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中国「セルフ包茎手術」多発を医者が危惧…TikTokで煽られ、若者が“流血沙汰”で病院駆け込む事態に
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.09.10 06:00 最終更新日:2022.09.10 06:00
どの国でもSNSから広がる“闇”はあるが、お隣の超大国ではこんな事態が起きていたーー。
「中国の通販サイトで『包茎切割』と検索すると、到底素人が扱えるとは思えない陰茎の包皮を切除する器具がいくつもヒットするんです。じつは今、中国ではこれを用いて自ら包茎手術をおこなって失敗し、病院に駆け込む若者がいることが問題化しています」
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こう話すのは、中国在住のライター・もがき三太郎氏だ。男の悩みのひとつである「包茎」。昭和世代の方なら「ビガーパンツ」などの矯正グッズを試した人もいるだろう。さすがに今では、“仮性包茎”は必ずしも手術の必要はないというのが一般的な認識だ。
だが、中国では包茎に対する過剰な抵抗意識があり、若者を“DIY”さながらの包茎手術に走らせているという。
「若者の間では『包皮を切らないと男として恥ずかしい』という考えが刷り込まれています。たとえば、TikTokを開けば、医師などが包茎手術をすすめる動画が大量に見つかります。揃いも揃って手術をすすめていて、なかには母親が息子を病院に連れて行き『切ってください』と、医師に相談するショートムービーなどもあります。しかし、費用は日本円で4万円ほどが相場。一般的な中国人の収入からすると高額なため、5000円程度で手に入るカッターを用いて、包茎DIYに走る人が出てくるのです」(もがき氏)
日本では民間クリニックでの施術のイメージが強いが、中国では多くの病院が国家の管理下にあり、そのような大病院が包茎手術をおこなっている。「そうした所で診察される恥ずかしさも原因のようです」と、もがき氏は話す。
今回、中国の通販サイトで販売されている2種類の“包皮カッター”の現物を入手した。ひとつは亀頭部分にリング状の器具を装着して、それをガイドに包皮を切るというもの。もうひとつはグリップ式の器具だ。包皮内側の亀頭部分にシリコンパッドを被せて余分な包皮を輪ゴムのようなもので締め上げて、その上からグリップのついた本体を装着。グリップを握るとホチキスのように針が出てきて、簡単に包皮の切除と固定ができるのだという。
どちらの製品も医療現場での使用時は、局所麻酔などが用いられる。しかし、包茎DIYの若者たちは、それを麻酔なしでおこなうのだという。なかには、想像もつかない痛みと流血に耐えられず、病院に搬送される人もいる。さらに、亀頭への損傷や重大な炎症が起こる危険性も高い。
「通販サイトでは明らかな“サクラコメント”が投稿されているものや、医師らしき人物写真を商品パッケージに掲載しているものもあり、それを信じて購入する人もいるようです。中国のネット上では、包茎DIYに手を出したとみられる男性が『包皮を元に戻したい。というか、死にたい』と悲痛な思いを綴っているものもありました」(同前)
日本では「高須クリニック」で知られる高須克弥氏が、1980年代に包茎手術を広めたといわれている。前述のとおり、多くの病院が国家管理の中国だが、そのなかで上海に開業し、“中国の高須院長”といえるほど、多くの包茎手術を手がけている「永恵華クリニック」の宋康医師に話を聞いた。
「私も“包茎カッター”などを使い、自分で手術をした患者を診察したことがあります。知り合いの医師からも、たびたびそういった患者の診察経験を聞かされますね。急患として運ばれてきたある患者は、切除部分からの出血が止まらず、感染症も起こして患部がただれている状態でした。このような場合、傷と感染症の処置をしたあとに、あらためて包茎手術をしなければなりません。そのため時間も費用も、普通に手術した場合よりはるかにかかりました」
通販サイトで購入できる商品は、手術に用いられている器具と形状などが酷似しているが、宋医師は商品自体の信頼性にも疑問があると言う。
「病院が購入する医療器具の基準は非常に厳格ですから、一般的な通販サイトで購入できる商品が、それと同等レベルとはとても思えません。それに麻酔なし、無痛で手術できると思っているなんて非科学的すぎますよ……」
一生消えない後悔よりは、恥を忍んで専門病院に行くべきだ。
取材協力・初田宗久