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「ロシアから逃げろ」アメリカ警告の裏で、プーチン大統領は大量の「ヨウ素剤」購入報道…「核戦争」の可能性はあるのか
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.09.30 21:38 最終更新日:2022.10.11 19:44
今年2月に始まり、現在も続くロシアのウクライナ侵攻。プーチン大統領は、9月29日、ウクライナの南東部ザポリージャ州と南部ヘルソン州を「独立国家」として一方的に承認する大統領令に署名し、国際社会から非難を集めている。
現在、ロシア軍はウクライナ軍に対し、全体的に苦戦を強いられている。ハリコフ州に奇襲をかけたウクライナ軍は、9月13日、8000平方キロの領土を奪還したことを報告。ロシア軍はハリコフ州のほぼ全域から撤退したという。
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「プーチン大統領は、兵士不足を補うため、9月21日に部分的動員令を発令。ロシア国内では混乱が広がっており、発令後は20万人を超えるロシア人が国外に逃げたと、米CNNテレビが発表しました。27日には、在ロシア米大使館が、ロシアにいるアメリカ人に対して国外退避を勧告するなど、状況は徐々にひっ迫しています」(国際部記者)
国民向けの演説では「領土保全への脅威が生じた場合、ロシアと国民を守るため、われわれは利用可能なあらゆる兵器システムを使用する。これはハッタリではない」と核兵器の使用を匂わせたプーチン大統領。
27日には、ロシアのメディア『コメルサント』が、放射能汚染時に被害を軽減するヨウ素剤をロシア政府が大量購入すると報じている。ロシア政府は過去にもヨウ素剤を大量に買いつけているが、時期的に「核戦争の可能性」を指摘する声は根強い。
実際、ヨーロッパでも、ロシアの核兵器をおそれ、ヨウ素剤の需要が高まっていると報じられている。はたして「核戦争」へなだれ込む可能性はどれほどあるのか、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏がこう語る。
「21日のプーチン大統領の演説は、直接的な言葉をあまり使わず、ふわっとした言い回しでしたから、すぐに核を使うという事態にはならないでしょう。もちろん可能性はありますが、使うとしてもだいぶ先の話だと思われます。
報道では、プーチンが追いつめられているという論調が多いですが、別にモスクワが攻撃されているわけではない。あくまでも最初に目論んでいた侵略が予定どおり進んでいない、という状況です。
核の使用云々は、自分たちが攻撃された場合の報復におこなうという話です。ロシア側としては、そこまではまだやられていないという認識です。
ただ、プーチンは自身の発言にかなり気を遣っており、言ったことは必ずやる。彼が表立って核について言及し始めたら、脅威は上がっていくでしょう」
半年以上も続くロシアのウクライナ侵攻。両国の着地点はいまだ見つからない。
「現時点で、戦争が終わる要素は皆無です。プーチンが負けを認めることはないでしょうから、そうした形での終結はありえません。いまロシアは軍事的には勝っておらず、プーチンとしては打つ手がそれほどありませんが、やめるという手もないんです。
この戦争が長期化することは、初めから予想されていました。ロシアの侵略が全面的に成功しなければ終わりませんが、ウクライナに追い返されている状況ですからね。どちらも圧倒的強者でないので、終わらないんです。
ロシア軍が劣勢になり、プーチンがウクライナと話をつけ、落としどころを見つけて停戦する展開に期待が集まるのも理解できますが、プーチンはおそらくそういった対応はしないでしょう。
プーチンは最初から一貫して『ウクライナを制圧する』『政権をひっくり返す』『ウクライナ軍を解体する』という目的を掲げ、『予定どおりうまくいっている』と言い続けている。残念ながら、この戦いの終わりは、当分見えません」(黒井さん)
( SmartFLASH )