道として国民に押しつけられ、それ以外の宗教や思想が排除されたことへの反省から、政教分離の考え方が受け入れられました。

 

 戦後、国がある特定の宗教を優遇して政治をおこなう、ということは建前上、なくなりましたが、問題がまったく生じなかったわけではありません。

 

 日本では1970年に、創価学会と公明党が自らに批判的な書籍の流通を阻む『言論出版妨害事件』が起き、創価学会の池田大作会長(当時)が謝罪し、公明党は創価学会との関係を見直すことになりました。

 

 また近年も、米国では宗教右派がトランプ前大統領や共和党と結びつき、妊娠中絶禁止、移民反対、イスラエル支持などの政策実現を図っています。

 

 こうした一部の宗教が、自分たちの利益のために、政治や一般社会に影響を及ぼすという事態が生じているのは事実です」

 

 旧統一教会も、無償の選挙協力により自民党議員に近づき、自分たちの利益になるようなロビー活動をおこなってきた。

 

「政治と宗教の、あしき癒着の典型です。1960年代から1970年代にかけ、教団の規模がまだ小さかった段階から、岸信介元首相など自民党の有力政治家や右派の学者が、関連団体である『国際勝共連合』への支持を表明し、応援してきました。

 

 1960年代の日韓関係やベトナム戦争を背景に、『反共』を掲げる政治団体は自分たちの味方だと、自民党や当時の朴正煕政権が考えたためです。

 

 そうした、政治家による保護があった結果、詐欺的な布教や霊感商法などで多くの被害者を生んだにもかかわらず、教団は生き延びることができたのです。

 

 ほかにも社会問題化する宗教団体はありましたが、手荒い布教を改めるなど妥協しない場合は解体しました。政治家の支持がなかったからです。

 

 政治的庇護を得た旧統一教会は野放しにされ、韓国の本部に貢ぐという使命のもと、多くの日本人信者から収奪してきたのです」

 

 これまで教団と自民党の関係は、なぜ批判されてこなかったのか。

 

「メディアや警察の機能不全です。われわれ学者や専門家も、問題の直視を避けてきたことへの反省があります。

 

 その大きな原因は『恐怖感』です。まず1984年に『副島襲撃事件』が起こりました。副島嘉和氏という『世界日報』の編集局長をやめた元信者が、初めて内部告発の手記を『文藝春秋』に発表しました。

 

 その直前、副島氏は何者かに全身を刺され、幸い一命は取りとめましたが、犯人は捕まっていません。この報道はほとんどなされませんでしたが、教団批判は危険だと考えたメディアが委縮した可能性があります。

 

 その後もメディアへの威嚇は繰り返され、批判的な報道は共産党や『朝日ジャーナル』などにとどまり、そのほかの大手メディアは沈黙しました。

 

 1992年に合同結婚式が注目を集めました。この時期に有力政治家が教祖夫妻を日本に入国させましたが、批判的報道は弱く、取り締まりには至らなかったのです。

 

 その後、2009年に霊感商法を摘発する『新世事件』が起きましたが、教団傘下の会社『新世』の家宅捜索にとどまりました。

 

 2010年以降は、安倍元首相が選挙目当てに教団と関係を深めていき、2015年の『世界平和統一家庭連合』への名称変更の承認に至ります。1984年の段階で教団への追及が徹底できていたなら、すべて防げていたかもしれません」

 

 今後、旧統一教会への対策はどのようになされるべきか。

 

「今、解散命令やいわゆるフランスの『セクト法』の適用などが議論されていますが、私は、宗教法人の認証の取り消しができる体制にすることがもっとも早い対応だと思います。

 

 多くの被害者を生み、社会に恐怖と腐敗をもたらしてきた団体が、税制上優遇を受けていることに国民は疑問をもっています」

 

 自公連立政権が生まれて20余年。公明党が与党であることに問題はないのか。

 

「連立が成立する1999年の前まで、自民党は『政教分離について、公明党と創価学会には問題がある』とか『池田名誉会長を国会に招致しろ』などと主張していたのですが、連立が成立した途端に、そういうことを言わなくなりました。それはなぜだと、まずは自民党に問い質さないといけない。

 

 かつての創価学会には仏教施設の『国立戒壇』を建設するという教義があり、『政教分離』が求められました。

 

 しかし、『広宣流布』という、自分たちの信仰を広めて社会をよくする、という目標が今でも掲げられています。公共の利益をそっちのけに個別の宗教的利益が、選挙活動や政治に持ち込まれていないかということは問われてしかるべきです。

 

 繰り返しますが、公共の福祉を目指した政治活動であれば、宗教団体がおこなっても問題はありません。でも、自分たちの集団だけに通用するような目標が優先されることは好ましくありません。

 

 問われていることの一つは、政治が特定宗教を保護しつつ宗教票を利用するようなあり方です。

 

 宗教団体の信者は、組織の意思に一致団結して従う、という側面があり、それは得てして、権威主義的な行動様式につながります。その傾向を、政治家が選挙活動などに利用してきました。

 

 これは米国の宗教右派にも共通しますが、その最たるものが、今回の旧統一教会と自民党の関係でしょう。安倍元首相や現・政調会長の萩生田光一氏は関与が深かったようです」

 

 メディアの萎縮により、長年、問題の追及を免れてきた旧統一教会。その間、政治と教団の根深い癒着が生まれてしまった。政教分離の問題は一筋縄で解決できるものではないが、今こそ徹底的に議論し、新たな被害を防ぐ施策につなげなければならない。


( SmartFLASH )

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