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“官僚の作文”と酷評の岸田首相のスピーチライター「早大卒初の経産次官候補」の超有能秘書官だった

社会・政治 投稿日:2022.10.06 20:56FLASH編集部

“官僚の作文”と酷評の岸田首相のスピーチライター「早大卒初の経産次官候補」の超有能秘書官だった

10月3日、岸田首相とともに国会入りする首相秘書官の荒井勝喜氏(岸田首相の右隣)

 

「『厳しい意見を聞く』姿勢にこそ、政治家岸田文雄の原点がある」

 

 10月3日に召集された臨時国会冒頭の所信表明演説で、こうアピールした岸田首相。だが、各党の代表質問が始まると、国葬、旧統一教会、安全保障など山積する課題を問う代表質問に正面から答えず、従来の説明をなぞる姿勢ばかりが目立った。「聞く力」という言葉が空しく響いたのである。

 

 

 それだけではない。岸田首相には「語る力」もないことが露呈したというのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏だ。

 

「岸田さんはもともと、口はなめらかだけど口調が平板で、当たり前のことを当たり前にしか喋れず、感情を言葉に乗せて話すことができない人なのかなという気がします。だから、言葉が相手に響かないんですよね。

 

 岸田さんの話は、結論がなかなか出てきません。田中角栄元首相が『まず結論を言え。理由は3つ以上述べるな』という言葉を遺しているとおり、政治家はまず結論を言わなきゃダメなんです。でも岸田さんは、まず『現下の情勢が……』と長々と喋るものだから、『要するに何が言いたいの?』となっちゃうわけですよね」

 

 9月27日に行われた国葬では、菅義偉前首相の弔辞が評価されたのに対し、岸田首相の弔辞は「まるで官僚の作文だ」と揶揄された。

 

 その“官僚の作文”を書いたスピーチライターが、経産省出身の荒井勝喜(まさよし)首相秘書官(55)だ。首相の国会での演説や答弁、記者会見のスピーチを担当する。その人物像を、官僚の世界に詳しい「インサイドライン」の歳川隆雄氏が語る。

 

「高校を卒業後、奨学金を得て早稲田大学政経学部に進んだ苦労人です。1991年に旧通産省に入省した後は、米ペンシルバニア大学ウォートン・ビジネススクールへの留学も経験しています。

 

 ここは、いまやハーバードビジネススクールよりも評価が高いと言われている名門です。本省に戻ってしばらく経ってニューヨークのJETRO(日本貿易振興機構)の産業調査員になっていますが、このキャリアも経産省ではエリートコースの代名詞です。

 

 経産省では、現在の総理首席秘書官の嶋田隆氏が経産事務次官だったときに大臣官房の総務課長を経験していますが、その当時から、“早稲田大学卒の初めての経産次官になる”といわれてきた人物です。

 

 総括審議官を経て、2021年には主要局長のひとつである商務情報政策局長に昇進。岸田首相とも消費者庁を設置したころ、準備室で部下として働いていた縁があるが、同じ経産省出身の嶋田首席秘書官が強く推して総理大臣秘書官に就任したといわれています。

 

 じつは、当時早大生だった荒井氏の息子が、今年3月にケンカ騒ぎで逮捕される事件が報道されたんですが、この事件も彼にとってはマイナスにはなりませんでした」

 

 荒井氏は、スピーチライターとしても本来は有能な人物なのだと歳川氏は言う。

 

「岸田首相は8月にニューヨークを訪れ、核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議に参加し、その翌日にはNY証券取引所を訪れています。9月には国連総会にも参加していますが、これらの訪問の際、英文の演説のスピーチライターを務めたのが荒井氏でした。日本では評価されませんでしたが、演説は現地で好評だったと聞いています」

 

“普通の感覚”を大事にするのがモットーだという荒井氏は、家族や高校の友人、ネット上の意見に至るまで幅広く情報収集し、世論の反応を詳しく分析しているという。動画サイト、ユーチューブやツイッターを使い、岸田首相のメッセージの発信も試みている。

 

「苦労しているし、フットワークや喋りもいいし、それで文章も書けるから、そりゃ官邸サイドからすると、ありがたい秘書官でしょうね」(歳川氏)

 

 岸田首相には「語る力」を磨き、荒井氏を“宝の持ち腐れ”にしないでほしいものだ。

( SmartFLASH )

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